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異世界はバーゲンブルグから・・・  作者: J.Plum
第一章
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能力付与

 謁見室に残された俺らはひと心地つき、一時待たされたあと部屋の移動を促され応接室のような場所に移動した。


「なぁごんぞう、これって現実だよな?」


 ごんぞうはニヤニヤしながら「じゃ一発ぶん殴ってやろうか?」


「なんだよそれ。嫌に決まってんじゃん」


「現実だろ、それより見た目外人なのになんで日本語喋ってるんだろうな。何かしら翻訳出来る能力とかあるんかな?」

 とたわいもない話をしながら周りを見渡す。


 店長はアセアセしているもののカナが近くでヤイヤイ言って話をしている。

 綾は姿勢も正しくジッと考え込んでおり、状況把握に忙しいようだ。

 琢磨先輩は入り口付近を真面目な顔で見てるから、この人こんな顔できるんだなと思い見てる方向を見ると、入り口にはやたら胸のデカいメイドさんが居てそっちを見ていたようだ。この人ブレないなと考えていると扉がノックされ、ヒョロヒョロとした宰相さんとヒゲのお爺さんが入室してきた。


「大変お待たせして申し訳ない。突然のことで申し訳ないがもう少々お時間いただくがかまわないだろうか?」

 外を見ると夜の帳が下りており転移してから約1時間半くらいかと思った。

 宰相と言われているこの人は声が甲高いせいもあるが、偉そうな話ぶりの割にやたら目が泳いでおり本当大丈夫か不安に感じる。


「私はこのバーゲンブルグ国宰相のバーゲンブルグ・マクスウェルと言う。以後お見知り置きを」


 と頭を軽く下げながら言われたので軽く頭を下げる。


「バーゲンブルグ・ハルクじゃ」とお爺さんは言う。


 ぶっきらぼうな爺さんだなと思いつつ宰相さんに耳を傾ける。


「宿泊できる各部屋は用意したため説明を終えたら各人ごゆるりと休まれるが良い。さて、我が国のちいと?といったか?能力は自身の名前に宿るものでありその者の生きてきた内容により差異が生まれると言われている。これから儀を行うがお主らは牛角屋からきたと言うことで良いか?」


 はい、そうですと店長は答える。


「それと胸元のプレートはそれぞれの名前か何かなのか?」


「あーこれは名札といいましてその人を表す名前となります」


 店長はそう伝えると宰相は周囲をぐるりと眺めハルクお爺さんに向きうなずく。


「では早速だが能力付与の魔術をかける。ハルク頼む」


 そして詠唱が始まった。詠唱は何語かはわからない言葉となっており、翻訳機能は果たさないようだ。

 3分ほど経過すると各人の足元が光始め温かい空気と共に足元から膝、お腹、胸、頭と順に光りを放ち始めた。1分ほど光っていただろうか最後に気持ち強めに光ったと思いきや内側に留まるように光が消えた。


 ハルクお爺さんの終了じゃの声を聞き宰相がカードを取り出す。


「さて、次にこのカードを手に持ってくれ」

 このカードは名前やスキルといった内容を記すことができる魔道具となるようだ。ステータスカードみたいなものかと思い白紙のカードを皆に配る。


 ハルクお爺さんは改めてごにょごにょと詠唱を開始した思うとカードにうっすらと文字が浮かんでくる。


 が、何書いてるかまったくわからない。これ何語?韓国語っぽい気がするのだが…


「おいおい何書いてるかわからねーよ」琢磨先輩が機嫌悪く話をする。


「あれっ?解読の魔術かけてないの?」と宰相がいい


「ハルクは言われてないからかけてない」「はやくかけなさい」と言った流れがありハルクお爺さんは宰相を凄い目で睨んだ後ごにょごにょと詠唱を開始した。


 1分も経たず詠唱が終わりカードを見ると確かに日本語になっているのが確認取れた。


 皆のカードを見ると


 牛角屋 たける

 牛角屋 ごんぞう

 牛角屋 かなっぺ

 牛角屋 あや

 牛角屋 ブライアン

 牛角屋 てんちょう


 えっ全然違うんだけど…全員牛角屋ってついてるし、みんなひらがなとかだけど、どゆこと?


「おいおいブライアンってなんだよ!俺名前琢磨なんだけど??」

「俺も宗一郎だな」

「佳奈なのに<ッペ>ってついてる!」


 宰相が酷く困惑しながら


「我が国では所属している場所がファーストネームに当たるんだが」


 あっ文化全然違うわ…

 確かにこの人たち王様と同じファーストネームだったわ。息子かと思いきや職員も同じになるのか。


「名前もプレートに書いてあるというからその名前をいれたのだが…」

 確かに見るとみんな名札には書いてある。かなっぺもブライアンも。店長が1番酷いけど名札にはてんちょうと書いてある。


 たしかバイト初日に言われたな。お客さんに見られるからなんて呼ばれたいかで名前で書けと。特段呼ばれたい名前とかなかったからそのままひらがなで書いたけど、真面目に書いといて本当に良かった。これに関しては調子に乗って適当な名前書くのが悪いとは思うが、結構重要そうなことなんだから言わないとダメでしょと思ったが琢磨先輩が宰相に噛みつく。


 琢磨先輩、いやここは敢えてブライアンと言っとこう。宰相はブライアンに詰められて変な汗をかいている。そもそもこの宰相とやら謁見のときも皆目見当もつかないしか言ってなかったし…頭良すぎてバカになっているタイプなんじゃないかなと思っていた。


「能力はファーストネームは関係ないから。名前だけ!名前だけだから!」


 ガックガクされながら答えるも「だから名前全然違うんだよ、どうすんだ!!やり直せ!」と言う。

 ハルクお爺さんは「やり直しなんか出来るわけないだろう。そんな簡単にやり直せるならわしはここには呼ばれないだろ」


 それを聞き


「おいおいおいおいおいっ!どうすんだ!どうすんだ!!」


 宰相の首取れちゃう、首がえらいことになってる、もげるもげる!


 止めにかかろうかと立ったときふと、あれ店長はと振り返ると大人しく座っている店長がいた。

 大人の余裕だなと思いきやよく見るとあれ気を失ってるわ。


「そもそも名札と言ってるのに自分の名前書かないのが悪いのでは」と宰相は正論をいう。


「それはあれだよ、ノリっていうか…なぁ?」


 お客さんにブライアンって呼ばれたことあるのかなぁとか考えていると騒ぎを聞きつけた騎士達がブライアンを連行する。やいのやいの言いながら出ていきしばしの静寂が訪れる。


 この空気どうしようと思ったが、

「ゲホッ、ゲホッ・・・色々とあったが先ほど渡したカードの裏には能力が記載してある。よく確認して質問があれば聞いてくれ」

 と促されカードをペラリと捲ってみることとなった。


続きます。

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