〜人の不幸は蜜の味〜前編
「ボコッボコッボコッ」
僕はトイレに転がり、お腹を何度も何度も何度も蹴られる。
「おえぇぇぇぇ」
あまりの蹴りに僕は吐き出してしまった。
「うわっ、こいつ吐きやがった」
「うわぁ、キッモ」
「お前なんか、そのまんま死ねばいいのに」
「だな」
そう言って笑う。
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僕は、緋村優月
今日、ここ咲字浦高校に親の都合で転校することになった。
初めは嫌だったが何回も転校するうちに慣れてしまった。
慣れとは怖いものだとつくづく思う。
「今回はどんな人に出会えるかな...」
期待半分不安半分で教室に足を踏み入れた。
「おはよう」
「...おはよ」
気のせいか睨まれた気がした。
きっと気の所為だろう。
席につき身支度を終えると、先生がやってきた。
「おはようございます」
「今日は転校生を紹介します」
「緋村くん、前へ」
少し緊張しながら前へと歩を進めた。
「自己紹介して」
「はい、昼丘高校から転校してきました、緋村 優月って言います、仲良くしてくださいお願いします」
そう告げ、一礼する。
「仲良くして上げてくださいね」
「緋村くん席に戻っていいですよ」
先生は笑顔でそう告げる。
僕は席に戻り安堵した。
そして、ホームルームが終わった。
「緋村くん、俺、凪望竜也よろしく竜也でいいよ」
「よろしく竜也、僕も優月でいいよ」
僕はクラスにも慣れ友達も出来た。
...このまま順調に時はすぎていくはずだった。
「だよな」
「あのテレビ笑ったよ」
「ドンッ」
「あ、ごめんなさい」
「痛ったー、これは慰謝料もらわないと」
「え、少し当たっただけじゃないですか...」
「あ? なに? 文句あんの?」
「はい、あります そんな理由でお金は上げられません。では、失礼します」
「なんなんだよアイツ」
竜也が怯えたような声で言った
「アイツに逆らうといじめられるそいつを庇うやつも」
「すまん、俺もう優月と居られないわ」
「楽しかったよ」
「じゃあな」
「ちょ、待ってよ、どういうこと?」
「ねぇ、ねぇってば」
竜也は僕を置いて去ってゆく。
「なんで竜也...」
次の日から嫌がらせが始まった
最初はただ、嘘の噂を流されたり、陰口を言われたりしただけだった。
だがだんだんエスカレートしていった
陰口から落書き、物を隠す、暴力とだんだん増えていった。
僕は精神的にやられ始めていた。
「キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン」
俺は手紙で屋上に呼び出された。最初は勿論行ってなかっただがもう限界だった。
屋上に行くといつもの4人がいた。
「もう、いじめを辞めて欲しい」
「は?コレいじめじゃねぇーし」
「そうだぞ、遊んでやってるだけじゃないか」
「それをいじめだなんて、俺悲しい」
と言って笑った。
そのあとお金を巻き上げられお腹を蹴られ髪を切られた。
もう限界だった、僕はそこで死んでしまおうと思った。
だけれど、僕にそんな勇気はなかった途中で怖気ずいてしまってそのまま家に帰った。
いじめられる前はよく外で遊んだでも今はネットしかやらなくなった。
今日もいつものようにネットで遊んでいると、面白そうなのを見つけた。
マルピー ・「なぁお前らは知ってるか」
ムーにゃん・「なにが?」
ヨシノ・「Me too.」
マルピー・「路地裏の天狗様」
ヨシノ・「何それ?」
ムーにゃん・「あー、あれでしょ」
ムーにゃん・「4:44に、どっかに今風じゃない扉が出来てその中になんでも願いを叶えてくれる天狗がいるってやつでしょ」
ヨシノ・「何そのむっちゃ嘘くさい噂w」
マルピー・「いやぁーなんか面白そうな噂ないかなって、調べてたらヒットしたw」
ムーにゃん・「私の友達そんな感じの見たことあるって言ってたけど」
ムーにゃん・「そいつをどう思う?」
ヨシノ・「すごく、嘘くさいです」
マルピー・「でも、いたらいたで嬉しいよな」
ムーにゃん・「まぁね」
ヨシノ・「そりゃぁな」
これだこれでアイツらに復讐してやると心に決め路地裏の天狗様を探し始めた。
だがなかなか見つからず2ヵ月たった。
諦めて死のうと電車の線路へ向かう途中
僕は見つけてしまった。
「路地裏の天狗様やっと見つけた...」
僕は何も考えずに扉を開けた。
すると、中には大きな畳の広間に机と椅子がぽつんとおいてあった。
「あのぉ、誰かいませんか?」
「はい、はい、ちょっと待ってね」
少しするととても顔が整っていて背がスラッと伸びた男の人がやってきた。
「お待たせしました、こちらへお座り下さい」
「はい...」
「あなたは願いを叶えてくれる天狗様?」
「はい、私は天狗ですよ」
「あの、この4人を不幸にして欲しいのだけどできますか」
そう言ったあと4人の写真を差し出す。
「もちろん出来ますよ」
イケメン天狗は笑みを浮かべた。
「もちろん代償もありますけど」
「代償?」
「はい」
代償とは、なんだろうお金かなでも天狗なら人とかかな。
「代償はあなたの寿命ございます」
「えっ?」
「今回の件ならBランク案件ですので
4年寿命を頂きますがよろしいですか?」
4年の寿命とあと2年間いじめられるのを考えた、そしてすぐに答えは出た。
「お願いしますアイツらに僕と同じ苦しみを」
「...分かりました、では寿命貰いますね」
「目を閉じて下さい」
指示に従い目を閉じる。
体からものすごい脱力感がして倒れそうになるが持ちこたえる。
「はい、終わりました」
その声に目を開ける。
指の爪に魂を型どった様な印があった。
「終わったんですか?」
「はい、終わりましたこれで契約成立ですでは、あとは私共にお任せ下さい」
イケメン天狗は笑った。
「あの、あなたの名前は」
「私ですか? 私は魅鶴といいます」
「僕は優月ですお願いしますアイツらに復讐を」
「はい、お任せ下さい」
そして、僕は家に帰った。
優月くんは元はとても元気で気の強い男の子だったんですよ?
いじめは人を変えてしまう
いじめ・ダメ・絶対 です
ーーーーーーーーーーーーー鳥丸