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「マティアス起きなさい。食事にするぞ」


「ふああああ。おはよう父さん。んーー、ここどこだっけ?」


「馬車の中だよ。ベネット伯爵の領地にみんなで旅行に行ってる最中だぞ。寝ぼけてるのか?」


「あーーー。思い出した。そうだった。そうだった」


 いつの間にか寝てたみたいだな。あれか。兄さんとの手合わせが思った以上にダメージがあって痛かったんだったな。そういえば、転生・転移ものに出てくるやつら痛み耐性すごくないか?日本でのほほんと過ごしてたのに何で痛みに対して敏感になってないんだ?


 日本で生活してても剣での切り傷とか負う事がないじゃん。何で、痛そうにはするけどもそれ以上のリアクションがないんだろ。

 まあ、小説だからか。一つだけ言っておくぞ。布とか巻いてあっても剣とかが体に当たったらものすごく痛いからな。本気で。マジで。


 だって、さっきの半分ぐらい涙出てたもん。我慢した方だよ?真剣で切られた所想像してみたけども、ひぃぃぃぃってなるわ。生傷が絶えない生活を送って慣れるぐらいしないと俺は、我慢出来そうにない。

 泣く。普通に泣く。あまりの痛さにぎゃん泣きする自信がある。それぐらい痛いんだよ!!


 とまあ、ファンタジーな世界でも痛いものは痛いって事を言っておきたかった。うん。


「ぼーっとしてどうした?馬車を降りなさい。みんな待ってるぞ」


「ああ、ごめん父さん。今から行くよ」



 道中の食事が保存食メインだからあんまり美味しくないのが残念なんだよな。定番のアイテムボックスとかあったらいいのにって旅する度に思うな絶対。


「マティアス様。飲み物でございます」


「セバスありがとう」


 全属性持ちだったらこういう飲み物もキンキンに冷やして飲めるのにな。まあいいや。ない物をねだってもどうしようもないんだから。

 喉乾いてたから丁度良かった。さすがセバス。

 では、いただきます。


 ごく・・・・・・ぶはああああああああ!


「ちょっと、マティアス汚いわよ。何してくれてるのよ」


「まっっっっっず!何これ!?くっそまずい!」


「まだ、寝ぼけてるみたいね。これ、私達が食事の時に飲んでいるものよ」


 ああ、そうだった。そうだった。完全に油断してた。これあれだ。毒を薄めたやつだ。料理長が粉末状にしてくれてたんだった。旅先でも飲めるように水に溶かして飲めるようにわざわざ作ってくれてたんだった。


 普通に忘れてた。忘れてたんだからしょうがない。ドンマイ俺。


「普通の飲み物だと思って油断してた」


「そうかなって思ってたよ。いつもなら少しためらってから飲んでいるからね」


 兄さんの言う通りですよ。何時まで経ってもこれを飲むのは少し躊躇してしまうんですわ。


「でも、さすがセバスよね。こうなる事を予想してたから机の上にはまだ料理が乗ってなかったんだから。これで、料理にマティアスが噴出したものがかかってたら最悪だったわよ」


 ああ、うん。セバスさん俺の行動を読んでらっしゃったんですね。それなら一言ぐらい言って欲しかったな。『いつものやつです』とかさ。


「皆さんがそろってからお出ししようと思っていたのでそんな事はありませんよ」


「まあ、そう言う事にしておくわ」


「恐縮です。それでは、皆さま揃いましたのでお食事をお出しします。マティアス様はこちらをどうぞ。新しく作っておきました」


「ああ、ありがとう」


 新しく作らなくても良かったのに。ってか、何時の間に作ったの?これ本当に新しく作ったもの?最初からこうなる事を見越して2つ作ってたんじゃないの?

 ってか、周りの様子が分からんって思ってたら魔力波が切れてた。さっきので驚き過ぎて、無意識的に切ってしまってたのか。もしかして、こういう事態の時に切れる可能性があるって事を分からせるためにあえて、何も言わずに渡したのか?


