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 体力作りのトレーニングを始めてから一年が経過した。

 何度逃げたいって思ったことか。走り込みと筋トレしかこの一年はやってないな。魔法の練習とか寝る前に魔力を空にすることしかしてない。魔力波の研究とかする暇がなかった。あまりにもきつ過ぎて魔力を使い切るだけで精一杯だったからな。おけげで、6歳児にしてはマシな体力がついた。魔力量も上がってきてはいる。でも、それだけだからな。


 しかし、いよいよ魔法の訓練も今日から開始される。それに伴い、近接戦闘の訓練も開始される予定だ。最初は、素振りから始まってその後は模擬戦も組み込んでいくって父さんは言っていたな。

 模擬戦を始める頃には魔力波を完成させときたいよな。魔法の訓練の時にでも練習してみるか。


 コンコンコン。

「マティアス様。そろそろトレーニングの時間です」


「セバスありがとう。今から行くよ」



「父さんお待たせ。兄さんはまだ、来てないの?」


「ああ。フェルナンなら先に来て走り込みしているぞ」


「そっか。それで、今日から魔法を教えてくれるんだよね」


「ああ。魔法のトレーニングしてからはいつも通り走り込みだけどな」


 ですよねえ。月日が経つごとに走り込みと筋トレの量が増えてきているんだよね。ガチムチになりそうで怖いんだよね。ガチムチで仮面付けてるって端から見たら恐怖だよな。


「魔力については、一年前にしたっきりだったが覚えているか?」


「うん。覚えているよ」


 そうなんだよ。一年前にちょろっとしただけでまともに練習してないんだよね。寝る前にシールドの連発で魔力使ってたぐらいしかしてないんだよね。言うならそれしか出来ないほど疲れてたんだけどね。


「そうか。なら無属性魔法から一通りしていくからな。私の後に続いて詠唱して発動させてみるんだ」


「分かった」


「我が前に盾として顕現せよシールド」

「我が前に盾として顕現せよシールド」


「光よ我が前に集いその先を照らせライト」

「光よ我が前に集いその先を照らせライト」


「うぐっ!マティアスよ。もう少し明かりを落としてくれないか?少し強すぎるぞ」


「わかった。これぐらい?」


「そのぐらいだな。その明るさなら問題ないな」


「その前に僕って見えないからライトの魔法って意味あるの?」


「うーーん。言われてみればそうだな。まあ覚えておいて損はないんじゃないか?明かりの強さは、周りから指摘してもらえばいいわけだしな」


「それもそうか。自分じゃ分からないからどのくらいの明るさでいいのか分からないんだよね。そういえば、詠唱って必要なの?」


「詠唱かあ。詠唱しないのは実力がある魔法士ぐらいだからなあ」


「その魔法士ってどのくらいスゴイの?」


「特に凄いのが宮廷魔法士って呼ばれる人たちだな。そこに入るには、詠唱しないことが最低条件だっていわれているからな」


「つまりそのぐらい魔法を極めないと詠唱なしでは、発動させれないって事なの?」


「そうだな。詠唱させないで魔法を発動させることはそれだけすごいことなんだぞ」


 詠唱なしでも発動させる事が出来るって事は、要はイメージ力なんじゃないかな。宮廷魔法士の人もそれだけしっかりとしたイメージを持って魔法を使っているとか。まあ仮定に過ぎないんだけどな。

 

「そうなんだ。父さんは、詠唱なしで魔法使えるの?」


「と、父さんは、出来なくもないこともないんだが・・・。それよりもまだ途中だぞ。続きをやるからついてこい」


 あからさまに話題を変えてきた。見栄を張りたかったのかな?そっとしてあげよう。その内詠唱しないところを見せてくると思うし。


「分かった」


「我が血となり肉となれ。身体強化」


「我が血となり肉となれ。身体強化」


「体が強化された感じはわかるか?」


「うん。いつもよりも早く動けそう」


「接近戦が出来るやつが相手なら常にその状態を維持しとかないと体が反応出来ないからな」


 ハンター○ンターで言う、堅みたいなものか。これをずっと維持するのはなかなかきついな。この状態で更に魔法を使うって事だろ。魔法の同時使用が出来るようにならないとダメって事か。

 詠唱しながらの戦闘は、かなり難しそうだな。それに魔力波で常に周りの状態を探らないといけないから難易度が格段に跳ね上がるじゃないか!


