討伐三日目
討伐隊を組んで3日目となる。
2日目は難なく終わることとなった。
昨日問題となったカナの回復魔術かけられたい事件については、俺が食堂で苦行を受けていた際と時間を同じくして騎士さんからお叱りを受けていたようで翌日からは通常の戦いぶりとなっている。
と言っても分かりづらくしているだけで避けれるのに避けなかったり、避けれるのに転んだフリをしたりと巧妙巧みな戦法によりカナが回復をかけることは多くあったらしい。
そんな中俺らは通常通り連携の確認をしていた。
「昨日のように横からモンスターが来るとダメージ通っちゃうな」
「バックラーで当ててやれば通らないだろ」
「ここは弱いモンスターだからなんとかなるが、流石に大きいモンスターが来ると怖いな。早々に斥候のような人と組めると助かるんだが…」
と、連携についてもだいぶ熟練度は上がっている。
アヤについても弓の精度がだいぶ高くなってきており、時折見つける動物を弓で狩っては王城の店長へ渡している。
魔術に関しても上々でアヤ推しのハルク爺さんは応援しているだけで「正直いなくていい、邪魔」と伝えているそうだ。
本人はそれも悪くないみたいでホホッと笑っているとのことなので多分Mなんだなと思った。
3日目になると連携もだいぶしっかりしてきたのでアヤと連携したり、カナと連携したりと組み合わせをシャッフルし対応している。
カナは支援魔術でエンチャントかけてくれるので、モンスターをすぐ狩ることが出来正直助かっている。
アヤはすぐ殲滅しようとするから「練習にならないぞ」と言うと頬を膨らませて「わかってる」と言っている。
ただ召喚組では1番の火力だから一緒に戦うと頼りになる。
ごんぞうは盾職として優秀な動きを見せている。
ヘイト管理も最初は覚束なかったが3日目になるとほぼ完璧にモンスターを釣ることが出来戦闘が楽になった。
俺についても剣技のスキルの使い方がわかってきた気がする。
薙ぎ払いと両手突きが使用できるようになった。あと2つ使えそうだがうまくいってはいない。
わかったのは魔術とは違い詠唱などはないが、スキルを使う時はグッと尻を締める感じにすると力が増してくるからズバッといく感じであるということだ。
ただ、いつもの騎士さんとは別の騎士が少し男色っぽくて、時々尻触られたりしてビクっとした瞬間ズバッとなるみたいな感じになっている。
尻触るのはその感覚を身につけされるためだよな…、と考えながら後ろを振り向くと木の影からこっちを見ている。
ゾクっとしたもんで見ないようにした。
休憩中に騎士さんから話があった。
「明日からは2泊3日で討伐に行こうと思うんだがどうだろうか?」
「俺らは問題ない。ただ女性陣はやめといたほうがいいかもな」
「実はそれは俺も思っていたんだ。俺らは汚くても水浴びすれば済むが女性陣はそうはいかないだろ」
「そうだよな。この世界の宿泊ってのもやったことないから先に俺らがやってみて女性陣も出来るかを見定めてあげた方がいいと思うんだ」
「なるほど、一理あるな」
「今日の夕食の時に伝えてみようと思う」
と方向性は決まった。
本人達は納得するかな…、と残りの討伐に当たった。
「絶対嫌、行くに決まってる」
「意味がわかんない。私たち仲間でしょ?」
「女を馬鹿にしないでほしい」
だよな。そう言うよな~・・・
討伐より帰城し夕食時、今日は最初の夜に出たステーキの改良版が出てきた。味は美味しかったが、初日から約1ヶ月ということで話が弾み皆でヤイヤイ話をしていた。
「そういえば明日からはどうゆう討伐するの?」
「そろそろ泊まりでも行ってみたいね!」
「そうだね!行きたい行きたい」
「そのことなんだけど…」と話し始めたらまぁそうなるよな。この流れだもんな。
「そもそもなんで勝手に決めちゃうの?意味わかんない。危険?危ない?そんなの知ってるっつーの!」
カナは顔を真っ赤にして怒っている。
「言いたいことはわかる。別に勝手に決めたわけではないから。
でもな、助けもない武器もない状況になったらどうする?モンスターに食べられるかもってなったらどう切り抜ける?敵はモンスターだけじゃない。盗賊とかきたらどうする?
