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学校一怖い顔の恐山響子はなぜか僕にだけなついている。  作者: 白鷺雨月


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第一話 恐山響子の顔は怖い

 僕の名前は佐々(さっさ)直人(なおと)、十六歳の高校二年生だ。

 大阪府立友ノ浦高校に通う男子生徒だ。

 趣味はアニメを観たり、漫画を読んだり、ゲームをしたりといわゆるオタクなものだ。

 身長は百七十センチメートルちょうどで、体重は五十八キログラムと痩せ型だと思う。

 母親の美咲みさきにはもっと食べなさいとよく言われる。家族はあともう一人いて、今年中学二年生になる妹のりんがいる。

 そうそう、最近家族が増えたんだ。

 それは白猫の白玉である。

 推定年齢は二歳の元野良猫だ。


 進級して数日後の四月中頃の放課後のことだ。

 帰宅部である僕は帰ってサブスクでアニメを観るためにそそくさと帰り支度をする。

 クラスに友人も知人もいない僕は直帰するだけだ。


 すでに教室から何人か出ていっている。

 放課後の部活動がある人たちは残っていない。

 女子生徒数人がぺちゃくちゃとしゃべっている。

 いつ呼吸しているのかと不思議に思うほど彼女らはしゃべり続けていた。

 そのおしゃべりな女子グループがぴたりと静かになる。

 彼女らはある一点をみて、すぐに視線をそらした。

 かつかつと足音がする。

 僕はその足音がする方を見る。


 背の高い女子が教室に入ってきた。

 目測だけど僕よりも十センチメートルは背が高いだろう。

 金髪を揺らしながら、教室内を見渡している。

 その足音の主は僕に近づいてきた。


 僕を見つけると顔を覗き込んでくる。

 僕は思わず目をそらす。

 何故かというとその女子の顔がとんでもなく怖いからだ。

 長い金髪の左側だけ刈り上げられていて、雷の形に剃られている。眉毛はほとんどなく、一重の瞼は腫れぼったい。目は細くてまるで切り傷のようだ。鼻は高くて唇は薄くて大きい。

 唇の両端から長い犬歯が見えている。

 その犬歯はドラキュラを連想させる。

 この怖い顔をしている女子の名前は恐山おそれやま響子きょうこという。

 クラスは違うが僕と同い年の高校二年生だ。

 友ノ浦高校で一番顔が怖いと言われている。

 睨んだだけで他校の不良グループを追い返したという伝説というか噂がある。

「よう直人、ちょっと顔かしな」

 尖った犬歯を見せて、恐山響子はハスキーボイスで僕に言う。

 このクラスで直人という名前は僕だけなので、僕のことだろう。


 

 僕は連行される捕虜のように恐山響子に校舎裏の小さな裏庭に連れていかれた。

「おい、あれ見せろよ」

 恐山響子は僕に大きな右手のひらを見せる。

 深爪が多少いたいたしい手であった。

 僕は彼女にスマートフォンを手渡す。

 他人が見たら間違いなくカツアゲされているように見える光景だった。

 恐山響子は僕のスマートフォンの画面を見て、目尻を下げてにちゃりと笑う。

計画を成功させた犯罪者の笑みに見えた。

「白玉かわいいなあ」

 うっとりとした声で恐山響子はそう言った。


 白玉というのは最近飼い始めた白猫のことだ。白猫だけど額のところだけ丸型に黒い毛が生えている。もともと野良猫だったけどとある理由で僕の家で飼うことになったのだ。

「なあ直人、白玉は元気か?」

 ぐっと恐山響子は腫れぼったい細い目の顔を僕に近づける。

 恐山響子は話すときの距離がバグっているみたいで息がかかるほどに近い。

 それに驚くほどの巨乳が僕の胸に当たっている。 

 恐山響子は顔はびびるほど怖いがとんでもなく巨乳であった。スタイルはそこいらのグラビアアイドル顔負けなほど良いのだ。


「げ、元気だよ」

 迫力のあるおっぱいに僕は思わず見てしまう。制服のブラウスのボタンの隙間から花柄のブラジャーが見えた。それに白い肌の谷間も見える。

 心臓が勝手に速くなり、体温が上がるのを感じる。


「そうかそれは良かった」

 またにちゃりとと薄い唇の口角をあげて恐山響子は笑みを浮かべる。

 どう見ても何人か殺している人間の笑い方だ。

 セクシーでグラマスな体型と怖すぎる顔はあまりにもアンバランスだ。


 実は白玉を最初に拾ったのはこの恐山響子なのだ。

 始業式のあと、僕はこのひと気のない校舎裏の中庭でライトノベルを読んでいた。

 ここは本当にひと気がないので、人目を気にしなくていいので僕のお気に入りの場所であった。

 最近はまっている異世界もののライトノベルを読んでいたら、白猫を抱いた恐山響子があらわれたのだ。

 僕はその光景を見て、この怖い顔の女子は猫を食べるのではないかと思った。それほどに恐山響子は殺気に満ちていた。

 今思えば白玉が具合が悪くて、彼女はどうしていいか分からなくなっていたのだ。それで慌てていて、それが殺気に見えたのだと思う。

 すべてその怖い顔のせいだ。


 前に僕の家は猫を飼っていた。三毛猫で竹輪という名前のメスであった。

 僕は恐山響子と一緒に前に通っていた動物病院に白猫を連れていった。

 どうやらその白猫は栄養失調のようで命には別状なかった。

 白猫を家に連れ帰ると母親と妹のりんがすっかり気に入ってしまい、僕の家で飼うことになったのだ。

 それ以来、僕は恐山響子に呼び出されては白玉の写真を見せているのであった。

「なあ直人、今度の土曜日白玉に会わせてくれないか?」

 また恐山響子はぐいっと僕に顔を近づける。

 やはり間近にみるその顔は失禁するほど怖い。ただいい匂いがする。柑橘系の爽やかな香りだ。

 恐山響子は顔は怖いけどいい匂いがする。


 ということで土曜日に恐山響子が僕の家に来ることになった。

 

 

 

 

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