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*番外編 白日のほとり*

白日ってそういう意味じゃないです白邪です。


ホワイトデー編ということで…………とりあえず遅刻してすみませんでした( ̄▽ ̄;)

まず当日の朝に気付いたってそもそもおかしいと思うんだ。気付けよ自分。

とりあえずそんなこんなで仕上げた報われない人のホワイトデー、どぞ。


※ヘタレさんは相変わらず変態。それでもよければ深呼吸していきましょう。

「やるよ」


 心臓が高鳴るのは聞こえないふり。震える声は奮い立たせて。

 俺は素っ気なく呟いて、ラッピングした細長い箱をこつんと頭にぶつけた。


「で、ディーゼル?」


 金糸の髪を揺らして振り返った顔には、驚愕の色が浮かんでいる。

 ふわりと柑橘系の香りが立って、俺は思わずどきりとしたが。

 本人は、そんなことなど意に介する様子もなく。


「え、え……これ、私に?」

「他に誰がいるんだよ。――ホワイトデー、だろ」

「あ、ありがとう……」


 三倍返しは勘弁な、とこぼすと、ちゃっかり差し出された手にそれを軽く渡し、踵を返す。

 どこか呼び止める声が聞こえた気もしたが、それ以上追究するなと肩を竦めると、俺は足早に部屋の方角へと歩き出した。


 今日は3月14日、ホワイトデー。


 お返しなんて名義で、俺は今年も彼女にチョコレートを渡していた。

 ――あぁ、そうさ。毎年毎年、今年だっておんなじだ。半ば自暴自棄にもなりながら。

 思いの丈を打ち明けることもできずに。


 俺は来年も再来年も、同じことを繰り返すのだろうか?

 いや、それとも来年は、彼女も誰かのものになっているだろうか――。



 そんなことを考えては、俺はまた、自己嫌悪に陥る。





 ◇





「――可愛いですねえ」


 ヘルグはそう言って、くすりと笑った。


「……。……は?」

「勿論世界一可愛いのは魔王様ですけどね! でも恋する少年はみんな、からかいたくなるくらいに可愛いです」

「……すまん。俺帰るわ」

「えっ、ちょっと待って下さいよ! 来たばっかりじゃないですか、ゆっくりしていって下さいってばー!」


 慌てたように引き止められ、俺は渋々と浮いた腰をもう一度ソファに下ろす。

 何だよ、可愛いって。しかも少年ときたか……一応、俺の方が年上なんだが。

 思いながら、ため息をついた。


 俺は今、何故かヘルグの部屋にいる。理由は……ってまあ、理由というほどの理由もないんだが。

 偶然廊下で鉢合わせて、よく分からんが拉致されたというのが正しいか。

 別に俺も予定などなかったもので、半ば強引に誘われたのを、軽くついてきてしまった。が、今はその事実を激しく後悔している。


「ディーゼル君は全く、律儀というか何というか……可愛いですよね!」

「……。……いや、さっきと言ってること変わってねえけど」


 何せ、さっきからこの調子だ。野郎に可愛いなどと言われて嬉しい男がいるものか。

 やれやれと肩を竦めれば、ヘルグはまたくすりと笑う。


「だって、普通そこまで鈍感な相手なら、八つ当たりの一つもしたくなりません?」

「……そうか?」

「そこがディーゼル君のいいところだと思いますよ? 私は相手が鈍感なら、そこを利用して気付かれない程度の嫌がらせを履行しますけどねえ」

「お前が単に性悪なだけだろ」


 呆れて小突けば、そうでもないですよとヘルグは意味深に笑みを刻んだ。どういうことだか。

 よく分からなかったが、そもそも理解する気はないのでよしとしよう。


「まあまあ。所詮は私もディーゼル君もはみ出し者同士、仲良くしましょう?」

「……お前と一緒にすんなよ」

「ひどいですねえ。一緒じゃないですか」


 傷付いたように肩を竦め、擦り寄ってくるヘルグ。正直気持ち悪い。ていうか、野郎に擦り寄られて嬉しい男がいるか!


