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「マティアス訓練の時間だぞ。先に外で待ってるからな」


 ああ、もう訓練の時間になってしまったか。早いよ。もう少しゆっくりしたい。あのドリンクのダメージが抜け切れていないのに。

 ホントさあ。何をどうしたらあんな味の物が出来上がるんだよ。もう少し味の改善を要求したいよな。


 はああ。憂鬱だ。しかし、外にいかないとな。このままのんびりしてたら更にきついメニューになりそうな気がする。

 さて、行きますか。ああ、気持ちわる。



「マティアスもきたな。最初はいつも通り走り込みからな」


「「はい」」


「マティアス大丈夫かい?かなり顔色悪いけども」


「兄さん・・・。大丈夫じゃないね。あのドリンクの破壊力が強すぎて今にも吐きそう」


「うーーん。無理はするなよ」


「そうは言っても、絶対に内容は変わらないと思うんだよね」


「・・まあ、確かに。骨は拾ってあげるから、頑張りなよ」


「そんな、殺生な・・・」



 うん。これはヤバい。リバースしそうだ。キラキラってエフェクトかかりそう。只でさえ、気持ち悪いのに負荷をかけるやつ(仮)をつけた状態とかふざけるなって文句言いたい。

 でも、毒耐性が付くようにお願いしたのは俺なんだよね。まさに、自業自得。


 ああ、地獄はここにあったんだ。三途の川が・・・・見えない。

 俺、全盲だったわ。そりゃあ、見えないわな。

 ってことは、俺には幻惑とか幻覚系の魔法効かないってことになるのかな?


 いかん。考え事してたら余計気持ち悪くなってきた。



「どうしたマティアス。ペースが遅いぞ。ペース上げないと長くするぞ」


「うひぃぃぃぃ・・・」


 くっそ。もう、何も考えない。心を無にして走れ俺。





「よーーし。そこまで」


「少し休憩だ。水飲んでおけよ」


「「はい」」


「はああ・・はあ・・はあ・・・・はあ・・・・うえっぷ・・・」


「マティアス大丈夫かい?」


「はあ・・はあ・・・。無理。・・・死ぬ」


 ここまで、具合が悪いのは転生して初めてだな。一時何もしたくない。吐きたいけども、吐くわけにはいかないんだよなあ。


「はあ・・はあ・・うえっぷ」


「大丈夫ではなさそうだな」


 そう言って、兄さんが背中をさすってくれた。


「ありがとう。にいさん。横になってれば少しは楽になりそうだから」


「そうか」


「マティアスよ。かなり顔色が悪いぞ。そんなにあの飲み物が酷かったのか?と言うよりもあれは何だ?」


「やパリ・・言わないとダメ?」


「そりゃなあ。そんだけ具合悪そうにしてるんだから。イレーネに診てもらうか?」


「ううん。大丈夫」


「そうか」


「それでね。昼に飲んだものは毒を薄めたやつなんだよ。毒に対する耐性を付けたくてね」


「はああ。やっぱり毒だったか。それで何で、それを飲もうと思ったんだ?」


「見えないからこそやれる事はやっとこうって思って。例えば、山に入って一人になった場合に、見えないからどれが食べれるのか判断が付けられないから何を食べても大丈夫なようにしとこうって思ったんだよね。それに貴族社会って怖いから料理に毒とか混入されてても問題ないようにってのが理由かな。それにしても、1種類の毒が来るのかなって思ってたんだけども、何種類か混合されて薄められた物が出てきた時にはさすがにビックリしたけどね」


「はああああ。何と言っていいか。あいつが調合しているなら問題はないだろ。その前にそういうのをやる時は私に一言伝えなさい。まあ、言いたいことは理解した。それと貴族社会はそこまでやる馬鹿はいないぞ」


