トナカイのプレゼント
初めて書いた作品です。
拙い作品ですが、小説は書くのも読むのも面白いですね。
1年中雪に囲まれた場所、ここに小さな家が1つありました。そうサンタさんの家です。
この家にはサンタさんの他に2匹のトナカイが住んでいました。
今日はクリスマス当日、プレゼントを用意するサンタさんに妹のトナカイが聞きました。
「サンタさん、わたしのプレゼントはないの?」
「サンタさんを困らせては駄目よ、私達には仕事があるでしょ」
お姉さんトナカイが注意しても、妹トナカイは言う事を聞きません。ですがサンタさんは優しい顔に笑みを浮かべて聞きます。
「ふぉふぉ、いいとも、何が欲しいのかな?」
「んーとね、んーとね」
妹トナカイは右へ左へと首を傾けながら考えますが、中々プレゼントを決められません。
「あ、待ちなさい!!」
お姉さんトナカイが止めますが、妹トナカイは外に出ていきました。向かった先は友達の兎さんのところです。
「ウサギさんは、プレゼントは何がほしい?」
「僕は寒がりだから毛糸のマフラーが欲しいです」
元々寒さに強い妹トナカイは、兎さんの話を聞いてもピンときません。次に妹トナカイが会いに行ったのは狼さんのところです。
「ねぇ、オオカミさんはプレゼントは何がほしい?」
「俺は肉だ、お腹いっぱいになる位の肉が欲しいな」
狼さんの話を聞いても妹トナカイはプレゼントを決められません。
困り果てた妹トナカイは白い雪の上をトボトボと歩いていました。
「ん、なんだろう?」
しかし急に立ち止まったかと思うと、方向を変えてまた歩き出しました。誰かが泣いている声が聞こえてきたからです。
妹トナカイがしばらく歩いていると、そこには男の子がしゃがんでいました。
「こんなところでどうしたの?」
妹トナカイが話しかけると寒さで鼻を赤くした男の子が、ポロポロと涙を流しながら言いました。
「ゔん、お外であぞんでたら、帰れなくなっちゃった……」
「ならわたしが、お家までつれていってあげる!」
妹トナカイが男の子を背中に乗せると、魔法の力でフワリと空へ駆け昇っていきました。
「すごいすごい! ボクお空飛んでるんだ!」
「わたしはサンタさんとプレゼントをくばるのが仕事だからね……あ、でもこの事はヒミツだよ?」
「うん! 誰にも言わないよ!」
妹トナカイが夜空を駆けていると、キラキラとした家々の明かりが見えてきました。
「……ねぇプレゼントもらうとやっぱり嬉しい?」
「嬉しいよ! トナカイさんは嬉しくないの?」
「わたしはもらったことがないんだぁ」
「そうなの!? じゃあボクがおしえてあげるね!」
男の子は楽しそうに話し出します。貰った時のこと、友達と見せ合いっこした時のこと。
妹トナカイは自分の背から聞こえてくる声に耳を傾けていると、胸がポカポカしていくのを感じていました。
やがて1軒のベランダに体を寄せると、妹トナカイは名残惜しそうに男の子を降ろします。
「今日は早くねてね、じゃないとプレゼントあげないよ〜」
「うん! ありがとうトナカイさん! メリークリスマス!」
妹トナカイは男の子が家の中に入っていくのを見届けると、再び空を駆けて行きました。
「こんな遅くまで何処に行っていたの!!」
「ごめんなさい……」
サンタさんの家に帰った妹トナカイを待っていたのは、カンカンに怒っているお姉さんトナカイでした。
「まぁまぁ、無事に帰って来たから良いじゃないか」
「ですが!」
「それにこの子は良い事をしてきたようじゃしのぉ」
「え、サンタさんどうして分かるの?」
「ふぉふぉ、顔を見れば分かるさ、それに欲しい物も決めたんじゃないかい?」
妹トナカイはサンタさんの言葉に目をパチクリさせると、あの時の胸の暖かさを思い出しながら笑顔で言います。
「わたしは人を喜ばせたい、たくさんの笑顔がみたいです!」
妹トナカイの言葉を聞いたサンタさんは、満面の笑みを更に深くすると大きな白い袋をそりに乗せました。
「ふぉふぉ、では今年も頑張って運ばんとなぁ」
「「はい!!」」
年に1度のクリスマス。
良い子のみんなは、朝起きた時にベッドの脇にプレゼントがあったら、笑顔でサンタさんにお礼を言いましょう。
君達のその笑顔が、サンタさんとトナカイ達のクリスマスプレゼントなのですから。