首輪の所有者
「えー。では敬語は無しでいこうか。俺のことは幸太郎って呼んでくれ。
・・・ところで、モコ、なんでここで待ってたんだ? まるで
俺が生き返るのを知っていたような・・・」
「はい。ご主人様が1時間ほどで生き返ると、ガイコツさんに聞きました。
本当はとても信じられなかったのですが・・・この首輪の所有者が
ご主人様から解除されませんでしたから、きっと生き返ると理解出来ました」
「そうか。最後にカルタス殿が何か話していたようだったが、
俺が生き返るって話をしていたのか。・・・え?
『首輪の所有者』って何?」
「え? もちろん、この『隷属の首輪』の所有者が
ご主人様になっていることです。
つまり、モコはご主人様の奴隷です」
「??? いやいや、俺、奴隷なんて買った覚えはないけど?」
「ああ。えーと・・・。順番に説明しますと、私は人狩りに襲われて、
この首輪をはめられました。所有者は人狩りの誰かになっていたはずです。
その後、盗賊に人狩りは殺されました。首輪の所有者は一度消えて、
そのあと私に触れた盗賊の誰かが所有者として登録されたはず。
そして、盗賊が死んだあと、私は幸太郎様に触れました。
その時に幸太郎様が私の所有者として登録されたのです。
ご主人様は確かに一度亡くなったようですが、
首輪の所有者はそのままでした」
「つまり、所有者が死ぬと、その次に触れた人が所有者になるってこと?」
「はい。その通りです。ご主人様」
なんじゃそれ・・・。
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