中学生コント「同窓会」
とある飲食店の座敷。
「ひっさしぶりー洋介!だーれだ?」
「あーこの声は、本馬さん?」
「正解! そっちも洋介で合ってたみたいだな。まあ、みんなそんなに変わってねえな。卒業から一日しか経ってねえもんな」
「同窓会の意味ないじゃん! みんな何しに来たの?」
「洋介は俺が何歳に見える?」
「どう考えても十五歳でしょ」
「何でわかった」
「だって中学生は留年しないからね。こんなこと同窓会で尋ねられるとは思ってなかった」
「そうか? 女子はみんな聞いてまわってるけどな」
「うちの女子は馬鹿しかいないのか!」
「あれ? 今のネタ他の人がやってた気がするな」
「そう思うならやらないで!」
「ちょっと待って、思い出しそう」
「触れない方がいいと思うよ」
「あ、思い出した。アンタッチャ」
「言わせないよ!? ってこれもパクリじゃん!」
「しかし懐かしい顔が多いなー」
「一日しか経ってないんでしょ?」
「お、向こうにいるのは野球部の山本だな。随分丸くなったなー」
「丸刈りってことだね! 野球部だからだろうね!」
「まだ甲子園の土持ってんのかな?」
「甲子園は中学生じゃ行かない!」
「その隣は達川だな。おーい達川! じゃなかった、おーい闇の王!」
「達川くん中二病かよ! そしてわざわざ呼び直さなくてもいいし!」
「三学期からはキングオブダークって言ってたっけ?」
「知らないよ!」
「キングオブダークネスだったかな?」
「これ以上達川くんのメンタルを破壊しないで!」
「生徒会長の野村はやっぱ今頃市議会議員にでもなってんのか?」
「まだ中学生だよ!」
「隣で酒でも注いだら玉の輿か?」
「捕まるよ! って言うか女子中学生がお酌とか普通考える?」
「最近の中学生は進んでんだよ」
「僕もその中学生だけど実感ない!」
「中学の一番の思い出って言えば、何を置いても修学旅行だよな」
「だいぶ押し付けがましいけどそうかもね」
「緒方が道頓堀に落ちたときはどうなるかと思ったな」
「緒方くん何やったの!? 阪神が優勝でもしたの!?」
「ところで洋介はさ、千年後の未来がどうなるかとか考えたことある?」
「千年後? そうだね、どうなってるかな?」
「平成一〇二八年になるな」
「いや、さすがにそれじゃ『あの人』が人外になっちゃうから。生前退位されるって話もあるし、千年後は元号変わってると思うよ」
「千年後の予想って難しいな。じゃ来年はどうなってると思う?」
「いきなり現代に近づいたね」
「元号どうなってるかな?」
「平成二九年でしょ! かなりタブーに近いこと言わないで!」
「俺、最近無性に元号が気になってさー」
「およそ中学生とは思えない趣味だね!」
「しかしみんな変わったなー」
「誰も変わってないよ。いや誰かさんはマニアックすぎる趣味持ったけど。って今気付いたけどこのクラスさ、往年のプロ野球選手と同じ苗字の人ばっかりなんだけど! しかも全員カープ縛り!」
「そうだっけ?」
「狙ってやったんじゃないの?」
「すげえ偶然だな。当時は野球部も気付かなかったけど」
「野球の思い入れなさすぎない!?」
「だってうちの野球部、サッカー部と野球勝負して途中まで負けてたんだぜ?」
「最終的に勝ったんなら良いんじゃない?」
「いや、乱入したバスケ部が勝った」
「野球で三つ巴の戦いしたの!? どうやって!?」
「乱闘」
「野球じゃないじゃん!」
「もうそろそろ終わりの時間だな」
「早くない? ほとんど何もしてないんだけど」
「じゃーまた明日な」
「同窓会毎日やってんの!?」
「何を今更」
「聞いてないけど!」
「野村から毎日手紙来てんじゃん」
「無駄の極致だよ! っていうかさ……まだ目隠しされたままなんだけど!」