日常回
翌朝、食堂に行くと皆座っており俺らを待っていたようだ。
席に着くと食事が並べられる。いつもより少し量が多い朝食だ。
この子可愛いーーっ!とカナがビビに抱き付くとビビは驚いて逃げようとする。
「この子はなんなの?」と聞かれたので紹介する。
「ビビだ。途中で知り合い共に旅していたんだ」
「へぇーこの子獣人?」
「そうだな、ビビは狼なのかな?犬ではないと思う」耳を触るとピコピコ動くのが面白いようで何度も触って嫌がられている。
「喋らないの?」
「喋れるけど緊張してるんだろう」というと自己紹介をする。
「あたしはカナです」「アヤです。お名前は?」
「…ビビです」
「キャーーッ可愛い!ですっ子だ!何歳ですか?」
「…14歳です」「結構大きいのね〜」「えっ?ビビ14歳なの?」
「タケルなんであんた知らないのよ」
「だって、身体は小さくて…えっ?!14歳?!」
「どこ見てんのよ馬鹿!変態は置いといて一緒にご飯食べよう!」とビビにあげてはキャイキャイ言っている。
ごんぞうは「この国では15歳で成人らしいからあと1年待てばいいな」
というもんで「メルシーさんはいい歳だからちょうどいいな」と返すと2人とも照れて顔を下に向けるのだった。
食事もそろそろ終わりとなりそうな頃、バーンッと扉を開けると宰相さんが入室してきた。
「失礼、今よろしいかな?」「はい、ご心配お掛けしました」と言うとうんうんとされ、
生きてて何よりだと言われた。
「女性陣には伝わっているが、前から話をしていた夜会が明日となる。お二人は準備をするように。
その際、今回の功績が認められて叙勲を受けることとなったので、式典ではよろしく頼む」
「叙勲明日なの?早くない?」
「これは王が近年では見ることがなかったドラゴンスレイヤーを国を上げて祝い、そして貴族達に周知するために行なわれるものである。心して受け取るように!」
話をすると宰相は食堂から退室する。
「なんか遠い場所にいっちゃう感じよねタケルは!」
「そうね、と言ってもやっぱり危なかったのは事実よね。うん、私達行ってたら死んでたかもね」
「さて、今日は流石に訓練は休もうと思う」
「何言ってんの?明日の準備でそれどころではないみたいよ。だから昨日から訓練はお休みなの」
「そっか・・・流石に俺らは疲れたから休むことにするよ」
「あのさ、ワイバーンってドラゴンの戦いは聞いたけど、その後について教えてよ!」
「聞くか?長くなるぞ?」「聞きたい聞きたい!」と言うことで斜面滑走やグッネスの街の話、ビビとの出会いなどを話しし時間を過ごした。
途中で女性ならこうゆう準備した方良いとかも交えて話ししたため午前中は過ぎていくのだった。
昼食を食べ午後になる。
食堂を出る時にカナが「そういえば明日ビビちゃんはドレス着ないの?」と言った。
「あっドレス無いじゃん!」「なーにしてんの?!早く言わないと」と仕立て屋さんのいる場所に連れて行く。
「すいませーん」と言うとはいはいと仕立て屋のおばさんが出てくる。
この子のドレスがないので明日の夜会に出れないというとビビはあらあらまぁまぁとアヤとカナに奥へ連れ込まれそうになる。
ビビは泣き面だがついて行こうとすると、男性はダメだから!と言われ追い出された。
なんなのよもう。
部屋に帰りベットに横になる。
思いがけず勲章を貰うことになった。アガガって言ってただけなんだがな…
これも縁だと思って受けるしかないよな、と考えていた。
なんか静かだな、ビビが居ない日は最近はなかったからな。
ビビがいないと寂しい、寂しくて枕を抱きしめたくなる。あービビどこにいったんだビビ!
