*番外編 赤ずきん劇場*
皆さん突然こんにちは。番外編です。……あっいや別に本編放棄してるわけじゃないですよ!?←
コメディが書きたくて色々走りました。
題名通りなので、苦手な方は逃げてください。読み飛ばしても何一つ問題ないです。
☆などの記号も乱用してます、あ、それから主人公があんまりいなかったり。主要キャラでやってるつもりですが、しばしば逸れたり。それからアレスとキナが好きじゃないって方は中盤少しつらいかもしれないです、私がつらかったので←
それでもいいよって方のみどうぞ!少しでも楽しんでいただければ幸いです。
台本(看板に偽りあり):赤ずきん
配役(くじ引き決定):
《赤ずきん》影「貧乏くじ引いた」
《狼》デュレイ「なるほど。望むところだな」
《猟師》ルーダ「ヘルグはどこだああぁぁぁぁあああっ!」
《木こり》サタン「…………不愉快だ」
《おばあちゃん》魔王「おば…………」
《お母さん》ヘタレさん「科白ほとんどないんですけどどういうことですか作者ぶっ飛ばしますよ」
《お土産のワイン》勇者「役じゃねえだろ」
《ナレーター》キナ
《照明》ディーゼル
《音響》アレス
《大道具》オリオン
むかしむかし、あるところに、とても可愛い女の子がいました。
その子はおばあちゃんからもらった赤い頭巾をいつもかぶっていたので、みんなから赤ずきんと呼ばれていました。
「何で主人公を女の子にしようと思わなかったのかが一番の疑問なんですけど。ていうか何、赤い頭巾って」
こら、話を逸らそうとしない。シンデレラの時もそうだったけど、こっちのレイ君もなかなかおしゃべりが好きみたいね? うるさいからどうせなら二度と物理的に口が利けないようにしてあげましょうか。
「物……すんませんでした」
分かればいいのよ。やっぱり人間素直が一番よね。
しいて言うなら頭巾は多分当時の流行の最先端だったんじゃないかしら。知らないけど。
とにかく赤ずきんはお母さんの言い付けをよく守る素直ないい子で、みんなからも好かれていました。
「……こんなお母さん嫌なんだけど」
「そんな冷たいこと言わないで下さいよ。私はとっても嬉しいですよ?」
「僕はとっっっても嬉しくない」
こらこら、威嚇しない。ヘタレさんも相手は実の娘設定なのよ。襲ったりしたら怒るからね。
「襲!? ちょっ、側近さんお願いだから近付かないで」
「襲いませんってば。大体今釘を刺されたばっかりですし」
「そもそもそういう思考が働いている人に近付きたくないしほんとやめて無理無理生理的に無理来んな変態」
「……だからそこまで節操なくないですって」
……光の方より人の扱いには容赦ないのよね。わたしとしては爽快だけど。
うん、とりあえず続けるわよ。
赤ずきんはある日、お母さんに頼まれて、病気のおばあちゃんのお見舞いに行くことになりました。
「これがおばあちゃんへのお見舞いですよ。いいですか、決して途中で寄り道してはいけません。それから魔王様に会ったら是非私からの愛を伝えておいて下さ」
「死ねクズ野郎」
こら赤ずきん、反乱を起こさない。相手は母親よ。ヘタレさんもヘタレさんだけど。
赤ずきんは明るく返事をして家を出る――はずでしょ?
「行ってきます!」
あ、今、ヘタレさんのいる家を出られることに対して明るさを込めたわね。貴方たちいちいちヘタレさんへの扱いがひどいんだわ。
「いや、キナほどじゃないよ……ざっくりそこを指摘しちゃうところとか」
わたし事実を言っただけだもの。
「お願いだから側近さんめげないで。僕に慰める義理ないから」
……でも、ある意味影の方のレイ君は光の方より優しいわよね。積もった恨みの差かしら。
さて、赤ずきんはお土産の入ったバスケットを持って家を出て、森の向こうのおばあちゃんの家へと向かいます。
「森なんてどこに」
今セット中でしょ! そういうこといちいち指摘するのやめて! 吊るし上げるわよ!?
