聖母降臨
その夜、不思議と深夜に目が覚めた。
起きると部屋の中が赤く点滅しているのに気が付いた。
近づくと光っていたのはネックレスと気付いた。規則的に2回光って止まる。2回光って止まるを繰り返している。
ビビだ。一瞬でわかった。ただ光っているだけなのに心配している気持ちが伝わり、唯の明かりを見ただけなのに涙が溢れた。
ネックレスを手に取る。2回光ったあとすぐ触り握り締める。2回握り締めると今度は3回光出す。3回握りしめる。俺は無事だよ、元気だよと。
伝わらないとは思わなかった。何度かやり取りを経て光らなくなった。向こうも無事だったと言う意味なんだろうと思いネックレスを置きまた布団に潜るのだった。
必ず帰る。新たな決意を元に入眠していくのだった。
「翌朝、おはようにゃ!タケル!なんか傷だらけにゃ、どうしたんだにゃ?」
「ああ、おはよう…お前の寝相が悪すぎてズラそうと思ったら引っ掻かれたんだ…」
「あら、そうにゃ?乙女の身体を触ろうとするから悪いにゃ自業自得にゃ」
「そうですか!そりゃ悪うござんしたね!今日でお別れなので寂しい限りですね」
「にゃにゃ?!お別れにゃんて言わにゃいでくれにゃ…ごめんにゃ言いすぎたにゃ、尻尾触っていいので許してくれにゃ」
結構ですと断り朝食を頂き王城に行くことにした。
朝は段々と寒くなってきており、歩くとピンと一本芯が通ったようなそんな空気を感じていた。
門兵は牛の獣人だ。こちらを見て証明書と俺を見ると無条件で通して貰えた。ナナミン共に中に入ろうとするもナナミンだけ止められるとダメだと言われる。
「にゃにおう!私こそ近衛騎士団所属ナナミンだにゃ!」
「じゃ近衛騎士団章を出せもう」
「団章はこの前質屋に…」
「なんだもう?」
「にゃ、にゃかに置いてきてしまったにゃ!」
「こいつ、お前の連れかもう?」ナナミンの顔を見ると泣きそうなので、そうですと答えると入れてくれた。ただこいつがなんかトラブルを起こすとお前のせいだと言われた。
団章質屋ってこいつ馬鹿なんじゃないか?まぁ別に良いけど…
「だと!なんかトラブル起こすなよ」
「わかったにゃ・・・すまにゃいにゃ…」としおらしくなったので頭を撫でてあげた。
「こちらですわん」と犬のメイドさんに連れられ部屋に入るとアヤを奉る動物の数々であった。
聖女アヤを信仰する信者たちと言うイメージだが、列をなして今か今かと待ち続けている。
当の本人はよしよしよしと撫で続けているようだ。
「あっおはようタケル」
「ああ、大丈夫か?」
「うん、王には話を付けといたから私も行くね」
「わかった」
朝の礼拝のように並んだ信者を撫で続けた結果、三の鐘前にはやっと終わったのであった。
「さて、向かいますか」そう呟き、出口に向かい始めたその時、勢いよく扉が開け放たれる!
バァーーーン!!
「我が国に現れた聖母を連れ去ろうとする悪党とは貴様か?!私はナナトーナ王国一の剣の使い手ルル!
いざ身命に勝負しろガオ!!!」
「えっ…??えっーーーーっ!?」
なんで?なんで連れ去るとか言ってるの?この虎の人?
いつのまにか聖母に格上げされているし・・・
とっさにアヤに視線を向ける。
「いや私わからないんだけど…」
「貴様〜っ!王が、王が悲しんでいるがお…。聖母アヤ様を連れ去ろうとする逆賊を討つべきだと…だから勝負だがお!
それまでの間こちらでアヤ様の身柄は預かるがお!
さっ、それではこちらにどうぞがお。あっ足元に気をつけるがお。
決闘は今日の四の鐘に併せてやるがお。逃げるなよがお!」
とアヤを連れていかれるのだった。




