拷問
幸太郎は『陽光の癒し』を試そうと思った。
しかし、もう手遅れだった。
盗賊の残り2人は、すでに目前まで来ていたからである。
幸太郎はMPゼロ。もうゴーストすら呼べない。武器はあっても勝てない。
左足は動かない。『復活』はあっても、生き返るころには
盗賊はいなくなってるだろう。
少女を救う手立ては無くなった。
「てめえ! よくも仲間をやってくれたなあ! ぶっ殺してやる!」
「おい、待てよ。まずはたっぷりお礼をしてやらねえとな・・・おらっ!」
盗賊は幸太郎の右膝に思い切り剣を叩きつけた。
「ぐわあああっ!!」
幸太郎は右膝から下を失った。
「そら、こっちもだ!」
幸太郎の左膝から下も引きちぎられた。幸太郎が悲鳴を上げる。
「はっはっは、いい悲鳴あげるじゃねえか。ネクロマンサーよう」
盗賊たちがゲラゲラと笑った。
「やめて! お願い! その人を助けて!
なんでも、なんでもしますから!」
少女の叫びが響くと、盗賊はさらに笑った。
「おめえ、あの娘を助ける気だったのか? ああ? 死体のコレクションに
加える予定だったのかよ? 残念だったな! ここでお前が死体になるんだよ!」
(C)雨男 2021/11/08 ALL RIGHTS RESERVED