悲しみ
ブライアン、いや琢磨先輩が死んだ。
祭壇へ震える足に鞭を打ち近づくとすべての部位に傷が付きバラバラにされ、ズタズタに切り刻まれた人だった。
髪の毛の色と骨格からブライアンに間違いないだろうとメルシーさんは言った。
震える手で顔を抱きしめる。そして俺は大声で泣いた。
人生で一番の号泣だった。
そこからはメルシーさんに言われ近くに穴を掘り埋めることにした。
この世界を心底楽しみ、自由に生きた男が死んだ。それがとても悲しく、そして残酷なこの世界を呪った。
穴に琢磨先輩を埋め、墓石として上に気持ち大きめの石を乗せる。
この重さは俺の悲しみの気持ちです、お酒じゃなく水でごめんなさいと石に水を掛けるとその場から立ち去ることにした。
集落に向かうとそこは掘立て小屋が長年放置されたような有様で、先ほどまで遠くから見ていたような雰囲気ではなかった。
来る途中ごんぞうを探すも姿は見えず、最後の頼みということで中を見て回る。
ごんぞうがいた。紛うことなきごんぞうだ。
近づき震える手で口に手をかざすと息もしていることが確認でき安堵する。
その瞬間、腰が抜けた。この世界きて何回抜けるんだと思ったが抜ける時はいつも、安心した時だった。
やっと腰の様子が良くなってきたのでごんぞうを起こすことにした。
メルシーさんが声を掛ける。
「ごんぞう殿?ごんぞう殿?大丈夫か?ごんぞう殿!」
「ううん・・・メルシーさん。今日の朝ごはんはなんですか?そんなことされたら幸せ感じて俺死んでしまいますよ」
「死んでもらっては困るな、せっかく助けたのに」と言いフフッと笑うと
「笑顔が良いですね、ずっと一緒に…」
「あいごんぞう起きろ!」とバチンッと頬を張った。
「いってーっ!何すんだ!せっかくメルシーさんとの…」
「私がなんだ?」
「ああメルシーさんとの…メルシーさん…メメメメメメ」
あぁごんぞうだ!ごんぞうだなこれ。
「私とのなんなんだ?」
「メメメメルシーさんこにょにゃさのにょにょのよお」
疑問を浮かべるメルシーさんと真っ赤に染まったごんぞうを見てごんぞう、おかえりと伝えるのだった。
そこから集落を見て回るも廃村という感じで何もなかったのでベースとなる場所に戻る。
「あのモンスターは何だったんですか?」
「あれは死骸を見る限りは妖狐だ。言い伝えでは旅人を騙し喰らう化け物だぞ。正直記録にもあまりないことから討伐もされていない可能性が高い」
「なるほどですね。確かにめっちゃ強かったもんな」
ごんぞうに気が付かなかったら内側から切られて死んでるわ。と歩きを進めベースに戻った。
これからブライアンの死を2人に告げる必要があるため気が重い。
と2人の姿が見えないことに気付いた。
まさか妖狐に?と思ったが馬車の横に倒れており、酒臭いので2人で酒盛りしていたようだ…
こいつら呑気に飲みやがって、置いて行こうかなと思ったが大人気ないと思い直しその場を片付けてから寝ることにした。見張りしないと…と思ったが睡魔には勝てず微睡の中に入っていくのだった。




