<発動>スキル【主人公補正=世界を変える力】
こんにちわ
「じゃあこれから学芸会の劇、桃太郎の役決めするよ~桃太郎したい子いるかな~女の子でもいいよ~」
始業のチャイムと共に先生が教室全体に先生が聞こえる声で言った。
「はいはいはい!僕が桃太郎したい!」
大きな声と共に俺は勢いよく手を挙げた。。
「ありがとう、凛君。でもね凛君は桃太郎って感じじゃないかなー。だからさ凛君は優しいからおじいちゃんの役とかどうかな?」
「え」
クラスの奴らもそう思ってるらしく、そうだねそうだねと隣の席の奴と話しているのが聞こえた。
「じゃあ先生!ぼくやりたーい!」
「お!空くん!立候補ありがとう!空くんで賛成の人拍手~!」
クラス中から拍手が鳴った。
満場一致だった。
俺はその瞬間小学2年生ながらにして悟った。
俺は主役になれないと。
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これが俺の人生一番最初のトラウマだ。
今でもたまに夢に出てくる。
そしてこの夢を見た日は必ず寝坊するというおまけつき、どれだけ足を引っ張れば気が済むのか。
忘れられるのなら忘れたい記憶ランキング堂々の1位である。
そして今日はこの夢を見た日だった。
絶賛遅刻中だ。
憎い、この夢が憎い。
この夢のせいで駅まで全力ダッシュさせられ、電車に乗り遅れようとしているのだから。
なぜ今日なのかと朝起き、時計を見たときは頭が痛くなるほど思った。
なぜなら今日は俺が出演する舞台の公演日当日だからだ。
もちろん主役ではない。
しかしこれまでに比べセリフが多い友人Bに選ばれた。
中盤で死んでしまうものの俺は抜擢されてから努力に努力を重ねている。
なのに神はなぜこの日にこの夢をみせたんだ、俺がなんかしたかよ
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「セーフ」
小声でつぶやく。
始発ということもあるのか、ホームにまったく人はいなく不気味だった。
一番先頭に並ぶことのできた俺は、座れるのではないかと少しワクワクし、本番当日のことも夢に対しての怒りのせいか緊張はしていなかった。
ましてやこれを機に演技力を買われ有名な会社にスカウトされるんじゃないかと他愛のないことでニヤニヤしていた。
正直浮かれている。これからの未来がいい方向に進むのではないかと。
これまで右肩下がりの人生がどんどんどんどん上がっていくのではないかと。
「あの、池田凛さんですか?」
背後から声がした。
池田凛と間違いなく俺の名前を呼んでいた。
聞き覚えのない声、若い女性の声だ。
凄く綺麗な声だった。
女性との関わりが少ない俺はすぐに振り返った。
「おはようございます、僕が池田凛です」
振り返ると綺麗な女性が立っていた。
綺麗な赤色の長い髪に、透き通るような白い肌で整った顔にすらりとした体を覆う白いワンピース。
俺は見とれてしまった。
まるで女神のような人だった。
「あの?どうかされましたか綺麗なお姉さん?」
女神様が口を開く
「あなたには才能が有ります、主人公になる才能が。」
「は、はい?」
舞台の話だろうか、急すぎて聞き返すことしかできなかった。
「なのであなたには本当に申し訳ないのですがここで命を落としてもらいます!」
女神様の右手が俺の胸に触れる。
ドンッ という音と共に胸に痛みが走った。
なにがなんだかわからなかったが、一つ分かることは線路に背中から落ちようとしてることだ。
右手を伸ばしても何も掴むところがない。
ただ女神様が満面の笑みで笑っていることだけが見える。
俺はようやく理解した女神様に押されたらしい。
「では後ほどまたお会いしましょう!!主人公様!!」
あの女は何を言っているのか理解できなかった。
主人公とかなんとか、俺は友人Bだ。
舞台に立って誰よりも努力した姿を見せて、スカウトされて。
これから人生がよくなるはずだったのに、これから人生右肩上がりのはずだったのに。
電車の警笛が聞こえる。
なんで、なんでだよ。どうして俺の人生はいつもうまくいかないんだよ。
死の恐怖よりも悔しさが勝っていた。
あと少しのはずだったのに。
「くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉお」
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「ようこそ天国へ、池田凛様」
目を開けると全面真っ白の部屋にいた。
2つの木の椅子が置いてあり、一席は俺。もう一席は俺を殺した女神様が座っていた。
「あなたにはこれから魔王を倒す旅に出てもらいます。勿論手ぶらでとは言いません。あなたにはすでにあるスキルを差し上げました。」
女神様は深く息を吸う。
「チートスキル【主人公補正】を!」
ご一読いただきありがとうございました。
初めての小説なので読みづらかったり、この文変だなと思うところがあると思います。
その際バシバシ指摘お願いします。
自分はこの作品を素晴らしい物にしたいと思ってます。何卒ご協力していただけたら嬉しいです。
更新ペースは不定期です。よろしくお願いしまーす!!