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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーとアルカ大森林 5
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番外編 第二次嫁ーズ会議  3


「えーっ!? 『一夫一妻制』!? じゃあ、何?


幸太郎さんの世界の女たちって、好きな男と結婚できなかったら、


『代用品』の男と結婚して、一生『代用品』で我慢して


生きていくってわけ???」





エーリッタが思わず叫んだ。





「いったい、どんな感覚してんの??? 意味わかんない!」





ユーライカもあきれ顔だ。





「私も全然理解できませんけど・・・イネスが


ギブルスさんを通じて聞き出した情報ですから


間違いありませんわ。幸太郎様の世界では、


それが普通で『当たり前』だそうですわよ・・・?」





ファルが幸太郎のいた世界について、重大な情報を



掴んだので、それを嫁仲間と共有している。





「あたいも、全然意味がわからねえ・・・。


コウタロウの世界の女たちって、『愛』ってもんを


持ってねえのかい? 男たちだって自分を好きだっていう


女を追い出して、それで平気なのか?


追い出された女たちはどうなっちまうんだ???」





「は、薄情すぎる、気がする・・・。


『代用品』にされた、男の人だって、


そ、それじゃ、可哀そう・・・。


きっと、こ、心は、傷ついてると思う。


お、『俺は誰かの代わりか』って・・・」





「でも、私は納得いったわね。ご主人様は、時々、


明らかに私とエンリイの『どちらかに決めきれない』って


感じで悩んでるような様子があったもの」





「うん、ボクもそれは時々感じてた。なんか、無理に


公平であり続けようって、距離をとる感じが


何度か見られたもん」





「そんなの、『どっちも妻にする』でいいに


決まってんじゃん! なんで片方が妻になって、


片方が泣きながら追い出されることになんのよ!?


極端すぎない!?


差がありすぎるって!!」





「捨てられた方が、カワイソ過ぎる!


愛に優劣でもあるっていうの???


捨てられた女は救いが無いよ! みんなで仲良く稼いで


子供育てればいーじゃんか!」





「はっきり言わせてもらいますけど・・・。


幸太郎様の世界の女性たちは全員狂ってますわ・・・。


とても正気とは思えません」





「同感。ってゆーかさぁ。そんな簡単に好きな男を


諦めるって、愛じゃないぜ。そんなのは『一時の気まぐれ』って


いうんだよ・・・。それに他の女を追い出しておいて、


残った夫婦2人だけで幸せになれるっての?


少しは心が痛まないのか? 他人の苦しみなんて


どうだっていいっての? 追い出されて泣いてる女を


高みの見物ってわけか?」





「う、うん・・・。薄情過ぎると、思う。


その程度の、気持ちなら、最初から


近づかないほうが、いいと、思う。


ほ、本物の、愛を、持ってる女性たち、には、失礼だよ。


そ、それに、追い出されたら、私たち、は、


コウタロウさんの、子供を、生む機会は、


永遠に、無いってことに・・・」





元の地球の女性たちから見れば非難囂囂、ブーイングの嵐だろうが、



この世界の女性たちには、これが常識でまかり通っている。



どうしても気に入らないなら、この世界へ転生して、



自分1人の力で、この世界全ての女性にケンカを売り、



常識を変えるしかない。





『方法』? そんなの幸太郎やギブルス、イネスにだって



思いつかない。





あ・・・。ルキエスフェルに協力を頼むという手があった。



彼と『トモダチ』になればいい。



きっといい夢を見せてくれるはずだ。



覚めない夢を、全ての望みが叶い、万事思い通りになる、



とてつもなく気持ちがいい夢を。





「私・・・ご主人様の世界に生まれなくて良かった・・・」





「ボクも同感!」





「わたくしもですわ。モコさんだけが幸太郎様と結婚出来て、


他の6人が泣きながら追い出される世界なんて、私には


絶対に耐えられませんもの・・・」





「あたしも嫌ー。私もこの7人で仲良くお嫁さんに


なりたーい」





「この7人で争うなんて、考えられないって・・・。


てゆーかさ、争ったら、あたし真っ先に死ぬと思う」





「あたいにゃあ無理。コウタロウの世界だったら、


この7人で最後は殺し合い? 冗談じゃないっての。


あたいはみんなの事も大好きなんだからさ。


戦うのは絶対にお断りだよ」





「わ、わたし、も・・・コウタロウさんの世界だったら、


お姉ちゃんと一緒に、お嫁さんになれなくなっちゃう・・・。


わたしの、わ、わたしの夢が・・・」





アーデルハイドがめそめそと泣き出した。



全員で優しく慰める。『幸太郎さんがこの世界に来たのは



私たちと結婚する運命だからだったんだよ』と言って。



クラリッサが、その大きな胸にアーデルハイドを抱きしめて



なんとか落ち着かせた。





そして、モコが幸太郎の恋愛履歴を暴露。



好きな人にプロポーズしたら、『断られた上に、笑われた』と。



もちろん、プロポーズなんかしてないが、モコは



そういう認識になっていた。





嫁ーズは声を揃えて叫んだ。





『もったいなーい!!!』





「幸太郎様をふってしまうなんて、その女性は


どうかしてますわ!!」





ファルの言葉に全員がうなずいた。





「あったま狂ってんじゃないの、そいつ」





エーリッタの言葉に嫁ーズが同意する。



だが、狂ってるのは嫁ーズの方だろう。



何しろ彼女たちが好きなのは、よりによって



サイコな幸太郎なのだから。





『こっちの世界の方が絶対にいい!!』





全員の認識が一致した。この世界で生まれ、この世界の常識に



染まっているのだから仕方ない。



そして、全員で声を合わせて叫んだ。





『この世界、サイコー!!』





すぐに人が死ぬ世界だけど。








この7人の『嫁ーズ』は元の地球の感覚で言えば、



『狂ってる』と言うしかない。



まあ異世界には異世界の歴史があるのだから、



常識のズレは止む得ない部分もあるだろう。





ただ、よりによって『幸太郎』というのが・・・。





元の地球の女性で『幸太郎が好き』などという者は



おそらく1人もいないだろう。



それに男でも幸太郎と友人になりたいという人は



少ないはずだ。





ただし・・・『あなたたちは狂ってる!』などとは、



この7人に言わない方がいい。








大変なことになる。






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― 新着の感想 ―
本人の知らぬ所で話が進んで結束が強まっていくのがもうw
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