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 今日は、良い天気だ。絶好の昼寝日和だな。庭で寝っ転がろうとしたらいつもエミリッサの止められるからな。周りを確認しても転ぼうとした瞬間にどこからともなく声が聞こえてくるんだから怖いったらありゃしない。でも、今は父さんたちと王都に行っているから恐れる必要はないはずなんだが・・・。


 背中が冷りとするのは気のせいってことだな。

 うん。だっていないんだから気のせいだよ。


 あああ・・・気持ちいい。芝生なのか、何なのか分からない草が程よい感じに柔らかくて最高だわ。

 そうか、ここが天国だったか。

 日差しが少し強い気がするがこのぐらいは許容範囲内だろ。時期で例えるなら秋ってところかな。

 しかし、気持ちいいな。何か眠くなってきた。


「いべりす。いるんでしょ?」


「ばれてましたか」


「もちろんだよ。わかりやすいもん。えりーしあねえさんは、今何してるの?」


「今は、お部屋の方で勉強かと」


「そうなんだ。えりーしあねえさんってどうしてあんなにおとなしくなったの?まえはもっとおてんばだったようなきがするんだけど」


「それは、本人に聞かれてはいかがですか?」


「うーーん。おしえてくれないとおもうんだよね」


「どうでしょう。案外素直に教えてくださるかもしれませんよ。でも、そんなに気になるのですか?」


「うん。きになる。べんきょうがおちつくたいみんぐになったらおしえて」


「わかりました」


 これで、教えてくれなかったら諦めるしかないな。そう考えながら、芝生っぽい草の上をゴロゴロして転んだ。


「そんなに転んだら、洋服が汚れて落とすの大変なんですからね。メイド長に怒られても知りませんよ」


「それはいやだ。あんまりよごれてない?」


「まあ、このぐらいならば大丈夫でしょう」


「よかった。いべりす。いつもありがとうね」


 こう言っておけば、問題ないかな。だって、イベリスかなりチョロいからな。

 

「いえ。これがお仕事ですので」


 ほら、嬉しさが全然隠しきれてないし。


「そういえば、いべりすってまほうつかえるの?」


「使えますけど、あんまり得意ではないんですよね。私は、魔力量が少ないのであまり使わないんですよ。でも、ああ見えてカトレアは得意なんですよ」


「えっ。うそでしょ。さっきもつぼわってたのにまほうがとくいなの?」


「意外かと思われますがあの子は中々才能があるみたいですよ」


 まじか。あのドジッ娘メイドのカトレアが魔法が得意だなんて信じられない。魔法を使っては、更に家の物が壊れたりするんじゃないのか。


「イレーネ様が不在の時は、カトレアがエリーシア様に教えていますからね。本来ならばこの時間は、カトレアが教えてるはずなんですけどね」


「しんじられない」


「王立学園を次席で卒業していますから。あの子は」


「そんなあたまよかったんだ。なのに、なんでこんなとこにいるの?」


「それは、私からは、言えないです。すみません」


「いいよ。ひとには、いいたくないこともあるし」


 学園で次席で卒業したのにドジっ娘メイドとかレアキャラだな。

 しかし、学園かー。俺も行くことになるのかな。行ったとしても、文字が見えないからどうやって勉強しよう。全部暗記するしかないな。文字で書いても自分では、読めないし。

 もしくは、点字でも作るか?だが、紙質次第かな。まっその辺は、おいおい詰めていって父さんたちに協力してもらった方がいいかもしれないしな。


 

 カトレアは、エリーシア姉さんの勉強を見ているけど、今は壺の後処理に追われているからエリーシア姉さんは、今一人なんじゃね?後で聞きに行こうと思ったけど、一人で勉強しているなら今から聞きに行っても問題ないんじゃないかな。よし、今から行こう。


「マティアス様。どこに行くのですか?」


「えりーしあねえさんのところ。あとでいこうとおもったけど、いまからいくの」


「わかりました」



 コンコンコン。


「えりーしあねえさんいるー??」


「マティアス?入ってきていいわよ」


「ありがとー」


「それで、急にどうしたの?」


「ん?ああー。えりーしあねえさんにききたい・・こと・・・が・・」


 ん?なんか甘い匂いがする?勉強してるってイベリスは言ってたが、この匂いはお菓子か?だが、お菓子がここにあるはずないと思うんだが。どういうことだ?


