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 今日、父さんたちが帰ってくる日だ。長かったような短かったような感じだな。とりあえず、怒られるようなことに発展するような要素はないはずだ。証拠の隠滅は、完璧だし堂々としていればばれないだろ。

 そう考えながら俺はベッドの上でゴロゴロしていた。


 コンコンコン。

「マティアス様。ガードルフ様達が帰ってきたみたいです」


 もう、帰ってきたのか。なら広間に向かうとするか。そこに父さんたちも来るだろうし。王都の事も聞きたいし、フェルナン兄さんの魔法の事も聞きたいしな。いくつの適性があったのか気になる。


「わかった。いまからいくよ」


 部屋からでて、広間へと向かう。この家の間取りは完璧に覚えたから、エコーロケーションを使わずとも移動できるんだが、急にドアが開いたりしたら反応が少し遅れるんだよな。音で分かりはするんだが前、調子に乗って走っていたらドアが急に開いて危うくぶつかるとこだったからな。どんな時も移動する時はエコーロケーションをするようになったもんだ。


 さて、父さんたちよりも早く着けたな。それまで、ゆっくりしとこう。


「あら、マティアス。早かったのね」


「うん。えりーしあねえさん。おうとのはなしをききたいから」


「そう。私が話してもいいのよ」


「そっか。えりーしあねえさんも5さいのときにいったんだったね。おうとってどんなところなの?」


「王都はね。人が多くてとても賑やかだったわよ。色んな所から物が持ってこられるから珍しい食べ物とかあったわ」


「へえ。そうなんだ」


「それと、王都には学園もあるのよ。私も10歳になったら行くことになってるの。フェルナンも10歳に

なったら行くのよ」


「がくえんかあ。ぼくもいくのかな?」


「うーーん。どうかな。マティアスって目が見えないでしょ。だから行かせてくれるかは怪しいわね。学園に行ってみたいの?」


 10歳から学園に通うのかあ。行ってみたい気もするけど、どうやって勉強しよう。文字なんて読めないし、行く意味あるか?でも行かなかったとしても出来ること何にもないよなあ。このままじゃニートもしくは、穀潰し確定だからなあ。それは嫌だな。せっかく異世界に転生したんだから何かしらしたいよな。

 冒険者にでもなって稼ぐか?でも、全盲のやつとパーティーを組んでくれる酔狂な奴がいなかったらソロ確定だな。ソロで活動してもいいけど、ちょっと不便だな。まだ、7年もあるしその時に考えるか。


「うーーん。まだよくわかんない」


「そう。行きたいって思ったら私も協力してあげるから」


「ありがとう。えりーしあねえさん」



 コンコンコン。


「ガードルフ様たちが帰ってきました」


「入るぞ」


「ただいま。エリーシアとマティアス。ちゃんといい子にしてたか?」


「お父様。お母様。おかえりなさい」 

「おかえりなさい。おとうさん。おかあさん」


「ちゃんと大人しくいてたわ。マティアスと遊んだりもしてたけど勉強もしてたわ」


「そう。それならいいわ」


「そういえばお母様。フェルナンはどうしたの?」


「ああ、あの子はもうすぐくるはずよ」


 何か、含みのあるような言い方だったな。フェルナン兄さんは疲れたのかな?


「エリーシア姉さん。マティアス。ただいま」


「ふぇるなんにいさんおかえりなさい。おうとどうだった?」


「王都は、すごいところだったぞ。マティアス口を開けてごらん」


 やっぱ王都はすごいのか。何がどう凄いんだろ。あーーん。


「んんんんっ。あまい。おいしい。ねえねえこれなに」


「ふふふふ。マティアスへのお土産だよ。王都でも評判のお店なんだよ。見えないから食べれるものが良いかなって思ったんだ。気に入ってくれたのなら良かった」


 そんなことまで考えてくれてたんだ。素直に嬉しいな。


「そういえば、属性はどうだったの?」


「そうよ。いくつ属性の適性があったのかしら?」


「ぞ、属性の適性ね」


 何だか、歯切れが悪いな。もしかして少なかったとか?


「実は・・・5つの適性があったんだよね」


「5つ。すごいじゃない。なのに何でそんなに嬉しそうじゃないの?」


「上手く使いこなせるか自信ないし」


「何を言ってんのよ。そんな弱気じゃお爺様のように強くなれないわよ」


「そんなに強くなれなくてもいいよ。父さんのようにそこそこで十分だよ」


 フェルナン兄さんって武官よりも文官って感じだもんな。前も勉強が楽しいって言っていたし。

 それにしても5つってすごいな。まさしく、チートって感じだ。フェルナン兄さんが5つってことは、俺にも希望が出てきたな。俺TUEEEが出来る日が来るのが楽しみだわ。


 今のは、ファイアーボールじゃない。ただのファイアーだって。言ってみてえええ。

 広範囲殲滅魔法とか打ちたいなあ。禁術にしていされちゃいそうな魔法を開発してええ。魔法で俺TUEEEは浪漫だな。そんなんなったら歩く災害って言われそうだな。


 けど、そうなった場合は確実に戦争になった時に呼ばれるよなあ。人を殺すのか。あまりやりたくないなあ。その時になってから考えるんだ。今は、魔法でどんなことが出来るか想像するだけでいいじゃん。煩わしい案件は未来の俺に託せばいいか。