「……ご、ごめん、キナ」
あら、いいのよ。間違いは誰にだってあるわ。次言ったらぶっ飛ばすけど。
赤ずきんは、森の入り口に辿り着きました。おばあちゃんの家へは、この森を抜けるのが一番の近道です。
森は昼でも薄暗いですが、けれど赤ずきんは怖くなんてありません。
何故なら通い慣れた道だからです。ためらいもせず、赤ずきんは森の中へと踏み出しました。
「いやいやいや、薄暗いどころか真っ暗っていうか!」
森は昼でも薄暗いですが、けれど赤ずきんは怖くなんてありません。
「だから前がそもそも見えないし! どこ行けばいいわけこれ!?」
何故なら通い慣れた道だからです。ためらいもせず……進める、わよね?
「おっ、脅されても進めないもんは進めなっ――とわっ」
あらら、森に入った途端に赤ずきんは何かにぶつかってしまいました。前方不注意ね。いくら真っ暗でも、ちゃんと心の目で前を見てないと。
「え、ちょっ、心の目なんてそんな無茶なっ――!?」
「おいおい、人にぶつかっておいて謝罪の一つもなしかよ?」
「……げっ……」
しかもなんと、ぶつかった相手はお腹を空かせた狼さん!
森の動物たちとも仲のいい赤ずきんですが、狼だけは話が別です。
赤ずきんは思わず後ずさりました。可愛い女の子はそんな後ずさり方しないわよレイ君! 狼は追い詰めるように赤ずきんに近付きます。
「よ、よりによって何であんたが狼役のわけ……」
「くじ引きの結果だ。仕方ないだろ?」
「そもそもくじ引きで配役決める方がおかしいでしょ!」
こらこら、レイ君デュレイさんケンカしないの。ていうか赤ずきん口答えしない。
「どうしろと!?」
逃げれば?
「適当すぎ!」
何とかなるでしょ。
本当は狼さんに親切にしてもらう予定だったんだけど予想より狼と赤ずきんの仲が不和だったのでとりあえず赤ずきんは逃げ出します。
あー、レイ君、魔法は禁止ね。森のセット壊したら怒るから。もし一部でも傷付けたりしたら大道具係のオリオン君に土下座してきてね。そして彼の妹さんと結婚してあげて。
「鬼!?」
鬼じゃないわ。だって赤ずきんは魔法なんて使えないもの。
「そういうところだけ設定に忠実ってどうなの!」
いいことだわ。
「とっくの昔に分かってたことだけどキナの基準って本当に分からない!」
あら、光栄ね。わたしレイ君をいじるのとっても楽しい。
「お願いだから光にしてよ! ――っていうかここどこ! 相変わらず真っ暗なんですけど! 照明何やってんの!?」
ディーゼル君なら弟妹がそろそろぐずりだすからって言って帰ったわよ。
「ちょっ、あの野郎もう二度と慰めてやんねえからなあああああああ!」
レイ君口悪いわ。
狼から逃げるうち、赤ずきんはどんどんと森の出口へと近付いて……いるようないないような。迷ってしまったかもしれません。仕方ないわね。
「仕方ないわけ!?」
仕方ないわよ。レイ君が悪いんだもの。わたしにどうにかできることじゃないし。
ほらほら、狼が追ってきてるわよ? 逃げなきゃ!
「えっ、ちょ、何であっちは僕のこと正確に追ってこれてんの!?」
それだけ騒げばどこにいるか分かるってもんよ。
「……なるほど。把握」
あ、だからって黙るのは許さないわよ? そんなの楽しくないもの!