「言わねーよ。なんだよごんぞう、俺の考えみたいに言うなし」
「そんなこと思ってんじゃないかなとな」「思ってねーわ!」
「とりあえず、お疲れな。思い返しても斜面滑走凄かったな!」
「なっ!九死に一生を得るとはこのことだと思う。ぶっつけ本番の滑走だったからな」
「うまく行ったのはタケルのおかげだな」
「いやごんぞうが右手犠牲にしてまでバランス取ってくれたからだから」と言って2人は笑った。
「これからも頼むぜ相棒!」「任された相棒!」といって笑い合うのだった。
ごんぞうが出て行き明日のタキシードを着てみる。
きっちりしており別に測った訳ではないのにピッタリで驚いた。蝶ネクタイではなかったのが唯一の救いだな。とすぐ脱いでハンガーに掛けておく。
再度ベットへ行くとうつらうつらと夢の世界へと旅立って行くのだった・・・
ハッと目を覚まし時計を探す。額に手を乗せ上方を探すが見つからず目を開けるといつもと変わらない天井だった。
あー…そうだよな。何してんだ俺と苦笑いし外を眺めると外はオレンジ色の空を描き出してきていた。
体感2時間くらい寝ちゃったか…
なんか静かだったからな…ビビがいないと本当に静か…
ビビはどこだ?とまだ帰宅してないのを確認する。
まだ着せ替え人形にされてんじゃないかと思い身体を起こす。机近くに置いた水分を補給しビビの迎えに行くことにした。
仕立て屋さんのいる部屋は俺らが滞在している部屋から程近いのですぐ着くことができた。
すみませんと声を出すと先ほどのおばさんが出てくるがもう帰ったと言った。
どこにいったかもわからず食堂に顔を出しても居ないので厨房に頭をのぞかせる。
「店長居ます?アヤとカナ見ませんでした?」と覗き込んだ瞬間バッと離れる2人。
「な、な、何かな?!」ターニャと店長だ。
ヤバっ完全に見ちゃダメなやつじゃん!
「いや…アヤとカナ見ませんでしたか?」
「見てないよ。ずっと厨房にいたからね」
「ですよね、ありがとうございました」
「はいよ。あっタケル君無事で良かったね!」
はいと伝えて移動する。悪いことしちゃったなと思い食堂から離れるのだった。
思い当たる場所もなく部屋に帰ったが帰ってきておらず、後は各個人部屋だなと思い廊下に出るとアヤとカナ、ビビがちょうどアヤの部屋から出て来るところだった。
「あったけるです」と言うとパタパタと足を鳴らしてこちらに走ってきた!
「ただいまです!」と胸に飛び込んできたので抱きしめてやり、おかえりと伝えたところ笑顔で答えてくれたのだった。
「タケルさん、とりあえずドレスは何とかしたから、おそらく今日中には届くと思います。
確認した方が良いのがそもそも獣人である彼女が参加しても大丈夫かと言うのとエスコートをどうするかね」
確かにこの世界に召喚されビビは初めての獣人だ。もしかしたら迫害とかされていたら参加は出来ないと思うがあの王様は良いとしか言わなそうだもんだ。
宰相さんあたりに聞いてみよう。あと、勝手なイメージだけど入り口で名前から呼ばれて男女で入るって感じなのだろうか。当日どんな感じになるかも併せて聞きたいな。
「タケルさ、ビビちゃんと一緒に寝てるんだって?もう彼女も14歳なんだから一緒に寝るのはまずいよ」と言うとビビはビクッとなりこちらを向いてくる。
「流石に思ってたより歳が近いからまぁ仕方ないよな」
「そうだよ。男女の関係になったらどうすんの??」と言われた瞬間宿屋での情事を思い出してしまい動揺してしまった。
「えっ何そのリアクション?まさか…もうヤってん…」
「何言ってんだ!ヤるわけないだろ!ビビはまだ子供だぞ!」
ガーン…!
