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第100話 Alice chasing the white rabbit, the story begins to move

100話達成!


いいこと→

 作者のテンションが上がる。

 更新頑張ってる。

 作者の文才……は無理か

 褒められる(誰に


悪いこと→

 三桁打つの面倒orz←

 ここまで長いと最早読む気しませんよね。

 作者のテンションが高すぎて読者様に引かれる



ととととりあえずありがとうございます!

ここまで読んで下さった貴方にふぉーりんら(強制退場)

「やだっ、サタン様ぁ、死んじゃやだあっ!」


 死すら安息に思えるような、苦痛の連鎖。

 まるで稚児のように泣き喚く声を聞きながら、言葉にならない慟哭を上げ続けていた。


「何でぇっ? サタン様悪いことしてないもん、悪いのはあたしだもん……どうしてこんな、ひどい真似っ」


 絶え間なく溢れる言葉にならない声を代弁するように、少女は泣きじゃくる。

 跳ねる私の身体を押さえるようにして、小さな手を握り締めながら、ぼろぼろと大粒の涙を零して。


「神様のばか、神様なんて、嫌いだもん……っ」


 子供の我儘。

 ――そうとしか思えないような科白を自分勝手に喚き散らしながら、少女は長い睫毛を伏せた。

 冷たい手。――否、私の手が熱いのかもしれない。それさえも分からないほど、意識は朦朧としている。

 けれどどうしても、この手を動かして、少女の髪を梳いてやりたい。優しく撫でて、抱きしめてやりたい。

 それができないならばせめて、名前を呼ぶくらい。

 強くそう願ったが、乾いた唇から漏れるのは、ただ地を這いずるような呻き声ばかり。


「――っ」

「サタン様! 苦しいの?」


 『ルナ』――たった二文字なのに。

 それさえも言葉にできない自分の喉が憎い。

 ただこの少女を、安心させたいだけだというのに――


 これが報いだと、いうのか?


