表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界はバーゲンブルグから・・・  作者: J.Plum
第二章
55/113

閑話 ビビ 1 『PV2,000に感謝記念』

PV2,000を超えました!ありがとうございます。

感謝を込めて閑話書いてみましたのでどうぞ!

 逃げろ!ビビ!

 で、でもトト…あたし、あたし…

 いいから!いけーーーーーっ!

 うわぁ〜!!!


 そうして、あたしの平穏な日々は終わりを告げた。そんな夏の日だった。


 あたしの名前はビビ。

 とある国にひっそりと集落があり、そこの子として育った。

 お父さんはトト、お母さんはカカと呼んでいた。

 子供の頃からトトは厳しくご飯食べながら歩いたりすると怒られたり、家にいたずら書きなどするとえらい勢いで怒り出す。

 そんなトトをあたしは苦手だなと思っていた。


 その代わりカカは優しかった。

 料理を手伝うといって粉をこぼした時も笑って許してくれたし、隣のばあちゃんを誤って転ばせてしまったときも一緒に謝りに行ってくれてわざとじゃないとわかると許してくれた。

 そんな家族だった。

 幸せかと問われると貧しい家庭だったから他の人はどう思うかわからないが、今思えば幸せだったんだろうなと、そう思う。


 その日は近くの家に住む幼馴染、と言っても歳下の男の子だがその子と共に近くの川に遊びに行っていた。


「なぁビビ、夜中に起きるとトトとカカが裸で抱き合ってる時ないか?」

「あーそれは生存確認らしいよ。トトが生きてるか確認してるみたい」

「えぇーそうなの?その割には声出してるのカカだよな」

「んーっそうなんだけどさ…」と川に着いたので飛び込んで遊んでいた。


 程よく時間が経ったとき集落から薄ら煙が上がっているのに気が付いた。

「あれ?なんか煙上がってない?」

「本当だ。お祭りくらいしか上がらないんだけどね。帰ろっか!なんか楽しいことありそう!」そうして走って集落に戻ることにした。


 到着するとそれは楽しいことではなく各家が破壊され、異常なことが起きているというのがよくわかった。


 トト、カカ…そう思い真っ直ぐに自分の家に向かった。

「待ってくれよ〜」と後をついて来る男の子だったが、少しすると声が止んだ。


 不思議に思い振り返ると後ろ姿ではあったが人型の黒いモヤを背負った何かが蹲り首を上下に動かしていた。

 見るとあれは男の子だ…。

 それを見てから恐ろしくて恐ろしくて…脇目も降らず自分の家に逃げ帰った。


 バンと勢いよく扉を開け中を見るが誰もいなかった。

 そうすると後ろでガタッと音がしたので藁で作ったベットの下に隠れることにした。


 モンスターが入ってくる。クンクンと鼻を効かせながらこちらに歩いてくるのがわかる。

 絶対に声を出してはいけないと口を押さえる。


 後数歩でここに来ると思った。

 槍のような爪のようなものが頭の上から藁を突き破り下まで突き抜けてきた。


 驚きの余り声を出しそうになるが、必死に声を抑える。


 すると外からトトの声が聞こえ始めた。「ビビ〜っ!いるなら返事しろ!ビビ〜ッ!」

 ダメ、トト、ダメ!そう思うも声を出すことは出来ない。


 その声を聞きモンスターは声のする方に去っていった。

 去っていった安堵する気持ちとトトが危ないと思う忌避感が混ざり合い体験したことのないような気持ちにはなるが、トトを助けないとと思い外に出ることにした。


 恐る恐る外に顔を出し眺めるとモンスターの姿は見えなかった。

 ホッとして周りを歩く、隠れながらトトを探すと遠くにトトがいるのが確認出来た。

 そのままこちらに向かって走って来る。

 そうしてあたしを全力で抱きしめた。


「ビビ、逃げろ、あいつだ。いつもいってた黒いモヤのやつだ。みんな殺された。今は撒いてきたが俺が引きつける。ここから南に向かえば街がある。だから逃げろ」

「な、なんでトトも一緒に行こうよ…」

「無理だ、逃げ切れるもんじゃない。だから逃げろ。何俺だってただ死ぬわけじゃない。ビビが向かう方とは別の方に逃げて街でまた会えるだろ。だからまず逃げろ」

「でも、でも…トト、あたし、あたし…」

「行け!大丈夫、また会える」

 そうして森に向かって走り始めた。


 ふと後ろを振り返るとモンスターがトトに迫るのを確認して止まる。


「…いいから行けーーーーーっ!」


 そこからは走った。今まで感じたことのないような疲労感に包まれながら走る。

 森の中では木が迫り出していたのを気付かず、足を引っ掛けて転んだりもしたが立ち上がり走る。

 そうして長い長い時間、今にして思えば1.2時間程度だと思うが足が止まる。


 喉が渇いて渇いて仕方がなかった。モンスターはこちらに向かってる様子はないが近くに水辺があるのかさえわからない未開の場所だった。


 ただ、植え付けられた死という恐怖心はなおも働き続け、歩き続ける。

 歩いて歩いて…そうして、力尽きその場で倒れ意識を失うのだった。


 その時見たのは優しい夢だった。トトとカカが笑い、集落みんながこちらを見て笑っていた。皆笑顔でおめでとうおめでとう!と祝福され、隣には…隣には…


 目が覚める。

 暖かい空気に晒されここが先ほど倒れた場所ではないことを気付く。

 そこにはヒューマン種と思われる男性がおり顔を見て驚いた。

 夢に出てきた男の人だった。

 トトにヒューマンは我々獣人を捕まえて売り飛ばすような悪い奴もいるから気をつけろよと言われたことを思い出しすぐ警戒体制に入る。


 威嚇の鳴き声を出し相手を怯ませようとするも怯えるような様子もない。


「おい、どーした?」と言われたが変わらず警戒してると面倒臭そうな顔をしてスープ作ってるから飲めと言った。

 毒がと思ったがすぐに一口飲んでくれたので悪いものではないとわかった。


 なおも威嚇を続けていたが寝始めたのでスープに近づく、飲むと美味しくはなかったが優しい味がした。

 お腹が空いていたのもあり全て平らげ身体が温まる。


 そうすると強烈な眠気に襲われ前後不覚に陥りそうになる。

 横になるも気持ち肌寒く震えると目の前のヒューマン種の胸元が空いているのがわかった。


 トトが寂しいとき抱きしめてくれたなと思い潜り込むとグッと引き寄せられ抱きしめてくれた。


 そうしてあたしの長い長い1日は終わりを告げたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