叙勲式典
外では二の鐘が鳴り響いている。
死神の鎌の音のように聞こえてしまうのは罪悪感からか俺らは今日この国の貴族らの前に立つこととなる。
今日のプログラムは以下の流れで実施していく。
まずは叙勲、ドラゴンスレイヤーの誕生を祝う催しだ。次に我々召喚組を歓迎するセレモニーが開かれ、最後に昼食会となる。
昼食会では店長が作った王城料理が振る舞われることもなっている。挨拶などはこの昼食会で実施されることとなる。
最初は夜の晩餐会をしようと思ったが、昼食会のほうがいっぱい食べれるのではとの意見もあり昼食会となったようだ。確かに食事メインって言ってたもんね。
ザワザワとした会場で各々が喋り喧騒とした雰囲気となっているが、王様で登壇したと共に全ての人が跪き頭を下げ、そこには静かさのみ残る不思議な空間となった。
「皆のもの表を上げなさい」その一言で跪いた貴族たちは立ち上がり胸に手を当て王様で見上げる。
「この良き日に集まってくれたことを感謝する。本日はこの国に生まれた新たなる英雄!ドラゴンスレイヤーに対し行われるものである。早速ではあるが登場していただこう。皆のもの拍手で迎えること!」
扉がバァーン!と開かれ見ると両サイドにはこの国に仕える貴族が列をなす。全ての人が拍手をしており、宰相に前にどうぞと言われ歩き出す。
マジで?貴族こんなにいるの??ヤバいじゃん…
「こちらは今回ドラゴンの討伐を成し得た英雄!牛角屋たける殿と牛角屋ごんぞう殿である!」
と言ったと同時に大きな拍手が起こるが、そういえば俺ら牛角屋ってついてたんだっけと苦笑いすることとなった。
「経緯を話ししよう」
ここからは王様による今回の経緯の説明(報告内容)となるが、途中途中でげぇ〜や待ってくれなど言いたい気持ちにはなったが我慢に我慢を重ねた男の記録となる。
「今回、討伐隊として任命されたたける殿とごんぞう殿だが、ベリル村に住む住民からの要望を受け自ら志願し危険であるという山間の地まで向かった。
道なき道を進み、被害のあった場所を眺め「もう少し早くきていればこんなことにはならなかった」と涙を流した。
被害にあった住民を尊みを見せる素晴らしき人物である。
周囲を警戒し五感のみに頼らず第六感まで使用し、警戒する様はまさに勇者と思しき行動であった。
突然の襲撃にも仲間の被害が出ないよう上だと発言した後自ら飛び出しドラゴンとの遭遇を果たす。
そこでは「私たちの愛すべき国民のためにも我が剣の錆にしてくれる!」と叫び、戦いの火花は切って落とされた。
ドラゴンが出してくる薙ぎ払いにも決して逃げることはせず、ごんぞう殿に至っては「俺の筋肉が唸りを上げているぜ」と発言し、真っ向勝負で対していた。
同行した騎士は逃げろと発言するも、「ここで戦わないでいつ戦うんだ!!」と言い剣を薙ぎ払う。
1時間にも満たない時間、ドラゴンと互角の戦いを見せるが、ちょっとした隙をつかれたごんぞう殿はドラゴンに盾ごと押さえつけられてしまう。
「ごんぞう逃げろ」と発言するも「この国の人々が苦しんでいるのに逃げる選択肢などない!」と言い、盾でドラゴンを押し返すことになった。
戦局は段々とこちらに向き始め、ドラゴンがよろめいた隙をたける殿は見逃さなかった。
「これで終わりだ!ドラゴンストラッシュ!」の掛け声と共に首を跳ね飛ばした。
だがモンスターも流石ではあるが、首を刎ね飛ばされても動きは止めずごんぞう殿を跳ね飛ばし、助けにいったたける殿と共に崖下へ落ちそうになり縁に捕まるたける殿。片手には満身創痍のごんぞう殿を抱え騎士が駆け寄る。
「あぁ、これで国民が助かるのなら本望だ。ありがとう…」と告げ、谷底へと消えていった・・・」
うん。騎士さん殺そう。
みな泣いている。跪き泣いているものすら見受けられる。
遠くをみると騎士さんも泣いてる、なんでだよ!
「このこの国を想い、そして生還した英雄に今回ドラゴンスレイヤーの栄誉を与えようと思うがいかがだろうか!!」と発言すると割れんばかりの拍手と声援が起こる。
もうね、どうにでもなれだ…
ドラゴンストラッシュ?言った言った。
俺の筋肉が唸りを上げる?聞いたよ、言ってたよ。
「あ、ありがたき…幸せ…」と胸に記されるドラゴンスレイヤーの証、2人の胸に光るドラゴンスレイヤーの証。
苦笑いが過ぎ続けるとそこに残るのは笑顔なんだなと思い勲章を受け取った。
「更にこの者たちの行動に私は報いたい!この国を想い、この国のために動くその心に対して叙爵として男爵に任命しようと思うがどうだろうか?!」と言うと更に大きな拍手と声援が起こる。
えっ、男爵??俺ら男爵になるの??
「ありがとう!君たちと会えて本当に良かった。そしてありがとう!生きていてくれて本当に、本当にありがとう!」
「ドウイタシマシテ…」
これにて授与式を終了する!引き続き召喚者への歓迎会を実施するゆえ所定の位置にて待つように。
と言われ宰相にこちらにと案内され会場を退場する。
廊下に出て扉を閉めた途端、膝から崩れ落ちるのだった。




