地球産
幸太郎はパンを咥えたまま、馬車の中を見て回った。
『陽光』を出す。モコの檻がまるまる入っていただけあって、
馬車はかなり大きいように思えた。これは普通サイズなのだろうか?
箱を開けると服が10着以上入っていた。早速、着替えがあってありがたい。
他にも鍵のかかった箱などがあるが、人狩りの持っていた鍵で全て開いた。
食器などは全てマジックボックスに放り込んだ。食料も残さず頂く。
服や靴ももらった。意外だったのがお金である。
金貨が50枚、銀貨も200枚、銅貨も200枚ほど箱に入っていた。
(なんでこんなに所持してるんだ? 襲った村の戦利品?
もしかしたら・・・何かトラブルがあったときは金で
解決する予定だったのかもしれないな・・・)
馬車の外へ出ると、すでにモコが剣や防具、所持していた金を集めていた。
手際がいい。全てマジックボックスへ放り込んだ。
モコは幸太郎が着替えたのを見て声をかけてきた。
「ご主人様、服の丈を調整いたしましょう。
私は生活魔法の『装着』<ウェアリング>が使えます」
モコがなにやら唱えたあとに、『装着』と宣言した。
すると幸太郎の着た服は、みるみるうちに幸太郎の体に合わせて
形を変えていった。実に動きやすい。
「おおお! こいつは便利だ! そうか、服がみんな大きく作ってあるのは
この魔法で調節して着るのが普通になってるからなんだな。
靴まで調節できるとは・・・」
ついでに幸太郎は自分とモコに『洗浄』をかけた。
(よーし、だいたい終わったかな) 幸太郎はボロボロになった背広と靴は、
マジックボックスに入れておくことにした。
考えてみれば、元の地球から持ってきた唯一のものだった。
(C)雨男 2021/11/13 ALL RIGHTS RESERVED