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序章
時は遥か昔のこと。
魔法が生き、大気に魔力が満ちるこの世界に、絶大な力と残虐さで名を馳せる三人の魔導師がいた。
彼らは突如街を襲ったかと思えば忽然と姿を消し、死の象徴として人々に恐れられていた。
どこから来たのか。
何者なのか。
何のために虐殺を繰り返すのか。
それは誰も知らない。
彼らの名前でさえ、誰一人として知る者はいない。
いつしか彼らは『死の霞』と呼ばれ、それぞれを彼らの特性になぞらえてこう呼んだ。
『絶望』
『不運』
『虚無』
近隣の王国、ロア、ガルドラ、トニス、ムオ、デスピアンの五国は厳戒態勢を余儀なくされ、また彼らの首には破格の賞金がかけられた。
これによりその存在は全世界へと知られることとなる。
彼らに目をつけ、この地まで足を運んだ賞金稼ぎは千人強。
しかし、彼らは誰一人として帰ってはこなかった。
そんな中、ある一人の青年がロアのとある店に立ち寄った。
物語はここから始まる。
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