 そうであってほしい。ただのお茶目な悪戯とかじゃありませんように。聞いても誤魔化されそうだし、セバスからの警告って事にしとこ。



 ごくごくごく。うん。相変わらず不味い。

「せめて旅行中は食後にしてもらいたいなあ。なんて」


「何かおっしゃいましたか?マティアス様」


「ううん。何でもないよ」




 お昼ご飯も食べ終わり再び走り出した。馬車の中でさっきと同じように魔力の循環の練習でもしようと思っていたが、思わぬ敵が目の前に現れた。



「マティアス大丈夫か?いつもよりもかなり顔色悪いぞ」


「う`ーーーーーーー。気持ち悪い。ダメかも」


「馬車を止めて休むか?」


「そこまではしなくても大丈夫だと思う・・・」


 そう、特製ドリンクを飲んでかなり具合が悪くなった。いつもの3倍ぐらい気持ち悪い。馬車に揺られていたから症状が普段よりも悪化したんだと思われる。

 これは、予想外だった。この馬車は、想像していたものよりも揺れは少ないんだが、全くないってわけではない。


 まさか、こんな苦行が待っているなんて思ってもみなかったよ!あーーーーー、吐きそう。


「すみません、マティアス様。まさかここまで具合が悪くなるなんて思わなくて」


「セバス大丈夫だよ。僕もここまで気分が悪くなるって思っていなかったんだから。それに、飲まないって選択肢は僕の中に存在していないんだからね。よっぽどの事がない限りこれを飲まない時はないよ。それに、飲んだ後に馬車に乗ったら悪化するって事が分かったんだし儲けものだよ」


「いや、しかし「もう気にしなくていい」」


「わかりました。ではせめて、本当に無理な時はすぐにおっしゃってください。解毒剤は用意してありますので」


 もしものために、いつも解毒剤は用意してあったんだけども普段は使わずに済んでいたんだよな。ってか、混合させてる毒に対しての解毒剤なんて良く作れたよね。

 複数の毒が混ざった物の解毒剤作るのって無理じゃなかったかな?ファンタジーな世界だから納得しとこう。


「わかった。父さんに兄さんも僕少し寝るね」


「ああ、着いてもそのまま宿の部屋に連れていくから何も考えずに寝なさい」


「もう、喋らなくてもいいよ」


「それじゃおやすみ」


 まあ、そうは言ってもすぐに寝れるわけないじゃんよね。寝れるまでこの戦いに俺は勝てるのだろうか。二日酔いの吐き気の2倍ぐらいかな。それぐらい気持ち悪いって事だ。

 心を無にしよう。気持ち的に良くなったと感じるからな。般若心経でも唱えてみるか?でも、ほとんど覚えてないな。

 頑張って寝るしかない。心を穏やかにして。





 ふああああああ。良く寝たな。うーーん、今何時だ?具合も良くなったな。それにしてもいつの間に眠ってたんだろ。それよりも、馬車じゃないっぽい?

 と言う事は、予定していた宿に着いたって事なんだろうか。おう・・・。またもや魔力波が切れてたよ。魔力波が切れないようにしないと。


「起きられましたか?マティアス様」


「セバス?」


「はい。食事の方は先ほど皆さま食べ終わった所です。顔色も良くなりましたね。今から食事になさいますか?」


「ああ、うん。頼むよ。それといつものドリンクも用意してね?」


「しかし、いいのですか?また昼間と同じようになるかもしれませんよ?」


「うっ・・・。それを言われると飲みたくなくなってくるよ。でも、自分で決めた事だからね。自分で決めたルールぐらいは守らないとね」


「左様でございますか。解毒剤は、いつでも用意できていますので我慢できない時はおっしゃってくださいね」


「勿論だよ。頼りにしているよ」


「ははっ。それでは、宿の主人に食事を頼んできますので」


「よろしく」


「それでは、失礼します」


 そういえば、いつからセバスはこの部屋にいたんだろうか。最初っからなのかな?ありそうだよな。セバスに迷惑をかけてしまったな。それに、父さんたちにも心配かけてしまったし。後で謝らないといけないな。



 コンコンコン。


 誰だ?


