死霊術の内容
アステラとムラサキは、それぞれのバスルームでシャワーを浴びていた。
しかし、二人とも同じ疑問で頭が一杯だった。
「なぜ『冥界門』が・・・。あれは幸太郎に開けることができるような
代物ではないわ・・・」
「しかも、あの警告メッセージのウインドウは私が作ったものじゃない・・・」
「幸太郎のネクロマンサーとしてのレベルはまだまだ低い・・・」
「いえ、門を呼び出すだけでも、到底人間が到達できるようなものでは・・・」
実はアステラとムラサキは『死霊術については良く知らない』と
幸太郎に嘘をついていた。
幸太郎に死霊術にあんまり深入りしてほしくなかったからだ。
もちろん、アステラもムラサキも死霊術については一通り調べていた。
2人ともそんな無責任な神ではないからである。
調べる理由は単純で、要は『幸太郎が自爆するような魔法が
含まれているかどうか』が心配だったのだ。
その結果。死霊術はある意味『底が浅い』魔法だとわかっていた。
何しろネクロマンサーの魔法は基本的に、死者と話をする『交信』
死霊を冥界へ強制送還する『成仏』、
死霊を物質界へ呼び出す『召喚』・・・。これだけだからだ。
他にも『死体操作』や、リッチや不死の王になるために必要な
『幽体離脱』などがあるが・・・。
はっきり言えばネクロマンサーのジョブになることで
自動的にアンロックされてゆく魔法は
レベル25の『幽体離脱』で最後だった。
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