変なリアクション取るのやめてよ。勘違いするんだからさ。
と言うことで「よく話して!部屋分けるなら私のとこで面倒見てもいいから」というと皆部屋に帰っていった。
ビビと部屋に入りどうだったか聞く。
服を取っ替え引っ替え着替えさせられドレスを選んだ。タケルの勲章を貰うとこを見たいと言うので是非参加出来るようにしないとな。
「ビビ、カナが言ってたことだけど」と聞くと下を向いた。確かに14歳の女の子と聞くとまずい気がするってのも理解は出来る。
そう言うと無言ではあるが下を向き涙を我慢しているようだ。
「ビビがいないさっきの時間、俺寂しかったからさ、もうちょっと一緒に寝てくれると嬉しいんだ」と言うと一度笑顔でこちらを見るが再度下を向き話し出す。
「でも、タケルは迷惑ではないです?種族が違う女の子と寝てるとか言われないです?」
「何言ってんだ、他人に何て言われようと気になんかしねぇよ。そんなこと気を使うな」
笑顔でそう伝えるとパタパタと寄ってきて胸に飛び込んでくる。
ゆっくりと頭を撫で「大丈夫だよ。一緒にいるから」と言うとグスグス言いながら泣き始めたので頭を撫で続け落ち着くまでゆったりとした時間を過ごしたのであった。
ドンドンっとノックされごんぞうが飯行くぞと声掛けてきたので一緒に食堂に向かう。
ビビのこと参加させたい許可を取らないといけないことを話しながら歩き食堂に入るとアヤとカナは着座していた。
今日の夕食は俺らに取って重要な大きな変化があった。結論から言えば、米だ!
出てきたのはカツ丼風のカツ煮だった。
オークカツ煮ってやつかな?玉ねぎみたいなクワクワと玉子でとじたカツ煮だったので美味しそう!となったが、
「こうゆうの見ると是非米の上に乗っけて食べたいよな〜」
「だな〜いただきま…んっ?」ごんぞうが止まったので見ると手が震えている?
「食ってみろ!…食ってみろーーーっ!」と言われたので、オークカツ丼と向き合い一口パクリと口に入れる。
カツの程よい硬さが心地良い。サクリとは違ったシナっとした食感が食欲を増大させる。
が、食したカツの下には煮汁の染み込み少し色の変わったご飯があった!
「おおい、おいおいおい!ご飯だ!これご飯じゃん!」
「うそ?!マジだ!ご飯だ!完全にご飯だ!」
そこからはひゃっほう!とばかりに食堂を走り回り表現し足りず、何故か万歳三唱し喜んだがビビにご飯食べてる時歩き回ったらダメだとカカに言われたと言われ、冷静になると恥ずかしと思い席に座り大人しく食べたのだった。
厨房から店長が出てくる。
「どうだい、久々のカツ丼は?」と言われるもビビに怒られた後であったため、返事するものもなく、「あれ、ダメだったかな…喜ぶかなと思ったんだけど…」としょんぼりとした。
「ごめん店長、こうゆうの出す時店長持ってきて。喜んでる姿を見せたいのにその件終わってしまった」
「はぁ、すまないね、なんか…」
「違うんです!めちゃくちゃ美味いです!久々の味で…」
「そうゆうの良いから…みんな喜ぶと思ったんだけどな…」
「だから喜んでいるんですって!」
「そうだよね、口ではなんとでも言えるよね…はぁ…」
「もう違うんですって!!」とヤイヤイ言いながら食事を終えた。
「店長、米はどーしたんですか?」
「米はね、この前味噌をおろしてくれた行商人が味噌を持ってきたんだけど、こんなのどうと見せてきたんだよ。
料理長はこんな虫みたいな食べもん食い物じゃねぇ!調子に乗ってると叩っ切るぞ!とか言ってるから気になって見に行ったんだよ。
すると脱穀する前の米だったんだよ。頭を下げてお願いして買って貰ったんだけど、料理長は納得いかなかったみたいなんだよね。