 見えないって事がこんなにもハンデになってくるなんて。強くなる事を望まないのであれば、魔力波を完成させるだけで十分生きてはいけるけども。男に産まれて、異世界に転生したのならば最強を目指してみたいのが男の子ってもんだよな。


 世界最強とかいいねえ。憧れるねえ。土属性と無属性のみで世界最強とか歴史に名前を残せるな。

 ある程度の年齢になったらどっかの田舎でスローライフを決め込んで、自分の子供に培ってきた技術を叩きこむのも楽しいかもしれないな。


 上手くいったらの話しだけどな。世の中は、そんなに甘いもんじゃないしな。でも、夢ぐらい見るのはタダだし。理想と現実を比べて凹まないようにしないといけないけどな。

 


「ねえ、父さん。試したい魔法があるんだけどいいかな?」


「どんな魔法だ?」


「魔力波と言って、エコーロケーションの代わりにするために魔法だよ」


「ふむ。そんな魔法は、聞いたことがないな。新しい魔法を作るって事か」


「そうなるのかな?」


「試すのなら、もう少し魔法の技術を上げてからの方がいいな」


「何か、問題があるの?」


「新しい魔法を作るって事は、詠唱も考えなくてはいけない。それが、上手く発動したならいいが、下手したら魔法が暴発して周りに被害が出る可能性があるからな」


 うーーん。俺個人の感覚だとその人のイメージがあやふやだったから魔法が上手く発動せずに暴発したんじゃないかなって思うんだよね。


「そんなことがあったんだ。どのくらいの規模だったの?」


「私も人から聞いただけなんだが、火属性持ちの魔法士が広範囲の魔法を開発しようと試みたい何だが、それに失敗して、実験場ごと吹っ飛んだって話しだったな。広さで言えば、この家の敷地の5倍ほどかな」


 マジですか。そんなに広範囲に被害があったのかよ。


「つまり、新しく魔法を作るって事は、そのぐらい危険だって事だ。だから、もう少し魔法の制御に慣れてきたからにしてほしいかな」


「そう言う事なら分かったよ」


 まずは、詠唱なしで発動できるかの確認を行ってからだな。魔法は、イメージさえしっかりしていれば発動できるという仮定が確定に変わったならば、思う存分研究するしかないな。

 そうしないと不安にさせてしまいそうだからな。


 特に目が見えないから状況の把握が上手くいかないし。前世の記憶がなかったら魔法を発動させること自体この世界では難しいのかもしれないな。それに言っちゃなんだが、完全に穀潰しにしかならないよな。せめて途中で見えなくならまだしも。生まれつきだからな。

 全盲なんて重すぎるハンデにも程があるな。



「さて、話がそれたが次の魔法にいこうか。我が身を清潔に保て。クリーン」


「うん。我が身を清潔に保て。クリーン」


「本当にさすがとしか言いようがないな。ここまで一発で成功させるなんてな」


「まあ、父さんの息子だしね。それにあれも関係しているし」


「ふむ。あれか」


「うん。僕の仮説だと魔法は、イメージなんだよね。イメージさえしっかりと確立させていれば問題ないと思うんだよ。新しい魔法を暴発させた事件ってのもイメージが上手く定まっていなかったから暴発したんじゃないかって予想を立てたんだけどね。その分僕には、その土台があるから全部一発で成功させれたんだと思うよ。これもまだ、仮定でしかないけどね」


「うーーむ。言っていることは、理解できるな。イメージか。これが、本当の事だとしたらどう扱うかが問題になってくるな。広めるにしても広め方が問題となってくるぞ。どう扱うかについては、検証してみない事には判断のしようがないな。兎に角、この事に関しては口外禁止だぞ。誰にも言ってはならんからな」


