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第37話 イブなんて関係ない

実は勇者が一番非常識だという罠。

短いですがどうぞ♪

 クリスマスイブ。






 クリスマスイブ。


 ……うん、クリスマスイブ。



 クリスマスイブ。



 え、しつこいって? うん、ごめんなさい。



 えーと、魔王城の人はイベントが大好きだ。というよりかは、楽しいことが大好きだ。

 それは、ハロウィンの時に実証済みである。

 クリスマスなんて日があろうものなら、その三日前から騒いで遊んで笑い倒すほどの勢いで。

 それは別に僕も構わない。

 僕だって楽しいことは好きだし、魔王城の人がみんなネガティブでクリスマスがお葬式のようになるより断然いいと思っている。

 だから、魔王城を綺麗に飾りつけしたり、楽しく騒いだりしても怒ったりはしない。当たり前のことだ。



 ……が。





「……何、やってるんですか」

「見ての通りですよ?」




 自重知らずの人たちが約4人。



 ヘタレさんにファルノムさん、害虫さんにヘタレさんのお兄さん。



 人が散歩している間に部屋に不法侵入するような変態4人組が、僕の部屋に居座っていた。

 イブだろうと何だろうと、さすがに……やりすぎじゃあないのか。自重してくれ。

 というか、そもそも……この人たちに、イブとか何だとか関係ないよな。不法侵入とイブの関連性は全くないし。


「……あの……、ヘタレさん?」

「ヘルグです。クリスマスイブなんだし、楽しく行きましょうよ♪」


 だから、不法侵入にイブも何もないでしょーが。

 不法侵入楽しいか? 楽しいのか?


「ほら、サンタクロースだって毎年毎年不法侵入してるじゃないですか。それも数え切れないほど」

「そ、そうですけど……それ関係ないでしょうが! そういう問題じゃないですから! ていうかむしろ子供達の夢を壊してるだけのあなたが何を」

「コメット殿! 細かいことは気にするな、ヘルグの言うことに間違いはない!」

「うるっさいブラコンめ!」

「僕はシスコンだよコメットちゃん!」

「知るか!」


 僕はすり寄ってきた害虫さんを蹴り飛ばす。

 もう、最悪だ。一体何だっていうんだろう。

 何でこんなにふざけた奴が集まってるんだ。しかも、僕の部屋に。

 何とも迷惑極まりない話。

 ただの嫌がらせとしか思えない。いや、実際嫌がらせなんだろうけどね?


「とりあえず、出てって下さい!」

「行くところもないんです、ここ以外に」

「私の部屋を何だと思ってるんですか!?」


 行くところないって、そんなわけないだろう。自分の部屋あるくせに。

 つか、本当に行くところないなら土にでも還れ。僕は止めないよ。


「あ、それにファルノムさんも寝てますし。起こさないであげて下さいね♪」

「ふざけんなぁぁ!」


 僕は絶叫する。

 何で人の部屋で寝てるんだよ。自分の部屋で寝ろよ。

 ……でも、ぶっちゃけ起こす勇気はない。

 だって、変態4人組だし。変態を侮っちゃいけないぞ。怖いから。


「大丈夫ですって。まだ何もしてませんから」

「だから“まだ”って何だ!」

「そのままの意味です」

「出てけ!」


 その後も口論は続き。

 非常識な人に常識を説いても仕方ないということは分かった。以上。

 ……勿論、変態4人組は出ていく様子を見せず。無駄な努力だったね。うん。


「……はぁ、もう……じゃあ、もういいです」

「え?」


 僕はそう言って、胸の奥底からため息を押し出す。彼らとしては予想外だったのか、驚きの声が漏れたけれど。

 この人たちは本当に……、呆れてしまう。

 もう、何を言っても出ていかないだろう。ていうか何を言っても聞いてないんだろうな。

 それなら仕方がない。

 ああ、と言っても――決して全部諦めたわけじゃない。

 負けてばかりだと悔しいから。


「代わりに、今から私がすることを手伝ってもらいますよ?」


 代わりに――たまには、僕がこき使ってやろうなんて。

 どうせ一人じゃ終わらせられないと思うし。


「手伝い……って、何をだい? 僕でよければ何でも手伝うよコメットちゃん!」

「あんたは黙れ」


 まあ、よく分からんが乗り気な害虫さんは放っておいて。

 つかちゃん付けはやめてほしい。本気で。いやむしろ呼ばないで。


「魔王様の誕生日プレゼント、ですよ」


 うん――こき使ってやろう。

 精一杯。


 いつもの百倍返しで、ね♪












 ――クリスマスまで、あと少しだ。


 そして、魔王様の誕生日までも。




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