外伝:イベント編
西暦2017年8月7日、遊戯都市奏歌ではイベントが行われていた。
それは、有明で年に2度開催されている同人誌のイベント――その遊戯都市奏歌版と言えるだろう。
施設に関しても草加市の協力を得た事もあり、大きめのイベントホールを確保している所から、本気度合いも分かると言う物。
ただし、規模は有明の方とは違って小規模だが――それでも、来場者は5万人と言う事で大盛況と言えるかもしれない。
遊戯都市奏歌は主にARゲームを町おこしとして行う為の経済特区と言う事だが、これもARゲームと無関係ではないという判断で開催された事になる。
そのイベント内でARゲームのロケテストや新作発表も行われているのだが、これを行う為の会場として選んだのが同人誌即売会会場なのかもしれない。
足の踏み場もないような混雑状況になる有明に対し、こちらは人が比較的少ないのも不幸中の幸いだろうか。
そうした状況もあって、有明よりは大きな事件なども起きないと考えているコスプレイヤーや漫画やアニメ、ゲームファンが集まっていると言ってもいい。
一方で、実在のARゲーマー、実況者、芸能人等を扱った夢小説は禁止となっており、その勢力は有明の方へ出展しなくてはいけないという状況だが――。
午前10時、イベントの開場は午前9時と言う事もあり、この時間帯だと大規模な行列は出来ていない。
草加駅からバス経由で会場まで行かなくてはいけないのだが、それでもバスを使わなくても徒歩10分位で会場には辿り着ける。
その会場は最近になって出来たばかりの物であり、お世辞にも有明よりも優秀なイベントホールとは言えないだろう。
しかし、それでも過去に行われたイベントでも概ね好評であり、そうした声を受けての大規模イベントとなったのである。
好評ばかりではなく改善点もいくつか存在し、それに対してスピーディーに対処する事により、今回のイベントでの会場に選ばれたと言ってもいい。
「会場の混雑は――問題ないか」
あるネットの情報サイト記者が開場前に到着すると、入口付近が大混雑している訳ではないが、人混みと言う物もない。
これでイベントが大盛況なのか――と疑問を持つのだが、他にもライバルサイトの記者がいるので問題はないようだ。
しかし、ライバルの何処もネット系のサイトの記者であり、テレビ局の記者等ではない。テレビ局の取材がNGと言う場合、隠しカメラやドローン撮影でも警戒するレベルかもしれない。
その記者を見て、警戒心を見せる人物はゼロではない。このイベント自体、運営側が認めた記者以外の入場を規制しているからだ。
「しかし、ここまで周囲が警戒する理由は何だ?」
警戒する理由に関しては、単純に言えば風評被害である。まとめサイトやその他の勢力がARゲームに批判的な姿勢を見せ、超有名アイドルファン等と手を組んだ事が最大の原因だった。
その後、この記者がどのように記事を書いたのかは不明だが、ユーザーが想定していたような記事の書かれ方はしていない。
そこまでやるのは超有名アイドルファンがアフィリエイト目当てで情報を捻じ曲げ、超有名アイドルの利益になるような――と言うケースだけだろう。