「僕の方は生憎そういう楽しさは求めてないから……」
あら、レイ君がしゃべらないならわたしがべらべらしゃべっちゃうわよ。
影でも光でもどっちにしたって一体何年一緒にいると思ってるの。弱みとか恥ずかしいことだってたくさん知って――
「あーあーあーあー! すいませんでしたっ、僕が悪かったです! もう本当キナ鬼!」
鬼じゃないわ。せめて修羅って言って。
「……それってマシなわけ?」
知らないわ。でも格好いいじゃない。響きとか。
「さいですか……」
あ、ほら、狼さんが来ちゃったわよ?
どうでもいいけどわたしは結構デュレイさん好きだな。
「いや本当にどうでもいいけど。とりあえず……行き止まりだよ?」
わたしに言われても困るわ。
「ちょ、容赦ない……」
「ま、あきらめろよ。相棒」
「……いや……この際何でもいいけどさ、とりあえず唐突に横から声掛けるのやめてくれる? 死ぬほど驚くから」
「後ろからだったらいいのかよ」
「余計駄目」
あらあら、赤ずきんがお腹を空かせた狼さんに捕まってしまいました。
けれど狼さんの悪意なんてちっとも知らない赤ずきんは――
「いや、悪意は見るからに分かるけど。指肩に食い込んでるし……痛い痛い痛い痛い! 何すんの!」
「悪意を分かりやすく示してみた」
「それはご丁寧にどうも!」
けれど狼さんの悪意なんてちっとも知らない赤ずきんは、いくら不和とはいえ、仕方がないので狼さんに道を尋ねることにしました。
「不和の相手なんだからせめて悪意を疑えよ!」
だって赤ずきんが狼さんと仲があまりよくないのは食わず嫌いのせいだもの。
「何を!?」
狼の肉をよ。
「ちょっ、やめてそういう話題! 食ってんのかい! そりゃ狼も人間を襲いたくなるわな!」
人間と魔物とおんなじだわ。
とにかく道を尋ねるの。レイ君、早く。
「……ちっ」
舌打ちしない。
「……狼さん狼さん。その立派な毛皮を刈り上げられたくなかったら森の出口までさっさと案内しやがって下さい」
まあ、狼相手になんて大胆な道の尋ね方。
けれど狼さんは大人なのでやさしく言います。
「だが断る」
「どこがやさしく」
断っても言い方はやさしいでしょ。
「いや、だからそもそもここって断るところじゃ……キナ。台本は?」
ないわ。
「は?」
ないわ。
「や、同じ言葉を繰り返されても……」
台本なんてないわ。行き当たりばったりよ。見切り発車。人生そんなもん。人が生きるのに台本なんてあって? 臨機応変に対応していかなきゃやってけないわよ。柔軟な奴のみが生き残るのよ。それができない奴は冬の夜明けに骸として街の隅っこに転がってるか安くて怪しい居酒屋で「飲まなきゃやってらんねえぜ……」って言って呑まれてるのよ。決まり切った台本で渡っていけるほど世間は甘くないわよ。
「……いや、あの、キナ? そういうことじゃなくて……」
それとも人生の負け組になりたいの。元から男として負け組に転がり落ちてるのにこれ以上駄目男のレッテルを貼られたいわけ? 死ぬの? 死にたいの? 手伝うわよ?
「…………何でそんなに機嫌悪いの」
そんなの、アレスが音響でそばにいないからに決まってるじゃないっ!
「……あ、なるほど。完全なとばっちりね。――ちょっとアレス、音響とかどうでもいいからキナのそばにいてあげて。僕が困る。……え? うん、そう。キナの機嫌が悪いんだって……手の付けようがないっていうか……だから本当助けて。このままだと本気で物理的に狼に食われる展開になりかねない」
…………。
………………。
はーい、じゃあ続けましょうか☆
「おお、キナが戻った……アレスパワー恐るべし」
何変なこと言ってるのレイ君。ほら、続けるわよ。どこからだっけ?