「ごめんなさい。次からは、言うようにします」


「うむ。それにしてもそのドリンクはそんなに不味かったのか?」


「いやあ。あれを不味いってだけで済ませる代物じゃないよ。あれを飲んだらその後に食べた物が全部不味く感じるんだからね」


「そこまでなのか」


「うん。父さんも確か、頼んでたよね。飲むなら覚悟した方が良いよ。最初に飲まないようにすることだね」


「う・・うむぅ・・」


「そんなに不味いのなら僕は、飲まなくてもいいかな。食べられる物とか既に本で見て覚えてるから問題ないかな」

 

 なにっ!?まさかの暗記しているだと。さすが兄さんや。

「でも、フェルナン兄さん。本で読んだだけと実際に見て触ったりしたのとでは全然違うからね。試しに一回だけ飲んでみたら。嫡男だし、何があってもいいように備えてた方が良いと思うんだけどなあ。目が見えない僕が家を継ぐわけにもいかないからねー」


「くっ・・。それを言われると何も言い返せないな」


「と言う事で兄さんも一緒に飲もう」


「はあ。、分かったよ」


 よし!これで、犠牲者を二人増やせたぞ。自分で頼んだとはいえ、あれを一人で飲みたくないしな。

 何を飲んでいたのかがバレタ時点で仲間を増やそうと思うのは普通だと思いたい。




「それじゃ、次は筋トレするぞー」


「「はい」」


 もう筋トレの時間か。もう少しゆっくりと休憩してたかったな。まだ具合悪い。これは、味じゃなくて毒の影響なのか?

 どうなんだろ?わからん。


「腕立て伏せからするぞ」


「「はい」」




「筋トレはこれで終わりだ。次は魔法の訓練だからな。しっかり体休めとけよ」


「「はい」」


 ふうう。筋トレも終わった。相変わらず、しんどいな。負荷をかけるやつ(仮)が地味に効いてくるんだよね。




「そろそろ、魔法の訓練に移るぞ」


「「はい」」


「マティアスは具合良くなってきたか?」


「最初よりは良くなってきたかな」


「そうか。まあ、回復していなくても行ったんだけどな。昨日何をしたのかジュディウスから聞いているから、昨日と同じように魔力の循環を行うぞ。その後は、フェルナンは私と模擬戦だ。マティアスは、昨日の壁を壊すまでは次に進めないからな」


「「はい」」


「それじゃ、魔力循環始め」



 昨日と同じ感覚を思い出すんだ。

 すううううううう。ふうううううううう。





「よおし、そこまで」


 今日は何か集中できたな。あれか。具合悪くて余計なことを考える暇なかったからかな。

 

「それじゃ、マティアスは昨日の続きだ。フェルナンは、私と模擬戦な」


「「はい」」


「フェルナン。どこからでもかかってきていいぞ」


「いきます!」



 兄さんと父さんの模擬戦が始まったみたいだな。

 もう少し、離れたところでやってもらいたいんだよねえ。

 だって怖いじゃん。流れ弾ならぬ、流れ魔法が飛んでくるかもってびくびくするから。


 まあ、飛んでこないことを祈っておこう。

 それじゃ、俺もやりますか。昨日は、ほとんどダメージを与えられなかったからな。

 今日は、昨日の反省を生かして魔法の練習かな。


「大地よ。その身を解き放て。アースボール」


 これが、昨日と同じ感じなんだよな。

 これを改良して、形を流線形というか楕円形にして、銃の弾のように先端を尖らせるような造形が理想的かな。

 それにスパイラル回転を加えるようにしたらいけると思うんだよねえ。

 段階的に仕上げていくか。最初は楕円形の形を安定して出せるようにならないとな。んで、飛ばさずにその場に待機させて形を確認しないといけないんだよなあ。

 見えないことの弊害だな。エコーロケーションじゃ細部までは詳しくわからないんだよね。形は把握できるんだけども。細かい所までは分からないってのがネックだな。

 

