がっかり転生?
「おっ、どうやら転生できてるみたいだな」
「うむ。無事転生できておるようじゃの」
突然聞こえた声に驚いた。
「もうその反応は飽きたのじゃ。このまま声だけでいくから早く慣れるのじゃ。」
黙ってその声に耳を傾ける。
「今回お主は異世界に転生したわけじゃ。そして現在お主は孵化する前の段階にある。どのような姿になるかは妾にはある程度検討はついているのじゃが、それはみてのお楽しみということにしておくのじゃ」
ん?孵化・・・・・・?
「この世界ではスキルや魔法が存在するのじゃ。何も知らないお主に何の力も与えずほっぽり出すのは酷というものじゃろうから、鑑定のスキルをやるのじゃ。あと、お主が孵ったら、従者を一人よこすからその指示をよく聞くことじゃ。詳しいことはそいつに聞くといいのじゃ。もう十分じゃろう? それでは異世界ライフをえんじょいするといいのじゃ」
のじゃのじゃうるせえな・・・ん? あいつ消えやがった!!言いっぱなしかよ・・・
仕方ねえ。不安しかないが、動けるようになるのを待つか。何気にどんな姿なのか楽しみだしな!
~3日後~
「お迎えにあがりました」
「・・・・・・あいつをよんでくれ」
「女神様をですか?かしこまりました 女神様~ 転生者様がおよびです」
「なんじゃ?質問ならお主にするよう言っておったはずじゃのに」
「・・・・・・球体の胴部に細く伸びる尾部。そして黒く光るこの体・・・・・・。これオタマジャクシじゃねえかっ!!!」
「やはりそうなったか・・・ご名答なのじゃ!」
「「ご名答なのじゃ」じゃねえよ! なんで異世界まできて両生類になんなきゃいけないんだよ! 孵化とか言ってた時点で怪しいとは思ったが、ドラゴンとか恐竜、せめて鳥類だと信じてたのに」
「・・・・・・水陸両用の体が手に入ってよかったのう!うらやましいくらいなのじゃ!」
「絶対思ってないだろ!」
「あとで進化でふぉるむちぇんじできるのじゃぞ?」
「それ変態するだけじゃねえか!! フォルムチェンジったって色変わって脚はえて・・・カエルになるだけなんだよ!!!」
「はっはっは! お主はここをどこだと思っておるのじゃ! 異世界じゃぞ? カエルとは限らんじゃろう!」
「・・・・・・じゃあなにになれるんだ?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・妾だってまさかカエルの卵に転生するとは思っていなかったのじゃ。ドラゴンとかとして生まれてくれさえすればこの世界の守護を任せるつもりでおったのに・・・・・・計画が丸つぶれじゃ!!」
「逆切れかよ!? 答えなかったってことはカエル確定だし・・・」
「カエルでは種族スキルも弱いじゃろうしのう」
「種族スキル? そんなものがあるのか?」
「ああ、その辺についてはそいつに任すのじゃ。妾は守護者候補をまた探しに行くので忙しいのじゃ それではあとは任せた」
「はい、女神様」
女神は消えていった。
「それではわたくしのほうから説明させていただきます。 まずは、ステータスの確認です。ご自身を鑑定してみてください」
ステータス?現実を直視したくはないんだけどな・・・ 一応見るか・・・鑑定!
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名前 シュン
性別 オス
種族 カエル{変態前}
LV 1
HP 10
MP 10
種族スキル 泳法 LV3
ユニークスキル 鑑定 LV MAX
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あー、これはダメだわ。泣ける。種族スキルが泳法ってどういうことだよ・・・・・・これは見なかったことにしよう。
「ステータスの確認は終わりましたか? ご確認されたとは思いますが、ユニークスキル 鑑定をお持ちです。ユニークスキルは、神から直接与えられたもので、大変貴重です。この世界では鑑定スキルなしではステータスの確認はできませんので、鑑定スキル持ちは大変重宝されます。また、鑑定スキルをお持ちの方は、貴重な鉱物や植物も鑑定できますので商人に向いているといえるでしょう。」
「人に転生してたらね・・・・・・俺が持っててもただの物知りカエルでしかないよ。せいぜい池の主になるくらいしか・・・ん? そういえばここはどこなんだ? 壁に囲まれているけど?」
「ここは、神の井戸です。 といっても、神が利用する井戸ではなく、以前この世界で深刻な水不足が起こった際、神が世界を救うべく作ったものです。現在は魔法の発達により水不足はおきなくなったため利用するものはおりません。」
「そうか・・・というか、鑑定してみればよかったのか。 鑑定!」
井戸を鑑定してみる。
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名前 神の井戸
所有者 神
説明 神のつくりし井戸。そのみずは神力を多く含む。
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「神力ってのは神様の力ってことでいいのか?」
「神力とは神を構成するものと思っていただいて結構です。神のつくりしものには少なからず宿っています。この井戸は相当長い間放置されていたことで、その濃度が上がっているものと思われます」
「なるほど。そして所有権は神にあるのか」
「はい。ここは神の所有する井戸ですので安全です。少なくともフォルムチェンジがおわるまではここにいましょう」
「説明ありがとう。じゃあ、さすがにそろそろ聞こうかな。なぜ君もオタマジャクシなんだ? 来た時には人型だったと思うんだが」
そう。今シュンの前には自分とうり二つのオタマジャクシがいる。 もっとも、うり二つといってもオタマジャクシの個体差など大きさぐらいしかないのだが。
「女神さまがご主人様にお仕えしやすい姿に変えてくださりました」
「仕えるなら人型で仕えてほしかった・・・・・・カエル二匹でどうしろっていうんだよ・・・」
「私はメスなので、子孫を残すことは可能です」
「ちょ、オス・メスっていうのやめて!!! 現実を突きつけられる感じで苦しい!!」
「かしこまりました。では子孫を残すほうは決定ということで?」
「いやいや、そもそもまだカエルにすらなってないんだから・・・というか、よくカエルである俺に仕えることに納得できたな。神に無理やりやらされてるのか?」
「いえ、私は神にご主人様に仕える存在として作られたため、ご主人様に仕えることは、本望なのです。ですから、これからよろしくお願いしますね」
「そうか・・・よろしく頼む」
カエル転生ショックを引きずるシュン。沈んだ気持ちのまま返事を返すと、黙り込んでしまった。
神力を取り込んだオタマジャクシがただのカエルになるはずなどないのに。
暗い空気のまま二匹はフォルムチェンジの時を迎えるのであった。