「一緒じゃねえだろ。お前なんてほとんどどんな女でも選び放題じゃねうか、顔もいいし頭もいい」

「たいした褒め言葉、ありがたく頂戴いたします。でも実際、そんなことはありませんよ? ほら、性格悪いですから」

「嘘つけ。いや性格悪いのは周知の事実だが、ファンクラブなんてあるんだからモテてるに決まってるだろ」

「……性格が悪いってところは肯定するんですか」


 嫌味にしか聞こえない謙遜なんかするからだ。思い切り顔をしかめてやった。

 けれどヘルグは、今度は僅かにも笑わずに。


「それを言うならば、ディーゼル君だって同じじゃないですか。ディーゼル君は誠実な人ですから、探せばそれなりの女性は見つかると思いますよ?」

「……そりゃどうも」


 だけどそりゃやっぱり嫌味だ。一つかぶりを振ってやると、ヘルグは悪戯っぽい笑みをその口元に取り戻し。


「それでもディーゼル君は、コメットさんが好きなんですよね」


 見透かしたような科白に、俺は思わず、ため息をついた。


「余計なお世話だ」







 芽生えた自分の気持ちに気付いたのは、一体いつのことだっただろう。


 幼い頃はさほど変わりもしなかった身長が離れ始めた頃か。それとも、コメットが周囲から美人だなんて言われ始めた頃か。はたまた声変わりの時なんかだったか?

 けれど当時は俺も、意識なんぞしていなかったはずだ。

 数年会っていなかったというならまだしも、毎日顔を見ている幼馴染だ。ろくに可愛いとすら思ったことはなかった。正直な、話。

 ――なのに。

 意識したことすらなかったはず、だったのに。


「ディーゼルはいい男だから、きっと可愛いお嫁さんがもらえるわね」


 そう言って笑ったコメットの顔が、何故だか俺は忘れられなかったのだ。







「ディーゼル!」


 俺の名前を呼ぶ、淀みのないソプラノ。

 飽きるほどに聞き慣れた声に振り返れば、満面の笑みを湛えた幼馴染がこっちに向かって手を振っている。


「チョコ、ありがとね! おいしかったよ」

「そうかい。そりゃよかった」


 とててと走ってくるコメットから微妙に視線を外しながら、俺はぶっきらぼうにこぼした。

 ホワイトデーのお礼……か。

 コメットの屈託なく無邪気に笑う顔は、今でもとても直視できない。

 可愛い、なんて。今だって、そんなことは思いやしないけど。


「それにしてもディーゼル、ホワイトデーって普通返すのクッキーだよね。どうしてチョコなの?」

「……お前は甘い方が好きなんだろうが」

「あ、そっか!」


 今さら。不思議そうに首を傾げるコメットに呆れて呟くが、彼女はそれでも天真爛漫に笑みを振り撒き続ける。


「そうだよね。私のこと一番よく知ってるの、ディーゼルだもんね!」


 ――なんて、無意識にそんなことをのたまいやがるから性質が悪い。

 今お前を知っているのは俺でも、明日は違うかもしれない。それなのに?

 そんなこと、口が裂けたって言えないけれど。


「次はハロウィンにお菓子せしめに来るからね!」

「ああ、お前の好きなもん用意しといてやるよ」

「本当? ディーゼル大好き!」

「馬鹿」


 軽く返事を返しながら、そうであって欲しいと俺は祈る。

 馬鹿な願いということは、自分でも分かっているけれど。

 今はただ、恋人でも友達でもない、こんな関係でいられますようにと。


 いつかただの『思い出』として昇華されるならば、今はせめて――。

眠くて何書いてるのか分かんない……。日本語おかしかったらごめんなさいです(←あ)


えーと、とりあえずディーゼルに可愛いお嫁さんが現れればいいなあと思います(願望)

でも何だかんだで両手に花ですよね。若干過激ですが。

そして本当にヘタレさんは見境がないな。どうしてくれようこの男。

まあ、さすがに本気じゃないとは思いますが……え、本気じゃないよね? ね?



眠いので今夜はここまで。

活動報告やらメッセージ返信は、申し訳ないのですが明日にさせて下さいo(><)o

では皆様、おやすみなさーい!

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