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 まさか、俺以外にこの世界に来ている奴がいるとはなあ。しかも、商会を経営しているとか。でもまあ、ありがちな展開だからな。もし、いなかったら確実に俺が商会作って色々物を作ってたと思うしな。

 それに、王都に本店を構えてるみたいだから、アポだけは取ってもらおう。会えるかどうかは運になってくるけどな。会えても本人じゃなかったら意味がないしなあ。その辺は、王都についてからでいいか。


「そういえば、父さんって護衛の人たちと知り合いなの?」


「ん??ああ。知り合いだぞ。知り合いというより昔、同じパーティーにいたんだよ。一応引退してるんだが、籍だけは置いててな、昔のよしみで護衛の依頼をすることがあるんだよ。予定がない時限定だけどな。」


「ふーーーん。一緒にパーティー組んでたんだ。なら、父さんもランクは、カナリーなの?」


「父さんのランクは、エルブなんだよ。パーティーとしてのランクがカナリーなんだよ」


 エルブってことは、Bランクって置き換えたとこか。パーティーでカナリーってことは、余程連携が上手かったんだろうな。俺もメインになる武器を考えないとな。肉厚の大剣とか憧れるけど、使いこなせるか心配だし、槍もいいよなあ。そう、それと刀。やっぱり日本人としたら刀を使いたいよなあ。刀この世界にあるんか?なかったら作らないといけないがその辺の知識なんてほとんど持ってないぞ。

 それと徒手空拳にも憧れるな。その為には、常時エコーロケーション出来るようになるか、それの代わりになるような技術を開発しないと接近戦は不利だな。その場合だと超遠距離からの魔法を使えるようになるか、広範囲魔法を使えるようにならないときついな。接近される前に感知して殲滅できるようにならないといけないのかあ。

 

マジで、糞だな。今後の自分の努力次第って事か。毎日死ぬほどの鍛錬ってことか。無双は、一回ぐらいしてみたいし、爺ちゃんといい勝負してみたいな。

 こう、戦うって事には昔から憧れてたからな。どっかの戦闘民族まではいかなくてもある程度戦えるようになりたいし、バトルジャンキーに絡まれる展開はごめんだけどな。


「父さんたちのパーティー名って何だったの?」


「ドラゴンテイルって名前で活動してたぞ」


 ドラゴンテイル。竜の尻尾か。何でそんな名前なんだろ。いかにも厨二っぽい名前ってのは男としてぐっとくるけど恥ずかしいって感情も混同してしまうのが男の性ってやつかな。


「後で、詳しく教えて」


「いいぞ。休憩の時にでも全員の事紹介するつもりだったしさ」


「旦那様。休憩場所に到着いたしました」


「おうそうか。馬を頼むぞ」


「御意に」



「では、みんな集まってくれ。俺の息子を紹介する」


「こいつが、俺の二人目の息子のマティアスだ。こんな所での挨拶になったが許してくれ。そして、あまり周りに言わないでもらいたいがいずれバレルので言っておく。マティアスは生まれつき目が見えない」


「「「「「・・・・・・・っ!?」」」


「見えないからと言ってあまり気を使わないでもらいたい。本人曰く、気を使われる方が堪えるんだとよ」


「みなさん。初めまして。父上に紹介されました、アンファング辺境伯家次男マティアス=アンファングです。今回の旅はよろしくお願いします。父上に言われた通り生まれつき見えないですけどその辺は色々と慣れましたので普通にしてくださるとうれしいです」


「いやに礼儀正しいじゃねえか。本当にお前の息子か?」


「失礼だな。カール。正真正銘俺の息子だ」


「そういえば、父上。何故こんな所で挨拶をするようにしたのですか?」


「あーー。マティアスよ。そんな風に話さなくてもいいぞ」


「ですが・・・」


「俺は、辺境伯だ。貴族だ。つまり偉い。こいつらは全員所謂平民なんだよ。あんなところで挨拶したら昔なじみに貴族として対応せざるがえないからな。それが嫌だったから、こんな所での紹介なんだよ」


 ふむ。余程、嫌なんだろうな。この人たちと一緒にいる時に貴族としてふるまうのが。つまり、それだけ仲が良いって事か。自分の身分を気にせずに対等に分かち合える存在。父さんにしてみたらそれ程までも重要な人たちって事か。


