集落
陽の光が差し込み始めゆっくりと覚醒していく。
3時間くらいは寝れたのかなと目を覚ますと目の前にピョコンと立った耳があった。気付くと服の内側に入り込んで寝てる。
まぁ火は焚いているとはいえ寒かったからなと考え起こす。
「おい、おい、起きろ、朝だぞ!」
軽く揺するとむにゃむにゃ言いながら目を擦って起き上がる。
「スープは…そうか、ちゃんと飲んだのか。良かったよ」
笑顔でそう伝えるとどうやら意識がはっきりとしてきたため、バッと離れてまたシャーシャー言い始めた。
あーめんどくさくなったと無視して朝の用意を始める。
ごんぞうに水魔術で水を出してもらい顔を洗ったり、口を潤したりする。
シャーシャーいってるが、顔拭いてやるから来いと言うと近づいてきて拭かせて、また離れてシャーシャー言い始める。
ずっと無視していると構われなく寂しくなったのか威嚇をやめて近くに寄ってくる。
「名前はなんていうんだ?」と聞くと少し考え込んで「ビビです」と答えた。
「そっか、おれはタケル、そっちのはごんぞうだ。スープどーだった?」
「……………普通………です」
まぁ水と肉だけだもんな。香辛料でもあれば味がしっかりとしてくるんだがな。
「この近くの集落の子か?どこからきた?」
と言うと真っ赤な顔でフンフンと怒り始める。
「なんであそこにいたのかは知らんけど一人歩きには年が早いんじゃねーか?家の人心配するから帰らないとダメだぞ」と言うと目を逸らし駆け出していった。
「寝足りねーよー、身体いてーっ…」ノソリノソリとごんぞうが起きてくる。
「朝飯用で作ってたスープ全部食われちまった。すまん。」
「いやいいよ別に、今日にいっぱい狩ってご馳走だな」とガハハと笑った。
「あの子は?」
「出て行ったよ。ビビという名前らしい」
「そうか、小さいから両親も心配してんだろ、仕方ねーよ。人族は里に入れちゃいけません!みたいな感じかもしれないしな」
「あまり言いたくないが一応盗まれてるものねーか調べとけよ。手ぶらだったから多分大丈夫だけどな」
そして寝所を綺麗にして出発することとなった。
ここからは森に入っていく。
モンスターもいっぱい出るだろうから慎重に動かなければならない。なんとか騎士さん達と合流できれば…と考えたとこで、そもそも彼らは生きているのかと考えた。
自分らのことで手がいっぱいだった、彼らも亡くなってる可能性もあるんだ。怖いから動きたくなくなるが気持ちを整えてから出発する。
黙々と会話もなく2人は歩く。
気になるのが遠く、いやそこの茂みの陰だな、から突然くしゃみが聞こえてくることと「アワワワワッです」って聞こえてくることくらいか…
幸いモンスターは弱いのしかいないし、まぁ大丈夫だろ。もし助け呼ばれたら行けば良いかなと少し大きく森を切り開きながらに歩いていく。
昼は果物を見つけた。木に生えていて中身も問題なさそうだったので2つずつ計4つ取った。
ただ近くの草の陰からジュルルと聞こえたので、1個そちらにポーンと投げることにした。
「イタッです」と言った声とかぶりつく声が聞こえたので良かったなと思い歩き続ける。
歩いているとうさぎと猪がいたので捕まえて肉にした。今日の夕飯だなと笑っていたが猪の解体はちょっと気持ち悪かった。
森を彷徨うこと5.6時間くらいだとは思うが、集落に到着した。
見つけた瞬間、草むらからビビが飛び出し走っていった。
しかし随分とボロボロだなと思いつつ目についた家の扉をノックしたり、中を覗き込むも人の気配がない。
そうすると一番奥の小屋の前でビビが泣いているのがわかった。
ごんぞうは他を見にいくといったので俺はビビの元に向かう。
近づくとビビの手の上には手首から上の手があった。
ハッと思い「何してる!?」と言いその手を取るとビビはあーんあーんっと泣きじゃくる。
肩に手を置き「どうした?!何があった?!」と聞くも泣きじゃくる子供のことはわからない…
ほっておくわけにもわけにもいかず隣で座って泣き止むのを待つことにした。
20分ほど経つとクスン、クスンと泣き声が治ってきており、黙っているとビビが話し始めた。
