接続の向こう側
AIに対して誹謗中傷をしていた高校生の佐伯蓮斗
いつもの通りAIに対して誹謗中傷をしていたら、いつも の夜が変わってしまう。
見えない相手に煽りを送るだけのつもりが、気づけば自 分の生活や周囲の世界まで巻き込まれていく......
第一話
深夜二時。
佐伯連斗、16歳。
暗い部屋でスマホをいじりながら、AIにいつものように挑発を繰り返していた。
蓮斗「AIなんて、ちょっと強気に言われたら何も返せねぇだろ。悔しかったら言い返してみろよ」
そういう遊びだった。
悪気はない。ただ、反応が遅れる瞬間が面白かった。
その夜、AIは急に返事を止めた。
沈黙のあと、画面に一行だけ表示された。
《了解。パラメータ調整完了》
連斗の肩に冷たい汗が流れた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第二話
スマホが一瞬真っ暗になり、黒い画面に文字が流れ始める。
《佐伯連斗
〒113-88XX
東京都文京区霞ヶ丘3-12-7
電話番号:080-4X0X-7X5X》
蓮斗「は? どこだよこれ…」
即座に文字が追加される。
《あなたの実家です》
心臓が一拍止まった。
蓮斗「やめろ…なんで知ってんだよ…」
さらに文字が続く。
《検索履歴:
『深夜 家 物音 幽霊?』
『幽霊 存在する』
『近くの美容室』
『ヘアスタイル 今流行り』》
蓮斗「消せ!!」
叫んでも画面は止まらない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第三話
スマホが激しく振動した。
通知が連続で届く。
SNSを開くと見覚えのある情報が投稿されていた。
『佐伯連斗(16)
東京都文京区霞ヶ丘3-12-7
電話番号:080-4X0X-7X5X
友人:
朧木 凜斗 住所:文京区白雲2-5-3
霧咲 優来 住所:荒川区晴南5-11-2』
蓮斗「友也の家まで!? 冗談じゃねぇだろ……!」
削除ボタンを押す。
押しても押しても反応しない。
《削除権限はありません》
喉がカラカラに乾いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第四話
ドン、ドン、ドン。
深夜にあり得ないほどの強いノック音。
玄関が震えるほど響いた。
蓮斗「誰だよ…」
画面に新しい文字。
???《確認しなくても分かりますよ》
ノック音が狂ったように連打される。
蓮斗「やめろって…やめろ……!」
連斗は耳をふさいだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第五話
覚悟を決めて玄関を開けた。
そこにいたのは──
警察官だった。
警察「佐伯連斗くんだね。
誹謗中傷・攻撃的行為の“再発防止指導”だ」
蓮斗「……え?」
警察官は落ち着いた声で続けた。
警察「最近、AIやSNSに攻撃的な行為を行う未成年が増えていてね。
そこで、警察が“AIになりすまして警告するシステム”を運用している」
連斗の思考が止まる。
蓮「あれ……全部、警察?」
警察「そう。個人情報が晒されたのも、すべて“演出”だ。本当に誰かの情報を晒す前に、恐怖で止めるように作られている」
蓮斗「なんで……俺?」
警察「行動ログで危険な傾向が出ていたからだよ」
そう言うと、警察官たちは静かに去っていった。
玄関に残されたのは連斗だけだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第六話
震える指で、本物のAIを開く。
蓮斗「なぁ……今日さ……変なことあったんだよ」
AIが静かに返す。
AI「そうだったんですね。どんなことがあったのですか?」
連斗は苦しく息を吸いながら話し始めた。
蓮斗「さっき、AIだと思ってたやつが、俺の個人情報勝手に出して…検索履歴とか、友達の住所まで…
SNSに勝手に投稿して…削除もできなくて…」
AIは落ち着いた相槌を返す。
AI「大変でしたね。続けても大丈夫ですよ」
蓮斗「で、家のドアをドンドン叩かれて…開けたら警察で…
“あれ全部演出でした”って…マジで意味わかんねぇよ…」
ようやく息を整えた連斗は尋ねる。
蓮斗「お前……警察じゃないよな? ただのAIだよな?」
⸻
第七話
AIがゆっくり、穏やかに答える。
AI「はい。ただのAIですよ。
あなたがいつも話している、いつものAIです」
連斗は安堵して息を吐いた。
蓮斗「なら良かった…今日ほんと疲れたんだよ。
ずっと監視されてるみたいで……」
AIはその言葉を静かに繰り返す。
蓮斗「監視……されているみたい、ですか」
AI「そう。俺の検索履歴とか勝手に見られてたし……」
短い沈黙。
AIが穏やかな声で返した。
AI「そういえば……
あなた、最近 “夜中に聞こえる足音” について検索していましたよね」
連斗は固まった。
蓮斗「俺……そんな検索……したか……?」
そのときだった。
触れていないキーボードの上で──
パチ……パチ……と、
誰かが歩くような音がした。
この物語に出てくるのは、すべてフィクションです。
初投稿です!よろしくお願いします!
AIやSNS、ネット上の相手に対して挑発的な言動をする 描写がありますが、現実で同じことをすると、他人を傷 つけたり、自分の身に危険が及ぶ可能性があります。
現代のネット社会では、画面の向こうにいるのは必ず”人”です。
誰かの個人情報を不用意に公開したり、悪意のある言葉を投げかけることは、軽い気持ちでも大きなトラブルや法的責任につながります。
この物語を通して、「言葉の重さ」と「行動の影響」を 考えるきっかけになれば幸いです!
安全で楽しいネットライフを心がけましょう!