「うん。分かった」


 しまったな。これは、言うべきことじゃなかったかもしれないな。父さんの悩みの種を一つ増やしてしまった。失敗したなあ。前世の記憶持ちって知っているから油断していらんことまで言ってしまったな。

 宮廷魔法士の条件が詠唱なしで発動させることがその一つって言っていたよな。


 これが、広まったら採用の条件が難しくなるな。詠唱をしないで済むのがアドバンテージなのにそれが広まったら、ややこしいことになりそうだ。俺には、関係ないけども国全体としてみれば不安の種でしかないな。早まったな。


 でも、これが仮定じゃなく確定した場合だけでも、その仮定はあってそうな感じがするんだよな。

 しかし、父さんにしか伝えてないしまだ問題にするには早いか。

 俺が、天才児ってなったら詠唱しないでも問題はなくなるけども。他の貴族からのやっかみがヤバくなるってのは分かる。


 どこまで、能力を見せつけるのか。これが問題点だな。

 つっても、数学と魔法ぐらいしかないんだけどね。魔法の天才児として名を馳せるのか。文武両道として、学問も頑張って勉強して天才児として名を馳せるのか。

 魔法だけの天才児の方が楽なんだよね。勉学の方は、程々にしておけば。

 武術は、残念ながら経験をかなり積まないと天才児の異名は得られないんだよな。


 トータル的に見たら、魔法の天才児の方が個人的には楽でもあるけども。世界最強を目指すには、武術も出来ないとダメだよなあ。




「さて、今教えたこの4つが無属性で主に使われている魔法になってくる。土属性の魔法を教えたいんだが、生憎と適性がなくてな。詠唱だけは、覚えているから、私の後に続けて言ってみなさい」


「父さんには、土属性の適性はないんだ」


「ああ、そうだ。属性ってのは自分の手札だからむやみに他人に教えるものじゃないぞ」


「分かってるけども、僕は土属性しか適性がないからいずれバレるとは思うんだよね。隠しようがないし」


「あ、ああ。そうだったな」


「別にそれは、問題ないんだけどね。あえて、土属性しか使えないってのを認識させたら後は、僕の魔法の使い方次第になってくるから、それを考えるのも楽しいんだけどね。土属性と無属性だけで世界最強になるのが僕の目標だからね」


「・・・・・・・。あっはっはっはっはっ。その二つで世界最強を目指すというのか」


「そうだよ。魔法なんて、要は使い方次第だからね。その為には、武術も鍛えて経験を積まないと話にならないんだけどね」


「まさか、こんな事を考えているなんて予想もしていなかったぞ。世界最強か。その為には、父である私も倒さねばならんぞ?」


「ドーンってこいだよ。世界最強を目指すからには、ハードルが高ければ高いほどやりがいがあるってもんだからね」


「ふふふふ。ふはははは。ならば、その前に父さんが世界最強を目指してみるかな」


「えええええ。それはずるいよ。父さんは、大人しくそのままでいてよ」


「残念ながらもうそれは無理だな。可愛い私の息子の大きな壁になるべく父さんも世界最強を目指すことにするよ」


 うわああああ。最悪だ。またもや余計なことを言ってしまった。と言うよりも何故、今更世界最強を目指すんだよ。そのまま大人しくしててほしかったよ。

 父さんを超えるという壁が更に遠のいたよ。


「さて、世界最強になるにはまずは、基本をしっかりとマスターしないといけないな。詠唱なしで発動出来るようにこれからビシバシやっていくからな」


「ふんっ。上等だよ。これぐらい簡単にこなしてみせるよ」


「その言葉、しっかりと心に刻んだぞ。では、続きを開始とするか」


 これがきっかけで魔法のトレーニングも更に厳しくなっていった。

マティアス君。作者の私には、世界最強を目指すなんて話は聞いてないよ。

何で、そう言う思考になったんだい。

全く予想外だよ。



何故か、世界最強を目指すことにしたマティアス君。無事に世界最強の頂にたどり着けるのでしょうか。

こうご期待ください。


いつも読んでくださってありがとうございます。

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