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或学生の心象  作者: 四年 寝太郎
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その時彼は何を思ったか

この表現なに?

この言葉の使い方がおかしい

などなど教えてくださると嬉しいです

 振られた、その事実を受け止めるのにそう時間はかからなかった。心に深い傷を負ったとは云うまい。しかし、何も影響がないと強がれない心持ちが日々を虚けにした。


 事の発端は某年一月。中学の同窓会があると言うので、私は参加の意向を表明した。これまで恋人が出来たことのない私は、「数年ぶりに再開したクラスメイトと恋に落ちる可能性がなきにしもあらず」というシチュエーションに胸が高鳴った。伊達に匿名で同級生のSNSを見ていた訳でなく、数人の女性との妄想に余念はない。賢明な読者には説明不要だろうが、己の高みを目指すため、自身の戒めとするため、クラスメイトの趣味・嗜好・現状を知ることはいかがわしいことはない。私は自身の成長欲を刺激しているだけに過ぎないのだ。


 当日、成人が多く集まるには少しばかり狭い会場に、大テーブルが四卓あるばかりで、席に座れないものも多くいた。が、各々が旧友との再開に声を上げつつ、幹事の言葉を莞爾と待っていた。しばらくするとマイクを持った幹事の前口上が響き、「では、本日は楽しんでください。」と終えた。その声を合図に一同が杯を交わした。私は早々にその雰囲気に飽きてしまい。隅の席でたまに来る旧友と、やれ仕事が、やれ大学が。と、歳相応の会話をし、ひたすら酒を呷っていた。


 酒の進みも早くなり、酔いが回った所でN氏が目に映った。パーティ用の紺のドレスを纏い、主張の少ないネックレスを下げたショートカットだ。前々から、「良い」と想っていたこともあったので声をかけた。

「やあ、君は○○が好きだそうで」何の脈絡もない言葉に、「わっ、あなたも?」と、振り向いたN氏の美貌に下心を隠せず顔を和らげ会話を続けた。


とは言うものの、数分もしないうちに彼女に他の男から写真の誘いが来て会話は終わった。「邪魔しやがる」と小さく独りごちる。同窓会はその後数時間は続いたが、記憶には気分の悪さからトイレに篭もり、集合写真に写れなかったことや、二次会でまた酒が進み友人の家に泊まったこと。その他詳しいことは一切覚えていない。


 同窓会から数日が経ち、このままN氏との関係が終わるのを潔しとしない私はSNSでN氏との連絡を取り、食事の約束を取り付けた。それを機に数回、趣味を理由に出掛ける仲になった。すっかり調子に乗った私は、数回目のデートの後、ビールを片手に電話で気持ちをぶつけた。

N氏は口ごもった様子で、「ごめんなさい、あなたのことは友達にしか見れない。これからも友達としてよろしくね。」


 しばらく呆然とした後、「あ、気にすることはない、これからもよろしく」と心にもない事を伝えた。結果は冒頭の通り振られた。灯りが消えた部屋で、酒を呷る私をパソコンのモニターが虚しく照らすだけだった。

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