「――ルナ……」


 ――そんなものに、負けて堪るか。

 漏れそうになる悲鳴を噛み殺し、ようやく息も絶え絶えにその名前を呟く。

 それに合わせたように少女の身体がびくんと大きく跳ね、大きく見開かれたルビーの瞳からは大粒の涙がぱっと零れ落ちた。


「サタン様! よ、かったあ……よかったっ」


 ぎゅっと、心底嬉しそうに抱きついてくる小さな身体。

 抱きしめ返したくとも、身体が動かない。熱い。全身が煉獄の炎に炙られるように熱いのだ。

 無力な自分を胸中で叱咤しながらも、胸に灯った仄かな温もりに思わず安堵のため息が漏れる。


 あぁ――この少女がいなければ、私は今頃どうなっていたか。

 これが血の喪失なのだとしたら、ルナがいなければ、私は――




 自我すらも、失っていただろう。



「サタン様……サタン様……っ、死んじゃ、やですからねっ」

「私が死ぬわけはないだろう? お前を置いて」


 どうにか気だるい左腕を持ち上げ、その金糸の髪を梳く。

 骨が軋むような痛みに一瞬は顔をしかめたが、悟られないようにぐっと我慢した。

 すれば段々と楽になっていく身体。『呪い』に勝ったのだと――そう、確信する。この少女がいなければ全て、終わっていたと知って。


「……くく――魔王……お前が乗り越えられたものを、私が乗り越えられないなんて馬鹿なことはないだろう?」


 けれど、とにかくは私の勝ちだ。

 私はこの報いすら乗り越えて、神をも貪り尽くしてみせよう。


 内心では、憎い男に向かって嘲り哄笑しながらも――



 反面、抱きしめた少女の温もりを、何よりも愛しく思っていた。





 ◇





 空は、透き通る宝石のように晴れ渡る。

 太陽と地上の狭間で、 揺りかごのように揺蕩いながら。


 ――けれどそんな壮麗な景色に包まれながらも、そこに存在する人間は誰一人笑っていない。

 そこでは死せる魂ばかりが虚ろな表情をして、長蛇の列を作っていた。

 いつもの光景。裁かれるのを待つばかりの、嘆きの亡者たち。


 つまらない光景だ、と私は思う。

 所詮は、みんな下らない人間だ。

 誰一人変化を望まない。何かを願うことさえ、しない。


 まるで裁かれるのを、待ち望むように。


「すみませーんっ!」


 ふと立ち上る雲の向こうから、陽気な声が響いた。

 聞いたことのない声だと思いながら首を回らすと、そこには、やっぱり見覚えのない少女が立っていた。


「――? 貴女は」

「えと、こんにちは。天使さま……ですか?」


 天使さま。――初めて聞くそんな言葉に、何だかくすぐったくなる。

 風になびく白髪はくはつと、純粋にただ笑う灰色の瞳。

 彼女の方が多分、天使と呼ぶには相応しいだろうに。


「天使……なんて、そんな大層なものではないけれど。ありがとうお嬢さん」


 くすりと笑うと、少女もにこっと笑う。

 私は話を続けようと、少女の瞳をじっと見据えた。


「天使ではないけれど、ここのことなら知ってるわ。お嬢さんはどなたかしら? 下界したから来た人?」

「私は……」


 私の質問に少女は首を小さく傾げると、少しだけ迷ったような素振りを見せる。

 ただしそれは言っていいのかどうか迷うような疑いではなく、自分でもよくかっていないような迷いで。


「……神さまに、お願いしに来たんです。子供のわがまま、ですけど――」


 ただぽつりと目的を告げると、私の目をちゃんと見据えてくる。


 ――その身体は空っぽで、ただの虚無で、所詮神に裁かれるまでの存在だというのに。


 私は久しぶりだと思って、嬉しくなる。

 変化を望む人間。ただ前を向いて、強く歩き続ける少女。

 ここは嘆きの亡者ばかりが埋める世界。そんな世界を私は、いつも好きになれなかったから。

 ようやく好きになれる。私は。

 それが何より嬉しくて、私は少女の言葉に聞き入っていた。


「私、どうしても帰らなきゃいけないんです」


 少女は、さっきよりも強い口調でそう言い切る。

 その強い意志が心地いい。やっぱり天使は彼女の方だと、私は思う。

 彼女は多分、死ぬべきではないのだ。

 なら、私は――


「――ついてきて」

「!」


 私がゆっくりと立ち上がれば、少女は見る間にぱっと顔を輝かせた。

 花が綻んだような愛らしさに、私は思わず笑みを浮かべる。

 子供のわがまま。それでもいいじゃない。そう、思った。


「久しぶりのお客様だもの。そのわがまま、叶えてあげる」


 片目を瞑って、唇に人差し指を当てながら。


「私はね、コメットっていうの。よろしくね?」





 ◇





 アリスは白いうさぎを追いかけて、深い穴に落ちました。


 穴の先は、不思議な不思議な国でした。


 少女の物語はそこから始まります。


 決してそこが終わりでは、ないのです。



 物語はここから、始まるのですから。






「――ふざけたお話ですよねえ?」


 ぱらぱらと本のページを弄びながら、青年は唇の端を吊り上げた。


「夢の中のお話に、始まりも終わりもないというのに」


 季節に似合わず陽気な日光が降り注ぐ窓辺で、頬杖をついている。

 テーブル越しには、黒いローブを纏った影。

 沈黙を保っていた男は、ちらりと青年の方を見た。


「……夢の中では、誰もそれが夢だとは思わないだろう」


 光の中で、闇のような漆黒が、異様な存在感を放ち居座っている。

 けれどそれは相容れない色では決してなく、ただ溶けるように混ざり合い、ひどく奇妙な彩りを醸し出していた。


「夢じゃなくても、物語に終わりなんてないのに?」


 青年は面白そうに言葉を紡ぐ。

 けれどそれに男は、いい顔をせず。


「……お前はまるで少女を惑わす猫だな、ヘルグ」

「なら魔王様は時計に狂ったうさぎです。少女を迷わせた本人でしょうが」


 茶化した言葉に男は無言で返す。

 ただ数瞬の沈黙を置くと、ちらりと青年の方を見て。


「誰もが物語には終わりがあるものと、信じている」


 目を閉じて。男はまた、瞼を持ち上げた。


「――信じていれば、物語は終わってしまうものだから」


 青年は妖しく微笑んだまま、男の話を静かに聞いていた。

 面白そうに目を細め、その奥に何とも言えない静かな光を灯しながら。


「それが循環」


 男は事切れる最期の瞬間のように、小さく声を絞り出す。


「それが、世界」


 気違いたちは静かに笑う。

 そうして本は、閉じられた。




割に内容が薄い件。

童話っていいですよね。


はい! ついに100話達成です!

もう何かここまで長くしてどうするんだという話ですが!

ここまで来れたのも応援して下さった読者様のお陰です^^

ありがとうございます! 大好きです! 愛してま(自主規制)


……ええと、とりあえず、『魔王の恋と勇者の愛』略して勇者さん(←)はまだまだ続きます。

感想下さった方、投票にも協力して下さった方、いつも仲良くして下さっている方、ヘタレさんが大好きな某友人、それから何よりここまで読んで下さった読者様。

今までありがとうございました。拙い小説、作者ではありますが、宜しければこれからもどうぞお付き合い下さいませ!



えーと、以下返信。

……勇者がヘタレさんを抜かしていることに一番驚いたのは作者だと思います。ありがとう皆!



>キナは腹黒さと女の子らしいところのコラボが ディーゼルはどこまでも優しいところです

ありがとうございます! 腹黒さはキナのアイデンティティーです(笑)

ディーゼルは……あの環境じゃ優しくならなきゃどうしようもなかったんじゃないでしょうか←


>なんか旦那にしたら幸せな家庭が築けそうな二人が好きです。

ありがとうございますっ!

やっぱり常識人ですよねー。安定した収入と平凡な幸せ、変わらぬ愛を求める方にはおすすめです(何の話


>ヘタレさんが変態だから?かといって勇者さんもまけてない変態さんですが。。。

ありがとうございます!

変態ばっかりですからねえ……右も変態左も変態。敵も味方も変態ばっかりという(笑)


>ヘタレさんは不法侵入者だから

勇者「……不法侵入って犯罪ですよ、ヘタレさん」

ヘルグ「分かってます♪そこはあえてじゃないですか、あえて」

勇者「……。死ねばいいのに」


>可愛いは正義

ですよね! ありがとうございますっ><

可愛いことほど重要なことは他にないと思うので(自主規制)


>キナは最後まで残して欲しい

あわ、ありがとうございます!

作者自身彼女は最後まで残したいキャラでした。でも物語の都合上というか。

……ここから先はネタバレなので言えませんが、彼女を支持して下さったことを何より嬉しく思います!


>というか魔王城の彼らはいったい何をして生活してるんでしょうか……?(素朴な疑問)

あ、色々してますよ。魔王城には広いお庭や食堂や大広間や図書館や色々ありますから。

ディーゼルの出番は……多分増えるはずです、多分。ありがとうございましたーっ。


>これからも頑張ってくださいww

頑張りますよ! ありがとうございますーっ。

こんなんですが見捨てないで下さい、いや本当←



まだ受け付けております^^

というか今日クリスマスですね! ていうか魔王とサタンの誕生日なんですよね!

……クリスマス編入れるかorz

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