日常の夜
『ただいまっと…』
「パパ!おかえり!」
いつものやり取りだが心地がいい。
娘はまだ2歳にならないくらい、だいぶ喋れるようになったけどまだはっきりとは喋れない、だがそれでいい。それが可愛らしくてたまらないのだ。
『パパ先にお風呂はいっちゃうから待っててね?そしたら遊ぼうな』
どうしても娘と話す時は甘い声になる。
他人には聞かせたくないものだ。
着替えを持ち風呂に入る準備をする。
服を乱雑に脱ぎ、洗面台からカミソリとシェービングフォームをひったくるように取りササッとシャワーを浴びる。
風呂は嫌い、昔は好きだったが今は嫌いだ。
なぜなら嫌な仕事中のことを思い出したり、考えてしまったりするから…
湯船に浸かってのんびりと過ごすなんてとんでもない。
頭を雑巾を扱うように洗い、髭もチャチャッと剃る。
体もガシャガシャと雑に擦って適当に泡を流す。
いつもの流れ、だいたい10分くらい。
男のシャワーは早いのだ。
『あがったよ』
と娘に言うとにっこり笑う。
そしてお気に入りのうさぎのぬいぐるみを持ってこういう
「パパ!ちゃぽちゃぽちゃ!おわっ…た!」
これもいつもと同じ。
いや、正確には前より喋るようになったからちょっとは違う、でも大体は同じ。
チラッと台所を見ると楽しそうに鼻歌を歌いながら夕飯をつく妻の姿がある。
俺は朝食を作り、妻は夕飯を作る。どうも朝は動けないらしいから俺がやるけど夕食は【私】がやらないとダメらしい。
娘はいい子だ、妻が家事やら用事やらをこなしていると察してか1人で遊んでいる。
もちろん俺がいると俺とずっと遊ぶのだけど。
娘が俺と遊びたいんじゃなく俺が遊びたいのだ。
夕飯ができると娘が先に食べる、娘が食べ終わるとまた少し遊んだりして疲れてきたら歯磨きさせて寝かせる。
それから俺は…
ツブヤイッター
を済ませてからようやく妻と、かなり遅い夕飯を食べる。
朝とは違い軽く会話しながら酔わない程度のお酒を軽く飲みながらゆっくり過ごす。
そのあとは2人で鼻歌を歌いながら楽しく洗い物をしたり残った家事をこなすのだ。
『おやすみ…また明日。』
『これがあるから俺は頑張れるんだなぁ』
そう呟いて今日が終わる……………
とでも?
何がとは言わないが、夫婦の夜は長いのだ。