「狼さんがやさしく道案内してくれるところから(語弊有)」
そうそう、そうだったわね。
狼さんは下心を何とか隠して赤ずきんを案内します。勿論出口へ、ではなく、素敵な花畑へと。
「下心って……」
「安心しな、相棒。俺はお前に興味ないから」
「俺はって言い方がすごく引っ掛かるけどとりあえずありがとう。知ってる」
「あー、でもお前を落とせば同時にコメットも――」
「あーあーあーあー! 余計なこと考えるな! さっさと案内しろ!」
「冗談だろ? 本気にすんじゃねーよ」
「だったら真面目な顔で言うなっ、真面目な顔でっ!」
ほらほら二人とも、ケンカしないの。いいから花畑。……オリオン君、花畑セット用意してー!
「雑用扱いか」
「いい気味だな」
本音が出てるわよ二人とも。
そんなこんなで、二人は花畑に辿り着きました。
……ほら、赤ずきん、狼、科白ー!
「赤ずきんちゃん、おばあちゃんへのお土産に花を摘んでいったらどう?(棒読み)」
「そうね。そうするわ。綺麗なお花、どれがいいかしら?(棒読み)」
冷めた顔で言わないでくれる? レイ君、大丈夫よ。女の子の口調なら光の方がいっぱい使ってるから。
「なら何で今回の主役僕なわけ……」
公正なくじ引きの結果だわ。作者は引いた瞬間大爆笑してたけど。
「……ちょっと席外しても?」
駄目よ。作者をしめるんなら後にしなさい。
「……ちっ」
舌打ちしないの。
ほら、それより花を摘む! ――絵だから摘めないけど!
「摘めないものをどうやって摘めと」
心で摘むのよ。
「いや、無理なもんは無理……」
つべこべ言わない! 振りでいいからさっさとしなさい!
そうして、赤ずきんは綺麗なお花を摘み始めました。お母さんに寄り道するなと言われたことは完璧に頭からすっぽ抜けています。どうやら記憶力が足りないかむしろ頭自体が足りないかどっちかみたいね。
「そういうこと言うか……」
ねじが4本くらい足りないのね。
その隙を狙い、狼は後ろから赤ずきんに歩み寄りました。赤ずきんは気付きません。お腹の空いた狼さんは、今にも赤ずきんを食べようとしています。
「いや、ちょっ、デュレイさん本気!?」
「影なんだから大丈夫だろ。……生はあれかもしれないけど、まあいけるだろ」
「いやいやいやいやいやー! いけないー! いけないからー!」
でも赤ずきんは気付きません!
ほら、木こりさん、出番よ!
「いや木こりって花畑にいるっけ!?」
台本ないからどうでもいいのよそんなこと! 多分お仕事さぼって蜂さんと遊んでるんだわ!
「どんな木こりだ! ――ていうか木こりってっ」
ちょっとサタン様! 出番だって言ってるでしょー!
「やっぱりあの人か……! ごめんなさいっ、僕今すごくお腹が痛くっ」
こらこら退出は許さないわよレイ君!
サタン様も渋らない! デュレイさんも顔しかめないの!
「……役を明らかに間違ってるだろ」
「……同感だ」
こらー、睨み合わない!
……うん? 狼さんと木こりさんだからいいのか。
そうね、いいわ。でも赤ずきんはまだ花を摘んでいます。
「こんな殺気後ろで出されてるのに!?」
凡人こと赤ずきんは殺気なんて読めないから大丈夫。
「いやいやいや、あからさますぎるから……! どんだけ鈍いんだよ! 花もう結構摘んだはずだろ!」
暗黙の了解よ。黙ってなさい。
さてさて睨み合う木こりさんと狼さん。軍配はどちらに上がるのでしょうか!?
「軍配って……いや、腹ぺこなら木こりでも食べときゃいいのに」
どう見ても赤ずきんの方が食べごろじゃないの。
「うわ……嫌だ……」
多分グルメな狼なのね。不味いものは口に入れたくもないのよ。
「いらないよそういう設定」
あってもいいと思うわ。
「いや、全然いらない……」
あってもいいと思うわ?