「ねえ。えりーしあねえさん。なんだかあまいにおいがするんだけど?」


「えっ。き・・気のせいじゃない?」


「おかしのかんりは、えみりっさがきびしいからこのへやであまいにおいするはずないんだけど。」


「そっそれは・・あれよ・・・。料理長のジュディウスから試作だって言ってもらったのよ。」


「ふーん。そうなんだ。じゃあ、あとでどんなのつくったのかききにいこ。」


(くっ。このままじゃ、まずいわね。まさか、匂いでバレるなんて思いもしなかったわ。このままだと下手したら一人で怒られることになるわね。イベリスとカトレアの二人なら上手く買収できたけど、マティアスは、厳しいわね。一人でエミリッサから怒られるぐらいなら・・・)


 いいネタを仕入れられたな。この事を上手く使えば、お願いを聞いてもらえるかもしれないな。ばれないとでも思ってたかな。しかし、匂いには少し敏感なのだと。甘かったね。お菓子だけに。

 お菓子だけに。ぷっ・・・。



「マティアス。口を開けてみて」


「ん??あーー」


 なっ。口の中が甘い。しまった。余計な事考えていたせいでこんな初歩的な罠にかかるなんて。失敗した。これで、俺の優位性が消えた。何かここから挽回できる手は・・・。


 まだ、イベリスがいた。イベリスに証明してもらえば。


「イベリス。例の物いつもよりも多めにして、新作もいくつかあげるわ。だから」


「かしこまりました。私は、何も見てませんし、何も知りません」


 くそおおおおお。先に手を打たれたか。このままじゃ共犯にされてしまう。挽回の手を考えろ。考えるんだ。


 「マティアスもしょうがないわね。お腹が空いてたからってお菓子をねだるなんて。エミリッサが知ったら怒られるわよ。あげちゃう私も悪いんだけどね。帰ってきたら一緒に謝りましょ」


 はっ?今なんて言った?

 俺が食べたかった?

 こんのあまあぁぁぁぁぁ。やりやがったな。これじゃ、どんな手を打ってもひっくり返すことが出来なくなったじゃないか。更に俺を出しにすることで怒りの度合いを落とさせるようにも仕組むとは・・・。

 くそったれ。悔しいが俺の完敗だ。

 しかし、本当に俺の3つ上なのか?6歳にしてこの才覚とは末恐ろしいな。いや、これが貴族というやつなのか?貴族って怖いな。

 

 あっ・・・俺も貴族だったわ。貴族社会で生きていける気がしないな。その前に家族以外の人と仲良くなれるんだろうか。辺境伯の次男だし。家督継がないし。全盲だし。あれ?これって、友達すら出来ないんじゃね?前世でも友達ほとんどいなかったけど、ネット上ではそこそこいたわけで全くいないって事でもないわけで。しかし、今世では・・・。3歳にしてぼっち確定か。泣いてもいいですか?


 別に友達ほしいってわけじゃないけど、バカ騒ぎできるような存在一人は欲しいじゃん。

 待て。まだ分からんぞ。全属性持ちとかになったら出来るかもしれないし。どこかの美少女と仲良くなったり出来るかもしれないし。全盲でもまだ、可能性あるあるじゃん。諦めるのは、まだ早いぞ俺。

 諦めたらそこで終わりってどっかの先生も言ってたじゃないか。


(危なかったわ。これでばれて、エミリッサから怒られてもマティアスが頼んだんだからそんなに怒られないわね。逆に来てくれて助かったわ。でも、なんで来たのかしら?)

