少女との出会い
まずは周囲の状況確認をしよう。
谷底で岩場であり、正直あまり生物が住んでいるような場所ではない。
次にあまり植物も生えておらず環境はあまり良くないのだろう。
気温は寒い、高度が低いせいか陽の光もあまり当たらない。
あんだけの滑走を見せたが時間とすると30分かからないだろう。
つまり時間は約2時位のはず。後に2.3時間は陽が落ちないのでまだ明るいうちに野営できる場所を探さなければならない。
次に身体だ。
俺は最後の方にした変な姿勢での剣のせいで若干左腕が痛む、ただ動かせないほどじゃないので問題ない。
荷物はほとんど無くなったな。カバンの紐に括り付けていた鍋とお守りくらいしか残ってなく中身は飛んでどこかにいってしまっていた。
次にごんぞうだ。回復薬を飲んでた関係で怪我一つしてな…と右手を見ると明らかに怪我をしている。
「ごんぞう、その右手は?」
「あーバランス取るために右手の斜面を手で抑えたりしてたからな。削れたんだろう」
手のひらを見ると裂傷が酷く、はやく治療してやらないと手遅れになる。
黙ってしやがってと思い感謝する。近くにあった木を使い固定する。折れてるかはわからないが動かすよりはいいだろう。
「とりあえずここにずっといてもしょうがないので動こうと思う。明るさが続くのが約2.3時間、その間に休めるベースを作らないと。俺は剣がもうないから魔術中心の戦いになる。ごんぞうは大剣を片手で振れそうか?」
「いや難しいな、大剣で防御するのが精一杯だろう」と盾のように大剣を持つ、左手が上で地面に刺して肩で抑える感じだ。
「わかった。俺の警戒を最大にしていくが精度が低い。周りに注意しながら慎重に行こう」
2人はノソノソと動き出す。
谷底は常時風が吹いている。モンスターは俺らの匂いに気付く可能性を考えると追い風方面で動いた方が良い。来るなら前からのほうが戦いやすい。
一歩一歩確実に歩を進め歩く。
案の定目の前に虫型のモンスターが現れるが、こいつは戦ったこともあるカマキリ型のやつだ。
シャキシャキいいながら近づくが首には骨がないので剣ならばすぐ倒せる。
ただ、剣はないのでアローで戦う。まず横長の鎌を振ってくるがごんぞうが受ける。膠着したらファイヤーアローを打ち貫通させ倒す。ここの流れでまずは一匹倒すに至った。
今回は魔石は取らない。
いつまで彷徨うかわからないので荷物は出来るだけ少ないほうがいいからだ。ごんぞうはうまく倒せたなとホッとした表情を見せる。
なんとかなりそうだと思い歩き出す。そこから何体か相手はしたが場所柄元々あまり捕食できる相手がいないためか多くはなかった。
1時間半ほど歩いたところ草木が増えてきて森に出る事ができた。
更に森の手前には人が複数人入る事ができそうな洞穴を見つけた。
すぐに入ろうとするごんぞうを諌め少し離れた岩場の陰からファイヤーボールを中に打ち込む。
3分ほど待ったが動きがないので洞穴に向かうと中には何もなかった。
「なんなんだよ突然撃たれると驚くだろ?」「いや熊とかのモンスターとか毒虫とかいたら嫌だろ?念のためだよ」といい中を確認すると全て燃やされ何も無くなった穴があった。
とりあえず今日はここで野営をしよう。動くのは明日になってからだ。と中に入り寝支度を整える。
5分ほどで終え薪を取りに行く。
周囲は森になっているからあるだろうと歩き始め木を拾い続ける。
道中うさぎ型モンスターがいたのでアローでスパッとした後血抜きした。今日はこれを食事にしようと持ち帰る。
ごんぞうは穴に戻るなり腕がいてぇと言い始めもう何もしない宣言をする。そう言われたら俺はなんもいえねぇよと薪を出して小さいファイヤーボールで火をつける。ジワジワと暖かさが広がっていく。