さて、ほら、木こりさんとっとと赤ずきんを助けてあげて。話が進まないわ。
「――地獄の」
ちょっ、ちょっと待ってサタン様! 木こりは魔法なんて使わないわよ!
デュレイさん――はまあいいけどレイ君を殺したりしたらわたし怒っちゃうからね!
「俺はいいのかよ」
いいわよ!
「お前が怒ったところで私に何の関係がある」
あら、大いに関係あるわ。見てなさい死者の威光。
わたしに盾突いたこと死ぬほど後悔させてやるから。
「ちょっ、キナ、落ち着いて……ほんとサタンも勘弁してよ。もう帰っていいから」
「……ふん」
あ、こら待て、逃げる気っ?
ちょっとアレス離してよ! いや? 嫌ですって? いつからわたしに意見できるほど偉くなったのアレス!
「だからキナ、落ち着いてってば……ここらへん流して話続けようよ」
むー……仕方ないわね。レイ君がそう言うんなら。
木こりは赤ずきんを助け、そして去っていきました。赤ずきんは何も知らずに森へ踏み入れます。
「……って、え、また森?」
安心して。照明係帰ってきたから。
「あ、そう……」
花をかごいっぱいに摘み、赤ずきんは歌いながらおばあちゃんの家へと向かいます。
けれど、木こりに粉々にされた狼は――
「粉々!? 粉々って何!?」
あ、間違ったわ。
木こりに散々痛めつけられた狼は、赤ずきんを追うことをやめ、赤ずきんのおばあちゃんの家に先回りして待ち伏せしようと考えました。
狼はけもの道を突っ切り、おばあちゃんの家へと辿り着きます。
「……一つ、いいかい」
なに? 狼さん。
「赤ずきんのばーさんっつーのは、つまり、この劇の中じゃあ魔王サマだよな」
そうね。
「……よし」
手加減してねー。
……でももし正当防衛でおばあちゃんが狼を倒しちゃったらお話は一体どうなるのかしら? そのままハッピーエンド?
「僕はそれでいいと思うけど……」
まあ、とにもかくにも狼さんはおばあちゃんの家の戸をノックしました。……律儀ねデュレイさん。
「不意打ちで勝ってもつまんねーだろうが。強い奴っていうのは正々堂々戦うべきだろ」
素敵ね。美徳だわ。綺麗事とも言うけど。
「邪魔するぜ」
「邪魔しないでください!」
……あら?
レイ君じゃない。光の方の。コメットちゃんって言った方がいいかしら?
君はたしかお土産のワイン役だったと思うけど……どうしてもうおばあちゃんの家に着いているの?
「だってお土産のワインって役じゃないじゃんもう……暇だから魔王様とお茶してました」
ワインがお茶するとか生意気ね。共食い? 成り上がった気でいるんじゃないわよ。
「いや、だからワインとか役じゃないし」
だったらいてもいいけど劇を邪魔しないでくれる?
ほら、魔王さまも役に戻る! 呑気にお茶飲んでないで、病気設定なんだからさっさとベッドに入りなさい!
「き、キナ鬼……っ」
「な、泣くなコメット……」
だってアレスが今席外してるんだもの!
いいじゃないデュレイさんは嬉しそうよ!? いいじゃないの!
「あ、アレス早く戻ってきてー! てかどこ行ったの!?」
わたしがそんなこと知ってると思うのっ!?
音響よ音響! 音響の仕事に行ったの!
「し、知ってるんじゃん……」
いいから続けてよもう! ほら、デュレイさんさっさと魔王さまでも何でも胃の中に収めなさい!
「ならまずは解体さないとな」
「ちょ、後で生きて出てくる設定はそしたらどこに!?」
「台本ねーならいいだろ」
「デュレイさん私のリルちゃんにそんなことしたら許しませんからああああああっ!」
うるさいわよコメットちゃん! 黙ってて! 邪魔しないでって言ったでしょ!?
ほら、さっさとそこどきなさい! 魔王さまも逃げようとしない! 大人しく解体されなさいっつーの!