「そういえば、一体何の用なの?」


 あれ?何しにエリーシア姉さんのとこに来たんだっけ?うーーん。何か話があったと思うんだけどなー。何だったっけ。思い出せん。大事なことだったような気がするようなしないような。


 そんな風に悩んでいる俺にイベリスが小声で話しかけてきた。


「大人しくなった理由を聞きに来たんじゃないんですか?」

 

 おっ。そうだった。そうだった。


「えりーしあねえさんにききたいことがあったの」


「ききたいこと?なにかしら?」


「どうしてそんなにおとなしくなったの?」


「んんんっ。んな・・なにを・・いってるの?元から姉さんは大人しかったわよ」


(なに。ききたかったことって()()なの。これだけは、言えないわね。)


「うーーん。まえはもっとげんきでおてんばだってようなきがするんだけど」


「あ、あれよ。二人目の弟ができたから少し元気だっただけよ」


「そうかなあ」


「そうよ」


(それに、マティアスが1歳の時の事だからあんまり詳しく覚えてないはずだからこのまましらを切れば・・・)


「そっかあ」


 やっぱり、誤魔化そうとしてきたか。何かあったのは確実だな。でも、このままじゃ白を切られて教えてもらえそうにないな。


「なら、とうさんたちがかえってきたらきいてみてもいい?」


(くっ。どうしよ。お父様達に聞かれたら、まずいわね。でも、ここは強気に行くしかないわね)


「いいわよ。お父様達もよく覚えてないんじゃないかしら」


 ちっ。このパターンで来たか。実際に聞いても俺が知りたいことについては結局わからないいままになりそうだな。甘える感じでごり押しするしかないか。


「おねがいえりーしあねえさん。・・・おねがい」


(そんな甘えた声で聞かないで)


「おねがいだよ。おしえて。えりーしあねえさん」


(ああもうう)


「もう。全くしょうがないわね。教えてあげるわよ」


「ありがとう」


「マティアスが1歳の時の話しだから覚えてないけどと思うけど。マティアスが歩いてるのを見かけてね、嬉しくてそのまま走って抱き着いちゃったの。それで、そのまま頭から倒れちゃって、床にぶつかっちゃったの。すごい音がしたんだからね。でも、お母様の魔法で怪我自体はすぐに治っちゃったんだけど。エミリッサからものすごく怒られてね。その時目隠しして見えてないことがどんなことなのかお母様と一緒に体験したの。真っ暗で何も分からなかったわ。声は聞こえるんだけど、周りが静かになると誰もいないんじゃなかってとっても不安になったの。それが、きっかけで大人しくなったのよ。」


 まさか、あの突撃がきっかけだったのか。確かにあれは、痛かった覚えがある。今なら余裕で回避できるけどな。


「それと、適性に聖属性があるって分かった時は嬉しかったわ。マティアスが怪我しても私が治してあげられるって思ったわ」


 なるほど。だから、あんなに勉強しているんだ。糞アマって思ったけど、取り消そう。優しいな。こんな俺なんかの為に頑張っているなんて。


「あっ・・・。今言ったことは、忘れなさい。いいわね?誰かに話したときは、私の治癒魔法の実験台になってもらうからね」


 ひいいいいっ。絶対言わない。やっぱさっきのなし。糞アマだわ。実験台って・・・。治すために怪我させるって本末転倒だろ。本質的な性格は治ってないわけか。


「ぜったい、いわない。それとぼくのためにありがとう」


「別にいいわよ。手のかかる弟の世話をするのは姉の役目なんだし」


 なんだかんだ言って、優しいな。糞アマだけど。


 コンコンコン。


「エリーシア様。すみません。お待たせしました。入ってよろしいですか?」


「いいわよ。それにしても遅かったわね」


「そ、それはまあなんといいますか。・・・ってなんでここにマティアス様とイベリスさんがいるんですか」


「あら、カトレア。私達がいたらダメなの?」


「い、いえ。そういうわけではないんですが」


「マティアス。今から勉強するから外で遊んできなさい」


 聞きたいことも聞けたし、姉さんの邪魔しちゃ悪いしな。


「うん。またあとでね」


「にやにやしないの」


 ひっ。顔に出てたのか気をつけねば。することないし、日向ぼっこしながら昼寝するか。

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