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インテンの小説技法基礎講座①「繰り返しによる強調」

今回から複数回、小説技法について書いていきます。

インテンの小説技法基礎講座①「繰り返しによる強調」


 今回からしばらく、基本的な小説の技法を書いていこうと思う。

 一回目の今回は「繰り返しによる強調」について。

 まぁ読んで字のごとし、同じ単語や言葉を繰り返して、その部分を強調させる技法である。

 これは主にあらすじや語りで使う方法で、その作品の重要な部分を繰り返すことで、読者により深く印象づけることが出来る。

 では具体的な方法を書いていこう。


①繰り返す単語、言葉を決める。

まずはこれからだ。

その作品で一番伝えたいキーワードだとか、主人公の決め台詞など。

とにかく読者に伝えたい部分を選ぶことが肝心だ。


②文章の長さに合わせて、繰り返す回数を決める。

繰り返しによる強調は、回数とタイミングが大切な技法なので、ここは何回か書いてみて、確かめながらやるのが良い。

文章に対して少なくても多くても逆効果になるので、ここの見極めが作家としての実力とも言える。

これは私の感覚だが、あらすじ(数百文字くらい)だと、三回くらいが適切だと考えている。

更にこのタイミングだが、繰り返しである以上、連続で使うべきである。

具体的には、2~3行に一回使うと良いと考えている。

これも感覚の問題なので、各々が自分でベストな回数とタイミングを見つけてみてほしい。


③同じ単語及び言葉でも、表現を変えて使い、後ろにいくほど感情を込める。

これがある意味この技法の肝の部分だ。

繰り返す回数やタイミングがベストだとしても、その単語や言葉に思いや感情がこもっていないと、流されて終わったり、逆にくどく感じてしまう。

そのため、少しずつ表現に変化をつけ、感情をのせていく。

これによって読者の興味を引き、更にはその繰り返した部分を印象つけるのだ。


では次に、以下に具体例を書いていく。

参考にして見てほしい。


────────────


 目の前に強大な敵が現れたとしたら、君ならどうする?

 勇気を出して立ち向かう?

 それとも諦めて逃げ出してしまう?

 一人なら自分だけの問題だし、何も気にしないで好きに出来るだろう。

 けれどもし、隣に誰かがいたら?

 そしてそれがもし、君にとって大切な人だったら?

 ……男なら、そんな状況で逃げられるわけがない。

 大好きな……大切な存在が隣にいて、その子を置いて逃げ出すことなんて出来るわけがない。

 隣の彼女に笑いかけ、勝てないと言う彼女に対してこう言ってやる。


「そんなの関係ない!!」


 負けることは目に見えている。

 絶対的な戦力差は覆らない。

 俺はここで死ぬんだろう。

 だけど、死ぬとしたら前のめりで死んでやる。

 最後まで笑って生きてやる。

 これは……男の意地の問題なんだから。


────────────


こんなあらすじ(これはあえて語りともとれるように書いている)があったとして、繰り返すとしたらどこだろうか?

私なら、「そんなの関係ない!!」というセリフにする。

主人公の性格や思いが一番出ていると思うからだ。

なので①として、このセリフを選択する。

ではこの繰り返しを決めた上で、以下に②と③を行ったものを書いてみよう。


────────────


 目の前に強大な敵が現れたとしたら、君ならどうする?

 勇気を出して立ち向かう?

 それとも諦めて逃げ出してしまう?

 一人なら自分だけの問題だし、何も気にしないで好きに出来るだろう。

 けれどもし、隣に誰かがいたら?

 そしてそれがもし、君にとって大切な人だったら?

 ……男なら、そんな状況で逃げられるわけがない。

 大好きな……大切な存在が隣にいて、その子を置いて逃げ出すことなんて出来るわけがない。

 隣の彼女に笑いかけ、勝てないと言う彼女に対してこう言ってやる。


「そんなの関係ない!!」


 負けることは目に見えている。

 絶対的な戦力差は覆らない。

 俺はここで死ぬんだろう。


「そんなのは、関係ない!!」


 自分の命よりも、隣の彼女が大切だ。

 自分が稼いだ時間によって、彼女が助かるなら本望だ。

 絶望的な状況で、彼女以外は些細なことだ。

 だから…………


 ──そんなこと(絶望)はすべて、関係(問題)ないッ!!


 死ぬとしたら前のめりで死んでやる。

 最後まで笑って生きてやる。

 これは……男の意地の問題なんだから。


────────────


どうだろうか?

先程のものよりも、主人公の感情などが伝わっただろうか?

②は繰り返しが三回で、3行または4行に一回。

③は見てもらった通り、少しずつ変えている。

最後に至っては、ルビを使って言葉そのものを変えている。

これは、最後に書いてある「男の意地の問題なんだから」という部分を合わせて強調するために変えている。

人間は、後から入ってきた物の方が記憶に残る。

だからこそ、最後の部分に繋がる繰り返しで終わらせることで、相乗効果が狙えるわけだ。


今回はここまでである。

参考にしてみてくれ。


次は何かまだ決めていないので、リクエストがあったら受け付けることとする。

それでは、今回はここまで。



異論反論疑問質問感想などなどどしどし募集します。

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