色んなどうするを考えるとどうしてもアヤとカナを連れていく答えにはならないんだ。
何故ならここは現実だから。
俺だってゲームだったら魔法使いは女でしょとか言って使ってたしな。
でもここは現実なんだ。
安全が保障されてるわけじゃない。リセットボタン押してやり直し出来るわけじゃない。
なぜなら現実だから。
自分が大切だと思う相手を敬って何が悪いんだ??」
シンと場が静まる。
「でも、騎士さん達が守ってくれるから」
「守ってくれなかったらどうするんだ?
俺らは昔から知ってるバイト仲間だし、常識もまぁ合うだろう。でもこの世界の人間はどうなんだ?常識が通じる場合とズレてる場合がある。だから心配で仕方ないんだ。
もし仮に騎士達が皆で俺らを襲ってきたとしよう。
まだ俺はみんなを守り切れる自信は…ない…」
言ってて情けなく感じる。ダメな男だな…俺は…。
「お前ら少しはタケルのことも考えてやれ。
こいつは俺らが先に行って女性陣が行けるか見極めてやらないとと言っていた。トイレの問題や風呂の問題、一緒に旅をするにはどうすればいいかを決めるために行くと言っているんだ。
それを自分らが蔑ろにされてると騒ぐだけではタケルも浮かばれないだろう。
俺もこの世界は100%知ってるわけじゃない。
みんなで帰るためにも安全マージンを取りたいと言っているだけだ。たかが2泊の話で喧嘩するようなことではないと思う」
ごんぞうは冷静に話をまとめて話する。
再度場は鎮まり変えるが時間にして3分程だろうか、カナの泣く声が響くものの話す人はいなかった。
そしてアヤが喋り始める。
「わかった。タケルさんがそういうならその通り動きましょう」
「アヤっ!」
「だってタケルさん言ってる通りじゃない。
修学旅行じゃないんだからさ。冷静に考えると危ないと感じるもの。王城にいても常識違うなってこともあるんだから普通に考えたらあるわよね。
冷静に考えてるのはタケルさん。感情的になってるのはカナよ。
だから私たちは留守番組。話は終わり!」
スンスンと泣き声が続き
タケルが
「理解してくれてありがとう。明日から…」
と遮ってアヤが言う
「一点だけ、タケルさん、私たちの安全をっていってたよね。それ私たちも思ってることだから。タケルさんが安全に帰るため怪我したら治してあげようとか遠くからダメージ与えて楽に戦闘できるようにしてあげようとか思ってるからね。だから、絶対に怪我して帰ってこないこと、生きて帰ってくること。この条件であればいいよ」
そうか…。俺が心配するように彼女らも心配だよな。同じ故郷からきた仲間だもんな。
「申し訳ない、そこまで考えに至らなかった。わかったよ。必ず生きて戻ってくる」
アヤはうんと首を縦に振りカナを抱えて食堂を出ていく。
食堂に残されたのは俺ら2人だった。
「なかなか、難儀だね。君は優しいから」
顔を上げると店長がいた。
「うちのバイト入った時から君は周りを気にしていたもんね。人の嫌がる仕事は自分でやっていたのを陰ながら見ていたよ。変わらないね〜」
「でも怒らせてしまいました」
「いやいや君は間違ってないよ。彼女らにもちゃんと伝わってるから大丈夫だよ」
「そうですかね?」
「うん、大丈夫。こんなことでは君たちの関係はダメにはならないよ。
僕は44歳になるまで色々な青春を見てきたからわかるよ。大丈夫、君は間違ってないよ」
そう聞いたとき目から涙が溢れる。
「店長ありがとうございます」
「いいよ。
僕はスキルとか何も貰えなくてモンスターを倒すのは力になれそうにないからね。少し羨ましいよ」
とフフッと笑い厨房は帰って行った。
遠くでお弁当楽しみにしといてと聞こえ少し笑った。
そんな討伐3日目だった。
店長いいとこで出てきますよね!
イケおじってやつですね。




