前夜祭
「兄ちゃん飲んでるかぎょ??」
「いただいてます!」
「いやー兄ちゃんらには感謝してもしきれねーぎょ!」
「こちらも急いでいることをお察しいただいて、急がせてしまい申し訳ないです」
「いやいいんだぎょ。ここ数年向こう側へ送らないといけないものが送れずヤキモキした日々だったからなぎょ。
船を出しても近海をチョチョっと回るくらいしか出来てなく俺ら海の男達は悔しい思いをしていたからぎょ」
今日は出航前日の前夜祭だ。といってもさっきから6時間ほど経ったくらいで事情を細かに話したところ明日には出れることになりそのまま前夜祭になった。
「本当に感謝してるんだぎょ。こんなに生き生きと酒をかっくらってる全員見るのも本当何年前のことかぎょ…」
「あい、これこの街の名物料理ヤラカイの煮物だよ!」
「おあっ母ちゃん!」
「あんたしっかりしないとダメよ!本当ありがとう、皆とても喜んでるわ。このバカ亭主は足でも使って支持してやれば尾平振り振り働くからドンドン使ってやって!」
「母ちゃん、ひでーぎょ!」
「うるさい!!ではもっと脳が蕩けるようなの作ってくるわね!」と言って去っていった。
「あいつにも苦労かけたんだぎょ、船を出さない苦しみを酒にぶつけて帰って暴れたりな…俺、この航海から帰ったらあいつに…」
「待って待って!!」
「なんだぎょ?」
「やめましょう!飲みましょう!」
「あっああ…!無事な航海に乾杯っ!!」
あっぶねー!!フラグ立てるとこじゃんよ!
危うく聞いちゃうとこだったわ…これはセーフだよな…
「おいおいおいっこの子猫ちゃん俺に喧嘩売ってきてるぞ〜しゃち!」
「にゃにおう!あたしはにゃにゃとーにゃ王国近衛騎士団にゃにゃみん。我が国最高の騎士にして、にゃにゃ光抜刀術を操りしものにゃ。いざ尋常に勝負にゃ!」
にゃーーーっ!!!
ペコっ…ふにゃ〜…
「弱いなこいつしゃち…」
ナナミンが鯱の魚人に勝てるわけないだろ…
「すいませんね、すいません…」
「あっ、こちらの子は兄ちゃんの嫁さんかしゃち?」
「違います」
「なんでービックリしたしゃち」
「…どちらかというと妹みたいなもんですね」
「「妹!?すみませんでしたーーーーーっ!」」
「お酒は楽しく飲みましょうね。今回はこいつが悪いので不問にしますが…」
「大変、大変申し訳ございませんしゃち!」
「いいですよ!こいつにも怒っときますね!」
「めっそうもありません。そんな小さいのに酒飲んでいいの?と聞いたら勝負だと言ってきただけですから。まぁ勝手にグラスに当たって伸びただけですししゃち」
「見てたので知ってます…」
こいつ恥ずかしいやつだな…ナナミンを横抱きに抱え上げる。
「タケル!」「アヤ!楽しんでるか?」
「動物達と比べると魚人はなかなか可愛がる子を探すので一苦労ね!」
可愛がる…と後ろを見るとペンギンとゴマアザラシが惚けた顔で集まっていた。
「ああ、明日二の鐘で出発だ。アヤが魔石を持ってきてくれてなかったらここでも足止めくらうとこだったよ!」
「たまたまね。あの巨人倒しても何も出なかったし、持ってて本当に良かったわ」
「うん、明日から出て早くて着くのが5日後だそうだ。向こうに着いたら転移は行けるか?」
「さっき一応試したけどここからだとダメだったから向こう着いてから試す感じね。肌感ではいけるとは思うけど…」
「そうか!」
「ナナミンちゃんも楽しくて寝てしまったのかな?本当可愛いわね!」
いや、ナナミンは酒飲んで喧嘩売った挙句自爆したんです。
「この地最後の夜だから楽しみましょう!」
「そうだな!」
「あや様〜っ!新たな仲間できましたぺん!」
「今行くわ〜!今夜は、寝かさないわよ〜!!」
アヤさん…
そんなこんなで楽しい前夜祭が終わり明日旅立つ。
クラーケンの恐怖とこちらの世界の海に期待しながら眠りにつくのだった。