「俺たちは、そんな事気にしないんだがな。こいつが勝手に気にしてるだけなんですよ」


「そ、そんなことよりも、お前たちの紹介が先だ」


 なんかあからさまに話題そらしてきたな。


「マティアス様。私が一応リーダーでタンクをしているアイモです」


 そう言って俺の手を握ってきた。さすが、タンクってだけあってがたいがいいな。それに手も大きい。


「私が前衛で剣士をしていたハリーです。魔力が少ないので、主に力でごり押ししてたんですけどね」


 この人の手はゴツゴツしていて豆だらけだ。相当剣を振っていたんだろうな。今も日課となって剣を振っているっぽいな。


「私は、斥候のカールです。食事とか諸々の雑務も兼任してましたがね」


 斥候って事だからさっきの二人と違って線が細いな。手もそんなに大きいってわけじゃないけど器用そうだ。 


「僕が後衛で魔法と弓を使ってるディックです。よろしくマティアス君。大きくなったらいいとこ連れて行ってあげるからね」


 うん。この人は、軽い上にチャラいな。いい歳のおっさんなのにこんな感じなのか。前世でも同じような人は芸能人にもいたし、いるのが当たり前か。


「私は、回復役をしてましたゴスタと申します。マティアス様のお母様には敵いませんがそこそこの腕前だと自負しています」 


 ヒーラーもいたのか。ヒーラーがいるかいないかでだいぶ変わってくるしな。それにしてもバランスのいいパーティーなんだな。治癒魔法使える人って珍しくないのかな?多くもないけど少なくもないって所なのか?

 部位欠損まで治せるとするならゾンビ特攻できたりするしな。したくないけど。それにしても俺のこの世界に対する知識の量が少ないな。見えない分情報を得る方法が限られてるっていうのにちょっとのんびりし過ぎたか?これは、帰ったら勉強漬けの毎日にならないと危ういかもしれないな。


 全盲なんだし、せめて情報だけは色々仕入れとかんときついかもな。知らないことによるどんな弊害が起こるのか予測つかんからなあ。やることだらけだな。でもその分充実するって考えたらいいかな?


「はい。皆さんよろしくお願いします。皆さんは父さんとどこで出会ったのですか?」


「あーーー。それを聞いちまうか?」


「聞いたらダメだったの?」


「そうでもないんですがね」


「ガードルフ。言ってもいのか?出会った時の話しを」


「言ってもいいぞアイモ。ただし、その時は戦争だ」


 なに今の。父さんそんな声を出せたの?ってか、戦争って何でそんな話になるの?そんなに聞いたらまずいことだったのか?


