プロローグ
SFとファンタジーの違いって何だろう?
―もしも一つだけ、願いがかなったら……。
―もしも一つだけ、魔法をつかえたら……。
昔の人たちはよくこういうことを考えていたそうです。昔とはいっても、僕のお父さんお母さんの世代です。僕のお父さんお母さんが子どものころ、そんなことが起こるのは本の中だけの出来事、そんなことは夢物語だっだそうです。
しかしそんな中、そんな夢を追い続けたどうしようもない人がいたそうです。たとえ周囲の人にどれだけ馬鹿にされ、どれだけ笑われても、そのどうしようもない人はその夢をあきらめなかったそうです。どれだけ罵倒され、どれだけ暴力を受けても、そのどうしようもない人は笑って夢を追いつづけたそうです。
そんなこんなでその人が夢を追い続けてから何年もの月日が流れました。
ある日、その人は言ったそうです。
「ついに私は、願いを叶える……そのための魔法を手に入れた。」
もちろん周りの人たちは笑ったそうです。もともと頭が可笑しかったものがついに壊れたとか言われたそうです。しかし次の瞬間にはそんなふうにその人を笑っていた人たちは言葉を失ったそうです。その人は飛んだのです。なんの道具も使わずに。その人は空中で停止したかと思いきやあっちへ行ったりこっちへ行ったり、屋根のある場所や建物の上まで地に足を付けずに飛んで見せたのです。
そしてその人はこう言ったそうです。
「私は願いを叶える魔法を手に入れた。しかしその魔法は一人に一つまでだ。私は今空を飛びたいと願った。そして空を飛ぶ魔法を手に入れたのだ。これは決して手品などではなく、私以外の人でも願えばこのような魔法を使えるようになる。」
手品ではなく、皆も使えると。この一言に世界中のすべての人が惹かれました。ずっと本の中だけのはずだったものが、ずっと夢物語だと思っていたものが、今目の前にあるのですから。
その人はこう続けました。
「私の研究はこれで完成した。しかし私の夢はまだ終わっていない。私は皆にこの魔法の力で幸せになってほしい。皆が魔法を使い願いを叶え、皆が幸せになった世界。そのような世界を作るのが私の夢だ。私のこの魔法が皆の願いを叶えよう。だからどうか、皆も私の願いを叶えてくれ。」
その人は夢を叶えるために、多くの人にその魔法の力を与えたそうです。
しかし人間は、その人が考えるほど心が白く、きれいなわけではありません。みんながみんな、優しい心を持っているわけではありません。みんながみんな、良い願いを持っているわけではありません。
人の心は黒く、醜いのです。
中には人を傷つけるためにその魔法を使う人がいました。他の人を蹴落とし、自分だけが幸せな思いをするために魔法を使う人もいました。もちろん周りの人がそんなことをすれば、他の人も対抗してそういう魔法を手にします。
中には不死を願った人がいました。その人は死なない魔法を手に入れました。どれだけ痛い思いをしても、どれだけ苦しい思いをしても、死ぬことだけはない。そんな魔法でした。
夢を叶えるのに一生懸命だっただけのその人は、そういう人たちの責任を取らされたそうです。その人が魔法なんて見つけなければその力によって多くの人の命が失うことはありませんでした。多くの人がただただ苦しむなんてことはありませんでした。その人は多くの人を殺し、苦しめたとして多くの罪に問われ。重い重い罰を科せられました。
それからしばらくして、その魔法の力が見直されました。たしかにその力は悪用されたらどうしようもなくなります。そこで悪用されないように新しい法律を作り、魔法の使用について厳重に監視し、その履歴を出せるシステムが開発されました。これによって魔法で悪さをすることが難しくなりました。ついに世界中の人たちが正しく願い事をし、魔法を手に入れれるようになったのです。ついに魔法を作ったあの人の夢は叶えられました。しかしその人がその世界を見ることは叶いませんでした。
『魔法』の設定だけは考えてあります。
あとは設定をきちんと作ったうえで完成させていけるかとか執筆能力がついてこれるかとかいろいろと不安はありますが、きちんと続きは書くつもりです。