 魔力波を完成させないといけんな。完成させて精密度も上げないといけないってのもあるからなかなか大変な作業になりそうだ。

 その前に壁を壊さないといけないな。


「大地よ。その身を解き放て。アースボール」

 あああああああああああ。飛んで行ってしまった。失敗だ。出来てたかどうかわかんねえ。


「大地よ。その身を解き放て。アースボール」

 くっそ。また飛んで行ってしまった。その場にとどめるの難しいな。

 まだまだああああ。



「大地よ。その身を解き放て。アースボール」

 やっと成功した。ふううう。形は、問題ないかな?うーーーーん。もう少し先端を尖らせた方がいいのかな?他は、問題なさそうだな。

 

「大地よ。その身を解き放て。アースボール」

 だあああああああ。飛んで行ってしまった。さっきは成功したのに・・・。

 もう一回だ。


「大地よ。その身を解き放て。アースボール」

 よし、飛ばなかった。形は、これでいいかな。この形に回転を加えないとな。どのくらいの回転率がいいんだろ。

 まあ、回転の速さなんて肉眼で確認できないから気にしなくてもいいか。早く回すようにするだけでいいだろ。ってか、肉眼の前に何も見えないんだけどな。はっはっはっ・・・。

 はあ・・・。


 とりあえず、試すか。

 さっきの形と回転させるのをイメージして。

「大地よ。その身を解き放て。アースボール」


 どごっ。


 おっ。今のはいい感じにできたんじゃね。音も今までと違ってまともにぶつかったって感じの音がしたぞ。初めてだな。こう、まともな音がしたのは。

 近づいて確認してみるか。


 んーー。どこに当たったんだ。おっ、ここか。僅かにだが、抉れてる跡があるな。

 つまり、成功って事か。この調子でいけば問題なく壊せそうだな。

 っしゃああ。今日中に壊して見せるか。


「大地よ。その身を解き放て。アースボール」

「大地よ。その身を解き放て。アースボール」

「大地よ。その身を解き放て。アースボール」



「フェルナン。今日はここまでは」


「はあ・・。ありがとう・・ございました」


「それにしても、大分剣のさばき方が上手くなってきたな」


「でも、父さんに一撃も入れられなかったからまだまだだよ」


「後、20年はかかりそうだな」


「くっそーー。悔しい。学校を卒業するまでには一撃入れて見せるからね」


「その時を楽しみにして待っているさ」


「マティアスもその辺で終わりにしなさい」


 もうそんな時間なのか。早かったな。そして、お腹がタポタポになってしまった。

 晩御飯入るだろうか。運動して消化させたいけども、もう動きたくない。


「わかりました」


「ほおおお。大分壊せたみたいだな」


「コツをつかんだからね。でも、これ頑丈すぎない?」


「それは、ジュディウスに言うんだな」


「無理だよ。普段は優しいけど、訓練の事になると別人のように人が変わって怖いんだもん」


「はっはっ。それなら諦めて大人しく壊しておくんだな」


「マティアスすごいね。今日だけでここまで壊せたんだ」


「まあね。全部壊せなかったのが悔しいけどね。兄さんの方はどうだったの?」


「全然だめだね。掠りもしなかったよ。一撃入れるのが遠くに感じてくるね」


「そうなんだ。なら、僕の方が先に一撃当てたらごめんね」


「なんだとー。生意気だぞー」


「ちょっ!兄さん止めて。冗談だよ」


「分かってるよ」


「「くっくっ。あははははは」」


「マティアスに先に越されちゃ敵わんな。自主練の時間を増やすか」


「ん?何か言いたの兄さん?」


「何でもないさ。汗を流しに行くぞ」


「うん」

どうやらマティアス君は、訓練で疲れたせいで夕食の時に出てくるブツの存在を忘れているみたいだあああ。

思い出したときにどんな反応をするのでしょうか。



いつも読んでくださってありがとうございます。

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