「戦争か。それもいいかもしれんな。久々に勝負といこうじゃないか」


 ってあれ?今の音武器と武器のぶつかった音?いやいやいやいや。何で戦ってるのさ。意味がわからんぞ。急にどうしたおい。アイモさんって好戦的だったのか。


「ああ。また始まったみたいですね」


「ゴスタさん。またってどういうことですか?」


「マティアス様俺たちにそんな話し方しなくてもいいですよ」


「えっ?でも、皆さん僕よりも年上ですし・・・」


「はっはっはっ。そんな事は気にしなくてもいいですよ。私たちは平民なんですからそんな言葉で話される方がむず痒いってことですよ」


「んーーー。わかりました」


「ガードルフとアイモは昔はことあるごとに戦ってましたからね。なんせ出会い方が笑えますからね」


「そんなに笑えるんで・・・。笑えるの?」


 うおっ。一瞬寒気を感じたぞ。敬語で話すからって殺気みたいなのを飛ばさなくても・・・。


「マティアス様。ある意味馬鹿らしいですからね。なんてったって、胸の大きさであれ戦ってるんですよ」


 ・・・・・・・・・・・・・はあああああ。


 えっ?胸の大きさって言ったよね。言ったよね。


「カールさん。胸が大きいか小さいかってこと?」


「そうですよ。元々は、5人でパーティー組んでたんですけど。ロンサールになりたての頃に・・・」




「リーダー。漸くロンサールになれたな。5年でここまで来れたんだからまずまずだな」


「そうだな。このままいけばカーニバルまでいけるんじゃね?」


「カールよ。慢心するなっていつも言ってるじゃないか。それと女癖をいい加減直せ」


「そんな事言ってリーダー羨ましいんでしょ?」


「そんな事は思っとらん。お前が後ろから刺されたら新しいメンバーを探すのが面倒なだけじゃ」


「相変わらず素直じゃないですね。うちのリーダーは」


「やかわしいわ。このドMが」


「ああ゛っ。巨乳好きなくせしてその相手からは全く相手にされないくせによ」


「言いやがったな。巨乳ってのはな遠くから眺めても最高なんだぞ。相手にされなくても問題ないわい。思うがままにあの巨乳を揉みまくりたいとは思ってもおるが上下運動だけでも十分堪能できるからそれでもいいんだよ。巨乳こそ至高。巨乳こそ最高なのにそれがわからんとは」


「巨乳より尻だろ。これだから」


「何だと。ゴスタよ。俺に喧嘩売ってんのか?」


「乳なんてただの飾り。ケモ耳と尻尾こそ至高」


「「ハリーは黙ってろ。」」


「さっきから聞いてりゃ巨乳に尻に煩いぞ。貧乳こそ正義だろ」


「何だ。お前は、関係ない奴はすっこんでろ」


「いいや。引っ込めないね。貧乳の素晴らしさを理解してないようだから俺が理解できるように教えてやるよ」


「んだとお。貧乳のなにがいいのやら。巨乳には劣る存在のくせに」


「巨乳なんてな、将来は垂れてしまってただの脂肪に変わるってのに」


「貧乳なんて揉む脂肪すらないじゃないか」


「上等だ。表に出やがれ」


「ふんっ。返り討ちにしてくれるわ」




「ってな感じで知り合って、それから息が統合してガードルフがうちのパーティーに入ったんですよ」



 しょーーーーーーーーーもなっ。思っていたよりもしょうもなかった。巨乳と貧乳で争って仲良くなるとか馬鹿なの?そして、まさかの父さんが貧乳派だとどうでもいい情報を知ってしまった。別にそんな事知りたくもなかった。

 んで、今戦ってるのも貧乳と巨乳どっちが素晴らしいって事で戦ってるのかよ。

 お互い結構本気で戦ってるんじゃないのか。このままで大丈夫なのか?



「ふんっ。当主になっても腕は落ちていないみたいだな」


「それは、こっちのセリフだ」


 あっ。なんか終わったっぽい。それにしてもすごい戦いっぽかったな。実況してくれる人が傍にほしいな。エコーロケーションじゃ、若干ラグが発生するからなあ。このラグが戦闘では不利になってくるよなあ。リアルタイムで状況を把握するすべを何とかしないと近接戦闘は行えないな。


「アイモにガードルフは、今回の旅の目的忘れていませんよね。マティアス様を王都まで護衛するのが仕事なんですよ。ガードルフも息抜きは程々にして下さいよ」


「すまんなゴスタ。治癒魔法をかけてくれないか?」


「こんな所で戦う方が馬鹿なんですから唾でもつけたらいいんじゃないんですか?」



「あーー。ゴスタの奴キレちまったか。護衛の仕事中に戦ってるからしょうがないか」


「ハリーさん。ゴスタさんって今怒ってるんですか?」


「ああ・・ああそうか。マティアス様はその・・・」


「うん。見えないよ。さっきも言ったけど気にしなくていいから。気にしたら貴族として命令するよ?」


「ぶはっはっ。そんな命令は初めて聞きますね。それじゃ。説明しますね。ゴスタはキレたら笑うんですよ。それはもうニコニコと」


 キレたら笑うタイプなのか。笑いながら怒るって怒られる方からしたら怖いんだよな。


「でも、そのうち治すんで問題ないですよ。仕事には支障が出ない範囲でやってますからね」


 ヒーラーを怒らせたらケガしても治してもらえないってことか。参考になるな。



「ガードルフ様。そろそろ出発する時間でございます」


「おお、セバス。もうそんな時間か。それじゃ、出発するから片付けるぞ」


「「「うーーーーーい」」」


 父さんの昔の事を知れるとは思わなかったな。今回の旅は、楽しくなりそうな気がする。男ばっかりってのも案外悪くないもんだな。


 

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