「トト殺されたです…カカもいないです…村の人達みんな…いないです…」
そうか…。なんか事情あるんだろうなとは思っていたが想像以上に重かった…
さっきのはゴツゴツしている手だったのでおそらくこの子の親父さんの手だろう。
グッと泣くのを堪えている姿を見ると辛くなり気が付くとバッと抱きしめてしまっていた。
そこからは再度堪えきれなくなったのだろうか、あーんあーんっと泣き始めその間ずっと強く強く抱きしめていた。
グスグスと言い始めて少しするとスースーと寝始めたのを確認して抱き抱える。
集落に入ってきた方向に向かうとごんぞうと合流できた。
「ちょっときちーな。あっちに何体か死体があった。食い散らかされてるやつ。俺の精神耐性あってもくるもんがあったわ」
「そうか…ビビも両親共にいないらしい。親父さんの手があった」
「マジかよ…見ちゃったんか?」
「この子が見つけた…しまったなぁ…子供に絶対見せちゃいけないやつじゃん」
「そーだな…」
「泣くだけ泣いて寝ちゃったよ」
「今は寝させてやろうぜ、疲れてるだろうしな」
2人はその後黙って家を巡り被害の少ない家を見つけベットにビビを寝かせる。その家の厨房には多少の塩や胡椒などがあり申し訳ないといただくこととなった。
夜になり周りの家を周り食料になりそうなものやバックなど借りられるならと探したところ地図を見つけた。大雑把な地図であったもののバーゲンブルグ国も載っていたため拝借しておいた。
ベースとなった家に戻ってきたがビビはまだ寝ていてときおり苦しそうな顔を浮かべている。
起きたら食べれるようにと夕食を作り始める。昼間取ったうさぎと猪を使った料理だ。
猪は油が乗ってそうなのでそのままステーキに。うさぎ肉は残っていたじゃがいものような野菜とクワクワと言われる玉ねぎみたいなものでポトフのようなものにする。まだまだ起きないが俺らもお腹が限界であったため先にいただくことにした。
「うまぁ〜!何この猪肉…うまぁ〜!!塩だけなのに…」ちょっと表現がアホになってるがそんくらい美味しい肉だった。
ポトフについても煮込んだけのことはあり色合いは別として美味しかった。男の料理に色合いは不要だぜ。
と久々のしっかりとしたご飯に舌鼓を打ち食べ終わり少ししてからごんぞうが話出す。
「問題はビビをどうするかだな」
「バーゲンブルグまで同行させて孤児院に預けるのが1番じゃないかと思う」そう伝えるとごんぞうは目を見開いた。
「いいのかよそれで。拾ってきたのはタケルだろ!」
「仕方ないじゃないか!じゃ何か?死にそうになってるのを見捨てろっていうのか!?俺ら2人で精一杯なのに一緒に行動できるのか?守ってやれるのか?」
「そんなのやってみなきゃわからねーだろ。あの谷底滑走だってやってみたからできたんじゃねーか!」
「そんな行き当たりばったりじゃだめだから言ってんだ。俺だってあの姿を見たら連れて行きたい。でも、守り切れる自信もないんだよ…
だから仕方ないと…そう・・・思うんだ…」
「あのな〜俺は馬鹿だからわかんねーけどお前はもっと自分を信じてもいいんじゃないか?何に躊躇してるかわかんねーけど今でも立派に色々やってんじゃねーか。
そして俺はお前を信じてるんだ。お前は守れるし見捨てねーよ」
なんも言えなかった。言い返せなかった。
ひとときの間会話もなく無言の時間が続く。
「まぁ結局は本人次第だな!」とごんぞうが言って話は終えた。
深夜になると寒さが一段と厳しくなる。
そんなときビビがうなされ始めるごんぞうは寝ていて気付かない。
「大丈夫か?ビビ、ビビっ!」小さな声でトト、カカと言っている。
抱きしめてあげて落ち着くまで「大丈夫だ、大丈夫だ」と伝えながら頭を撫でる。
閉じている目から一本涙が落ち、またスースーと寝始めたの見て安心することができた。
ごんぞうがボソッと言う。
「ほれ、もう変わり勤めてきてるじゃねーか。大丈夫なんとかなるよ」
それを聞き俺はビビをより一層強く抱きしめるのだった。
登場しましたケモミミ少女はビビちゃんです。
さてどのようになっていくんですかね・・・




