それ、いる?
幸太郎は馬車の中のものは、ほとんどもらった。
鍋や包丁、ロープにシャベル、ハサミや針なんかもあった。
もちろん火打石と火口箱はしっかり頂く。毛布やマットも。
一応、モコにも中に入って見てもらう。
幸太郎の見落としがあるかもしれないから。
すると、モコは箱を抱えて降りてきた。え? そんな重い箱を1人で持てるんだ。
箱の中を見て幸太郎は驚いた。
「え? これ、手錠とか首輪だよね? こんなの必要なのかな?」
「私も必要とは思いません。しかし、これらは町で買おうと思っても
普通に売っているものではありません。入手機会が無いので
マジックボックスに余裕があるなら入れておくべきです」
「なるほど。もし仮に必要な時があったとしても、
特注で作ってもらうしかないからか・・・」
まあ、必要な時がこないといいけど。
「ご主人様、馬車は持っていきますか?」
「いいや、これはこのままにしておく。檻もね。
こうしておけば盗賊の仲間がいたら、
人狩りに生き残りがいたと思うだろうし、
人狩りの仲間がきたら、盗賊に生き残りがいたと思うだろう」
「馬はどうしますか?」
幸太郎は馬を見た。馬はまだ馬車にハーネスで繋いである状態だった。
と、いっても、ハーネスは片方壊されているし、
馬はどうも前足の片方を骨折しているようだった。
「この馬はもう走れません。食料にしますか?」
(C)雨男 2021/11/13 ALL RIGHTS RESERVED