「マティアス入るぞ」


 父さんか。


「調子は・・・良さそうね。顔色も戻ったみたいだね。心配したんだからね」


 母さんもいたのか。魔力波オフになってたまんまだったわ。オンにしてっと。


「父さん、母さん。心配かけてごめんなさい。まさか、あんなに具合悪くなるって思わなくって」


「本当よ。それに結局解毒剤は飲まなかったんでしょ?」


「うん・・・。我慢出来そうだったから」


「はああ。調子が戻ったみたいだから何も言わないがみんなかなり心配したんだからな」


「ごめんなさい。それでも、「飲むのをやめないって言うんだろ?」」


「なんで・・・」


「そりゃー、お前の親だからな。顔に書いてあるぞ」


「うん。本当に危ないって思った時は、解毒剤を飲むようにするけどもこれだけはやめられない。やれる事は何でもやっておきたいから。ごめんなさい」


「そう言うってわかってたからもういいぞ。それに馬車に揺られて悪化するって予測できなかった父さんのせいでもあるからな。飲んだ後に長めに休憩を入れていたらそこまで酷くならなかったと思うしな」


「さすがに、こんなの予測なんてできないよ。自分から毒を摂取しようだなんて考えるやつなんてかなりの変人だから」


「まあ、ゆっくり休みなさい。これから食事なんだろ?」


「うん。セバスに頼んだ」


「そうか。明日は、休憩を長めにとるからな。予定よりも着くのが少し遅れるかもしれないが元々かなりの余裕を持たせていたから丁度いい感じに着くだろうから何も考えずに自分の体調を整えるんだぞ」


「うん。ありがとう」


「私からは、言う事はもうないわね。今夜は、ゆっくり休みなさいよ」


「うん。母さんも心配かけてごめん。それとありがとう」


「それじゃ、父さんたちは部屋に戻るからな」


「わかった。おやすみなさい」


「「おやすみ」」


 はああ。案の定かなり心配かけててなあ。早くこれに慣れて毒耐性付けて毒を摂取しても平気にならないといけないな。この調子じゃ、おちおち馬車で出かけられないし。



 コンコンコン。

「マティアス様夕食をお持ちしました。」


「ありがとう。入ってきてもいいよ」


「失礼します。・・・ここに置いときますが一人で食べられますか?」


「問題ないよ」


「わかりました。食べ終わりましたらそのまま置いておいてください。後ほど取りに参りますので。それと、飲み物もここに置いておきますね。食後に飲まれますか?」


「ありがとう。食後に飲むようにしたいんだけども、食後に飲んでいい日は明後日だからね。食前に飲むよ」


「わかりました。それでは、失礼します」


「ありがとうね」


 せっかくの外食なんだからここは食後に飲むとしますか。

 ・・・・・・いや、食前に飲もう。ここで、食後に飲んだらさすがにダメだろ。自分で決めたことぐらいは守らないとクソ野郎になっちまうな。


 うん。不味い。ご飯も不味い。おかしいな。目から汗が出てくるよ。

 何が悲しくて外出先でもこんなに不味い物を食べないといけないんだよ。早く耐性つけたいな。美味しいご飯を食べれるようになりたいな。

マティアス君は、馬車に揺られていつも以上に具合が悪くなってしまったようです。それでも、解毒剤を飲まなかったマティアス君。君は立派だ。


マティアス君は、気付いてないですが飲み物の濃度は少しずつ濃ゆくしてあります。

それと毒の種類も地味に増えている模様です。


本当に二日酔いの具合の悪さって半端ないですよね。



いつも読んでくださってありがとうございます。

誤字脱字や感想、評価などしていただけたら泣いて喜びます。

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