「あ、アレスー! 音響いい! 音響いいからさっさと戻ってきてってばー!」
何よだからうるさいって言ってんのよワイン風情は黙って――!?
何、なに後ろからっ!? ……え? アレスっ?
――落ち付けって? 何よアレスのばか、わたしを置いて音響の仕事に行ったくせに! わたしよりも音響が大事!?
……違う? 嘘ばっかり! それだったら何でわたしのことを置いてったのよ! わたしのことなんて何とも思ってないくせにっ――!?
「……影、とりあえずナレーションしてあげて。状況分かんないから」
「えー? 光がやればいいじゃん。ていうか僕状況的におばあちゃん家にはいない設定なんだけど」
「いや、ナレーションだから。もう何でもいいから。読者さまのために」
「何で僕が……。……音響から戻ってきたアレスがキナを後ろから抱き締めたりしてんじゃないですか、はい。そんでまだ喚くキナに――。……これも言わなきゃ駄目?」
「要するにキスしたんだろ」
「うわ、デュレイさんばっさりだね。いいけど。……これ何? 何の需要? いやキナたちが何だって言うわけでもないけど……一応これ赤ずきんなんだよね?」
「そんなこと私に言われたって……」
「光が何とかしてよ。幼なじみでしょ」
「影もでしょ?」
「別に俺は何でもいいけどな。魔王サマを解体せんなら」
「それ一番よくないですから!」
「私もそれは許しませんよ俗物!」
「うわっ、側近さんどっから」
「驚いてる影さん可愛いですねっ」
「…………ガチで言ってんのあんた? 死ねば?」
「か、影まで口説き始めるんですかヘタレさん!」
「コメットさんを口説くなら影さんも口説かなきゃって思ったんです」
「意味分かんないし……光だけで満足してよ。大体僕はこいつとは別人だって思ってもらっていいから。てか同一だって思われる方が迷惑だし心外」
「……影。私だって怒るよ」
「大丈夫です。影さん自身も好きですよ私。側近さんって呼び方も好きですし」
「……あぁそう。じゃあヘタレさんって呼ぼうか」
「影さんもやっぱりコメットさんと同じでツンデレなんですね!」
「うわうぜえ!」
こらこらヘタレさん、貴方はお母さん役でしょー。さっさと舞台から出て行って、ほら、影の方のレイ君も今は出番じゃないわよ!
「……あれ」
「……キナ、戻って来たんだ」
何の話よ?
わたしは最初っからここにいたけど。
「いや……何でもないけど。ねえ、影」
「うん。何でもない」
ならいいけど。
ほら、それじゃ続けましょ? 狼さんがおばあちゃんを丸呑みするところからね!
「……解体は? していいんじゃねえのか」
こらっ、そんなことしたら死んじゃうでしょ! 常識考えてよねデュレイさん!
「さっき大人しく解体されなさいとか言ってたのは誰だったかな――まあいいけどよ。仕方ねえ、でも丸呑みはさすがにできないと思うぜ?」
んー……そうね。殺さず、あとむやみに傷付けないんだったらわたしは別に何だっていいけど。
「じゃあ井戸にでも落とすか」
「殺す気しかないですよねっ!?」
あ、こら、だからワインには口なんてないってば。
だけど井戸に落とすのはあんまりよ、デュレイさん。……魔王さま見るからにか弱そうなのに。
「か、か弱くはないけど……」
設定的にも一応病気なんだしね。
「いいだろ別に。こいつ見た目よりも図太いぜ」
図太いって言い方はやめなさい美しくない。
とにかくやめなさい! 大体そんな話じゃないでしょうが? わたしデュレイさんの腹が割かれるの見たいのに!
「やめてくれその言い方」
……わたし、デュレイさんがこてんぱんにやられるところ見たいっ。
「キナって鬼畜だよね本当……」
鬼畜の何が悪いのよ☆
ううんっ、だめだめ。初期設定があるから自重するわ。でもとりあえずそろそろ決めないと、もう文字数が結構なことになってるわよ?