 「そう。あんたは、それでいいのね。まあ頑張んなさい」


 もう少し、優しく言えないのかこの姉は。だけど、フェルナン兄さんの考えも間違いではないんだよなあ。辺境でのスローライフってのもいいな。のんびりと自由自適に暮らせるし。アホな貴族の相手もしなくていいし。それはそれで、最高だな。スローライフか。俺TUEEEか。


 んーーーー。悩むな。俺TUEEEEしたら、スローライフなんて出来そうにないしなあ。スローライフで、俺TUEEEEしても目立つな。


 あっ・・・そっか・・・。簡単じゃん。正体がばれないように仮面とかして変装したらいいじゃん。そしたら、どっちとも出来るし。国防○面のような感じなするか?それとも、あえての変態○面で行くか?いや、それしたら衛兵にも追いかけられそうだな。ピエロのような人を小馬鹿にした感じの仮面も捨てがたいな。いろんな仮面を用意して一人戦隊風に行くのもありだな。仮面ごとにキャラを使い分けて。

 おお。何か楽しそうだな。ゼ○のようなフルフェイスの仮面も憧れるけど、素材の調達が厳しそうだしな。2年後が楽しみだな。


「ふぇるなんにいさん。ばしゃのたびってどうだったの?なにかおこった?」


「なら、僕が出発してから帰ってくるまでの話しでも聞くかい?」


「うん。聞きたい」


「出発して、二日後の昼にね・・・・・・・」




「・・・・ってことがあったんだ。なかなか楽しい旅だったよ」


「へええ。すごいや。たのしいたびだったんだね」


「でも、僕は王都よりもこっちでの生活が好きかな。のんびりと暮らせるし」


「そっかあ。ばくも、ここでのくらしがいちばんだよ」


「じゃあ。マティアスがずっと住んでいたくなるような領地にしないといけないな」


「がんばってね。ぼくもてつだうから」


「ありがとうマティアス。その時はぜひ手伝ってもらおうかな」


「まかせて」


 ここで、のんびりと生活をして、たま王都に行って俺TUEEEの生活かな。魔法のある世界最高。


 神様って存在がいるとしたら感謝だな。最初は、クソゲーって思ってたけど、神は死んでいなかったんだな。ありがとう神様。感謝します。



「フェルナン様」


「えみりっさ。どうしたの?」


「いえ。ただ、庭での日向ぼっこが非常に気に入られたみたいですね」


 えっ・・・?ばれ・・てる・・・?嘘でしょ。鎌をかけてるに違いない。証拠隠滅は完璧だから。でも、なんでピンポイントに庭での日向ぼっこだとあたりを付けたんだ?


「なんのこと?にわでひなたぼっことかしてないよ」


「庭の草が綺麗にマティアス様の大きさに倒れていましたので」


 なああああああああ。そっちは、完全に盲点だった。全盲だけに。

 って誰が上手いこと言えって言った。

 まさか、芝生っぽい存在のやつの痕跡からだとは思わなかったな。誤魔化すのは無理だな。素直に謝ろう。


「ごめんなさい」


「日向ぼっこするなとは言いません。でもね、あの場所はお手入れが大変なの。だからよく考えてくださいね」


「はい」


「それと、エリーシア様」


「私は、何もしてないわよ」


「お菓子は美味しかったですか?」


「お菓子??あーーあ、あれね。マティアスがお菓子食べたいって言ったからしょうがないから出したのよ」


「そうなんですか?マティアス様」


 変な威圧を感じる。これは、肯定しないと後々大変な目に合いそうだ。


「うん。えりーしあねえさんのいうとおりだよ」


「そうですか。おかしいですねえ。それなら、なぜエリーシア様のお部屋にお菓子の食べかすが落ちているんですかねえ。わざわざ、そこで食べる必要もありませんよねえ。不思議ですねえ。ねえ、エリーシア様。」


「ごめんなさ。我慢できずに食べました」


「最初っからそうおっしゃってくれればいいのです」


「カトレアは、何か言う事あるんじゃないんですか?」


「な、な、な、な、なにもないです。カトレアは、頑張ってました」


「壺」


「ひっ」


「ガードルフ様。申し訳ありません」


「んっ?どうしたんだい?」


「あの・・・壺を割ってしまいました。本当に申し訳ありません」


「なっ・・・。それは、どこに置いていたやつかな?」


「二階の所にあった、ちょっと独特な雰囲気の物です」


「・・・・・あれを割ったのか。そうかそうか。割ってしまったものは、しょうがないな」


 あれっ?もっと怒るのかと思ったけど違うのか?


「エミリッサ。すまないが、カトレアとエリーシアとマティアスの3人を任せてもいいかな?」


 めっちゃ怒ってるじゃん。やばいよやばいよ。俺もなの?俺は、ゴロゴロしてただけなのに?嘘でしょ。それはないでしょ。


「お任せください。カトレアは、いつも以上にしましょう。エリーシア様もいいですわね。マティアス様は初めてなので大人し目にしときましょうか」


「いやあああああああ。あれだけはいやああああああ」


「嘘でしょ。お願いエミリッサ。あれだけはやめて・・・。お願いよ」


 なんなの。ねえ。カトレアがそんなに拒否することって一体何をされるんだよ。

 エリーシア姉さんもそんなに嫌がる事ってなに。


「じゃあ。頼んだぞ」


「はい」


 その日、俺とエリーシア姉さんとカトレアの叫び声が屋敷中に響き渡った。



「「「あああああああああああああああああああああああああああああああああ。」」」



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