すぐにも脱穀して精米して最後に鍋でご飯を炊いて渡したらこれは美味いと大絶賛で米を買い占めていたよ。
なんかこの前と同じことしてない?味噌の時もそうだったけど…
「醤油はあったんですか?あたし昔作った時は醤油使った気がする」
「醤油は流石になかったんだけどね、味噌って発酵すると上に黒い水が浮いて来るんだよ。上澄っていうのかな?それの味って醤油そっくりなんだよ。
材料はほぼ同じだからまぁ間違いないんだけどさ。だからそれを使って今回のカツ丼に至ったんだ」
なんか店長万能だな、めっちゃ料理無双してるじゃん。
「今度からは定期的に米と味噌と大豆を仕入れるようにしたからさ、味噌や醤油作ったら売っても良いし空いた時間にやってみようかなとね。王城印の黄金醤油みたいな。まぁターニャがずっと言ってるんだけどさ。王城印の〜って」
少し照れた顔で話す店長は俺らの召喚と比べると地味かもしれない。でも一番皆を幸せにするのは彼なんだろうなと感じるひとときであった。
ごんぞうが「店長、味噌おにぎり食べたい。焼かなくていいから」あいよと店長は厨房に戻りごんぞうだけ食堂に残し退室するのだった。
アヤとカナはこの後明日の対策でメイドさんらにマッサージを受けることになっているらしい。
俺とビビは明日のパーティに出れるように策を巡らせ騎士さんの元を訪れた。
「これはたける殿、こんな時間にどうなされた?まさか…この時間に何か?」
「いやね、この子この前もいたんだけど…」
「ビビ殿ですな?」
「そうです。この子パーティ出てもいいんですかね」
「いやいや王城のパーティですよ?そんな人を追加するなど出来るわけがないだろう」
「そこを何とか出来ないですかね」
「それは出来ん。流石の私も騎士として守らねばならないことがある。王様もいるにも関わらずそんな獣人を追加するなど聞いたことが…」
「明日無事終わると良いですね、式典」
「んっ?どうゆうことか?」
「いやね、俺らじゃなく騎士さんとハルク爺さんの式典がちゃんと終わるといいなぁと思っていただけですよ」
「えっ?そんな…どうゆうことだ?」
「いや考えたんですよ。叙勲受けるのは受けますよ。でも本当のことを言っちゃいけないわけではないと思うんですよね。俺らは何も言ってないし、要は被害者じゃないですか?嘘つくようにお願いしたわけでもないし。ぶっちゃけ貰ったその場で俺ら倒してないですよと王様に伝えれば罪が問われることも…」
「ビビ殿もたける殿の叙勲見たいのではないか?仕方ないな、私の力を全て使ってでも会場に入れ込んでみせる!任せるといい!私に任せとけばなんの問題もない。だから何卒、何卒ーーーーっ!!」
「近い近い近いっ!わかりましたから!わかりました!」
「ただビビ殿を入れ込みますが共に入ることは叶いませぬ故そこだけはご勘弁を!」
聞くと横にある扉から入れ込む、叙勲の時は後ろは誰も気にしてないだろうから問題ないが、パーティの時は皆の目に晒される。
獣人の参加者はいないわけではないが、シェパード男爵くらいだと思うので出来るだけ一緒にいてあげてほしいと言われた。
了承の旨を伝え離れたが俺が言うのも何だけど嘘が嘘を呼ぶとはこうゆうことでこうやって広がっていくんだな。気をつけようと改めて思ったことでした。
夜、カナがビビを迎えにきたが断った。
慣れるまではと伝えたがカナも誰かと寝たかったようで渋々ながら了承して帰っていった。
最後にビビちゃん羨ましい…私も一緒に寝たいのに…とボソボソと言っていたがタケルの耳には届かなかった。そうして夜は過ぎていくのだった。