「あ! 本当だ……どうするの?」
とりあえずワインは黙ってね。
うーん。じゃあもう来い、赤ずきん!
「ここで!?」
ショートカットよショーカ!
「無理に縮めなくても! いいよもう、僕行きますっ」
それでいいのよそれで。
そういうわけでおばあさんを食おうとしてたところに赤ずきん乱入! もう変装もへったくれもありません!
「ええい狼めおばあさんに何してやがる! 今すぐ謝れ! 土下座しろ! そして死ね!」
「可愛い女の子のかの字もねえな」
「魔王様が! 死んだら! 困るのは誰だと思ってんだあああああッ!」
「……おいおい相棒、お前は割と俺と同じような穿った見方をする奴だと思ってたんだがな?」
「別に魔王様崇拝の徒じゃないよ僕は!? そうじゃなくて! そうじゃないけど! その魔王様崇拝の徒がすげえ近くにいるんだよ! 心の声さえ聞こえてくるんだよ! 魔王様がいなくなった時! そいつを! 慰めるのは誰になると思ってんだっつーのッ!」
レイ君ね。影が光を慰める……、……むしろ貶めるんじゃないのレイ君?
まあ何でもいいわ。赤ずきんは勇猛果敢に狼に立ち向かっていくのね。
「とりあえずっ、お前は今すぐ魔王様から離れろ! 文字数もそろそろ本気で危ないんだから! これ以上僕を疲れさせんな!」
「やれやれ、ご注文の多い赤ずきんちゃんだ。ところで猟師役って誰だっけか?」
猟師役……、ルーダさんね。
今は控室で正座待機よ。
「……よし。じゃああれだな、終わるか」
「はっ?」
「へ?」
レイ君、魔王さまの方がよっぽど女の子らしい声上げてるわよ。
まあいいわ。それよりデュレイさん、終わるかってどういうこと? ルーダさんと何か関係があって?
「あいつが出るとまた長くなるだろ。個人的にもあんまり好きじゃねえし」
……ていうかデュレイさん、コメットちゃん以外あんまり好きな人いないでしょ。
「正直なところな」
でもデュレイさんのそんな一途なところわたし好きよ。コメットちゃんは渡さないけど。
それじゃどうする? 和解? 和解するの?
「そうだな。……相棒、それじゃあ国ひとつで手を打とう」
「よし乗った」
……それってもしかして、ううん、もしかしなくても魔王さまを引き渡すって?
いいの? いいけど。わたしは二人が納得してるんならいいけどね。でも大体、国ってどこのこと?
「地底国」
…………。デュレイさん、後ろにサタン様がいらっしゃるけど?
「いいだろうが別に。あんたが王ならどうせ国なんていずれつぶれる」
「その前にお前の頭をここでつぶしてやろうか?」
うーん、赤ずきんとは違う方向に話が長くなりそうなんだけど……。
あ、ルーダさん? 帰っていいわよ別に。出番なさそうだから。
「あ、でもデュレイさん、僕やっぱり地底国ならいらないや。魔族の人って治められる気がしない」
「そうかい? そりゃあ残念だな、相棒」
まだ殺気を向けられてるけど。デュレイさんはしたたかね。
「なら仕方ねえ。今日のところは見逃してやるよ、魔王サマ」
「え……あ、……ありがとう……」
「礼なんて言ってんじゃねえ気持ち悪い。もうちょっと毒気があった方がいいっつーの」
「……ごめんなさい」
「けっ」
本気で忌々しそうに吐き捨てるわねデュレイさん。デュレイさんと魔王さまを足して2で割ったらちょうどいいんじゃないかしら。
あ、でも、そうね。これで丸く収まるのかしら? ……結末がよく分からないけど……。狼さんが思ったほど悪くなくてさらに言うならお腹も死ぬほど空いていたってわけじゃないってことね。
「ややこしい結末だね……」
仕方ないでしょコメットちゃん、貴女が駄々を捏ねるから。
「……ごめんなさい。でも魔王様は私の」
嫁とか言わせないけどねー。
あらでもわたしが言っちゃったわ。それはどうでもいいけど。この世のかわいいものは全てわたしの嫁よ。
「キナが自重してよ。……で、うん、帰っていいの?」
え? ああ、いいわよ。お疲れさま。
……あ、待ってオリオン君、貴方は帰らせないわ。大道具を片付けてから帰りなさい。
「……鬼だね、キナ」
自分で出したものは自分で片付けるのが基本でしょ?