谷底で冷えた身体に暖かさが染み渡り幸せを感じていた。
ぐぅ〜とお腹が鳴る音がして見るとごんぞうが腹減ったぞと言っている。この野郎と思いつつうさぎを捌いて火に当てた。
良い頃合いになったら食べれるぞというと、んっと言って待つことにしたようだ。
さて、うさぎは切り分けは手で出来たからいいがこのままだと捌けないと思い近くにあった平たい石を削り包丁のように削った。一応切れるかなと近くにあった草を切ると、まぁ切れるなと納得することにした。
その内うさぎ肉が焼けてきただろうなって頃にごんぞうが起き出してきて食事となった。と言っても約1分程で食べ終わりごんぞうはそのまま寝ると言った。
念のため水が欲しいと言うとウォーターボールを鍋に撃ち貯めてくれる。俺はおやすみと伝えると火を焚べては軽い睡眠、焚べては睡眠と細かく睡眠を取ることでなんとか凌ごうとしていた。
あっ薪がもうないやと独り言を言うと近くに落ちている木を拾いに行く。
谷底側にもとテコテコ歩いて行きたまたま気になったので空を見上げると左右の真っ暗な闇の上に満点の星空があった。その光と闇のコントラストに綺麗だ…と呟き一時時間を忘れるほど感動を覚えた。
薪を探さないとと思い出し今度は森の方にと歩いていくとゆっくりだが足音のような踏みしめる音が聞こえる。
牛歩のように歩く音のため警戒モードにし腰を屈めて近くまで寄っていく。熊とかであれば逃げてしまわなければならない。
ドサっとした音が聞こえ足音がなくなったのを聞き草の陰からスッと覗くと頭の方にしなっと落ちた耳が見える。少し様子伺うも動く様子がないので落ちてる枝を拾って突いてみるも動きがなく死んでないこれとなる。
初めて見る犬のような耳をもった少女だ、小学生くらいなのかな。獣人ってやつだ。初めてみる獣人が死体とはいやなもんだと思ったら少し動いた。
「おい、大丈夫か??」聞くと聞き取り辛い声で発する
「水、水…」と言う。
なんとなく危険もなさそうだし喋れるのだったら穴に連れていくかと横抱きし連れていく。
火の近くに寄せ、貯めていた水を飲ませる。葉っぱで掬って口元へ、何度も何度も。
少し溢れたけど口移しよりはいいだろうと納得する。
腕とかさすってやり暖めてやるとだんだん血色が良くなってくる。
「おいなんだよその子?」
突然声を掛けられ驚くが「いやなんか倒れててさ、ほっとけねーじゃん」という。
「その子に聞けば近くの集落とかわかるかもしれないな」「そうだな。まぁちゃんと喋れればだがな」と伝え彼女の様子を伺った。
格好は薄着というわけではないが所々穴が空いてる。このままだと寒そうなので俺の上着を被せて暖めてやる。
鍋に残った水と夜に食べたうさぎ肉を使いスープを作ってやる。といっても調味料も何もないのでくず肉を茹でただけなので味もへったくれもない。
そこから2時間もした頃、突然目を覚ました少女はシャーっと鳴き始める。
「おい、どーした?」と伝えるも伝わらず警戒モード全開である。
話しかけてもシャーシャーしか言わないし、こっちが言うことを理解しないのでなんかめんどくさくなったので一方的に告げる。
「ここにスープつくってあるから自分で飲め、変なものは入ってない」
とひとすくい飲んでやる。
「俺は寝るから変な事するなよ。あと勝手に出てっていいから気をつける事。じゃおやすみ」といって横になる。
目を瞑ると未だシャーシャー言っているがその声を聞きながら微睡になる。そして朝まで過ごしたのだった。
やっとヒロイン出せました。
遭難するとどうなんでしょうね。こんな冷静でいられるもんなんですかね?




