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『冥界門』
『警告! 冥界門が開きます!!』
ウインドウに映しだされた文字は点滅を繰り返していた。
幸太郎にはこれが何か全くわからなかった。
だが。
すでに幸太郎は動くこともできない。両手と両足はもうない。
おそらく、あと数十秒で意識も消えるだろう。
もし、もしも、あの少女を助ける方法があるのならば、
それはこれ以外には『無い』
幸太郎は祈った。
(力を貸して・・・あの・・・少女を助けて・・・)
幸太郎の胸のあたりに緑色の光が灯る。
それは空中に浮きあがると2つの光の輪を作った。
輪の中に光が走り、八芒星が浮かび上がる。
(お願いだ・・・力を・・・貸して・・・『冥界門』・・・)
その瞬間、八芒星は血のように真っ赤になった。幸太郎の側から
空へ向かって 左右に割れていく。
『門』が開いた。
そのとたん、中から数十体ものゴーストが飛び出して空中を乱舞した。
ゴーストたちは、みな、声をあげて泣いていた。
(C)雨男 2021/11/12 ALL RIGHTS RESERVED