どこが鬼だって言うの。
「……お、お願いだから泣かないで王子さま。もうみんな帰っちゃったから僕しかいないんだって」
レイ君もそんなろくでなしおいて帰っていいわよ?
「ちょ、できないから困ってるんだってば! ミーシャ! ちょ、ミーシャどこ!?」
こういう時だけあの子をいいように使うのね。……いい気味だわ。
「ちょ、キナ、今なんて」
いい気味だわ。
わたしのレイ君を落とそうなんて100澗年早いのよ。
「澗って……最早単位のすごさが分からない。ていうかさっきは結婚してあげてとか言ってたくせに」
わたしのレイ君と結婚しようなんて100那由他年早いのよっ!
「分かった、分かったから……あ、ミーシャ? お兄さん一人じゃ大変そうだから手伝ってあげて。頼んだから」
それで自分は帰るのね。いい気味だわ。
……あ、ねえ、レイ君、この後暇?
「逆ナンですか。暇じゃない、暇をつぶすことに忙しい」
要するに暇なのね。それじゃわたしとデート行かない? ちょっくらあの世まで。
「死ねってか」
影の方は何度消滅してもよみがえるでしょ? 問題ないわ。
「問題あるけど」
……レイ君ってば、釣れなーい。
仕方ないわね。じゃあこのくじ引いて。
「仕方なくないし……って何このくじ」
次回予告よ。
ほら引いて、今回の主人公の特権よ? 別に君に災厄が振りかかるわけじゃないから。
「ならいいけど……ん、これだ」
何て書いてある? 読んでみて。
「えーっと……
《次回は白雪姫劇場。終わり》
……短っ! 何これ、作者から? 作者テンション低っ!」
眠いのよ多分。
しかも華麗に墓穴掘ってったわね。この無為な劇場ごっこが次回もあるってことでしょ? どれだけ長引かせるつもりなのかしら。
「……あの、そろそろ完結しないの?」
それはわたしが聞きたいわ。
でも作者本編何も書いてないし――
「ちょっ、それは言っちゃ駄目ええええ! キナ! 事実でも言っていいことと悪いことが!」
あらごめんなさい☆聞かなかったことにしてね!
物語的には佳境だと思うんだけどな。……そろそろじゃない? きっと。
「と、取り繕ったって今さら無駄だと思うけど……」
じゃあ言うわね。作者ちょっとは仕事しなさい。
「……本当にね」
うん、まあ、それじゃあそろそろ終わりましょうか。……オリオンくーん? 逃げないでね? 貴方は居残り。さっさと片付けなさいこのウスラトンカチ。そんなに徹夜したいの? 違うわよね。
――それじゃあみんな、ここまで付き合ってくれてありがとう。楽しんでもらえたかしら? ちょっとでも笑ってもらえたなら嬉しいわ。
じゃあ、わたしは次の番外編……もしあればだけど、白雪姫劇場までさよならね。他の人は本編で会えると思うから、みんなのことをよろしくね? また会いましょ。わたし、楽しみにしてるから。
ここまで読んでくれたみんなに、精一杯の愛を込めて! ――またね!
いかかでしたでしょうか。次回……なかったらごめんなさい。むしろあってもごめんなさい。
役はくじ引きと書きましたが、もちろん裏方は独断と偏見で決定しています。
それから、役の方も結構人数をしぼってからやってますので、こんなにはまっています。悪しからず。