エピローグ
ダンジョン攻略を成し遂げた俺たちは100階層の魔術陣で地上へ戻り、アヤの転移で王城へと帰還した。
王城に帰ると王様は大層喜んでくれ、ダンジョン攻略の宴が開かれることとなった。
と言っても今日はたまたま年明けであったせいもあり併せてというわけだ。
ドラゴンを紹介するかを悩んだが、まずは宰相と紹介したところ気絶してしまった。これはもう少し黙ってたほうが良さそうだ。
ドラゴンに聞くと飯を食べて感動したので料理人になると言っているようだが、出来ればナナトーナ王国に行き様々な悪意から守ってやってくれないかなと密かに思っていた。
この国の祭りは国がお酒を振る舞うことになっている。
いつもは昼しか営業しない飲食店も今日だけは自慢の料理を振る舞うのだそうだ。
昨年あった辛いこと、悲しいことを飲んで忘れ、良い年になるようにみんなで祈る。そんな賑やかなお祭りであったので俺たちも最後の夜だと思い飲んで食べて騒いでいた。
程よく時間が経つと俺たちは何かに導かれるように王城へ向かい、食堂へと足を向けた。
俺たちがいつも集まっていたこの場所に顔を出すと皆席に座り談笑していた。
「なんだよ、結局俺らで集まるんだな」
「やっぱ私達はこの国の人ではないからね。
この国のお祝いはこの国の人達でと思ったのよ」
そこからはダンジョン話やらこの国の変な風習の話をして盛り上がった。
明日には日本に戻ると決まってか皆楽しそうに話をする。
場がほぐれてきたので皆に今後について話を聞く。
「店長はあちらに帰るんですか?」
「ごめん。僕はこの世界に残ることにするよ。
向こうの世界に未練はなくないけど、愛してる子が出来たからね。
あと、子供もね」
「子供できたんですか?!」
「ああ、今3ヶ月だよ。タケル君らに抱いてもらえないのは寂しいけどね。牛角屋はオーナー不在で潰れるだろうから夜逃げしたと、いってくれればいいよ」
「ブライアンはどうするんですか?」
「俺はこの前タケルには伝えたが帰らない。
未練もないし帰ってもすることないからな。
あとヒナの面倒もみてやんねーとな。
確かに猟奇的だが、あんだけ俺を愛してくれるやつもいねーだろ。
クラータルへ行って一緒に過ごすよ。まぁダンジョン攻略の勇者だからな。なんとかなるよ」
「カナは?」
「あたしは帰る。流石に残らないよ…親悲しむし…
でね、夢が出来たの。今まで色んなケガの人治してきてね、とてもいい気分だったんだ。だからあたしは看護師目指そうと思ってる!」
「うん、カナに似やってるな!」
「そうかな〜あははっ!」
「ごんぞうは?」
「天使が我が元を去った。残る必要性が感じられない」
「アヤ」
「帰りましょ。私達の本来ある場所へ」
「ビビは本当に一緒で良いのか?俺らの世界って獣人いないから見つからないようにするの大変だぞ!」
「はいです!タケルと一緒に居たいです!」
「よしわかった!
では明日の二の鐘で帰ろう!俺たちの世界へ!」
そう言ってその日は解散した。
最後の夜、訓練の日々や旅を思い出していると中々寝付けなくなり、こちらに来てからの楽しかった日々を考え続けるのであった。
翌朝は一の鐘で起き、朝食を食べてから準備を開始する。
昨日に二の鐘と伝えていたので準備は万全だ。
返還の儀が行われる部屋に入ると召喚の魔術陣には多くの魔石が置かれコアも真ん中に置かれている。
王様も訪れ感謝の言葉をいただいた。
アヤ、カナ、ごんぞう、ビビ、そして俺は魔術陣の中に入り待機する。
外ではハルク爺さんがあや様あや様〜と騒いでいるが気にせずに詠唱が始まる。
神々しい光に包まれ、天に光が伸び始める。
「みんな!お元気で!さよなら!」
そう伝え目を開けると俺たちは牛角屋にいた。
「ビールまだ??何その格好?」
常連の顔がキッチンに顔を出す。
格好があっちの世界の服だこれ。
「あー…コスプレです」
「なんだそれ?早くしてくれよ〜
てかハロウィンには早いよ!」
「かしこまりました」
ビビは休憩室へ入れ営業を開始する。
6人だったのが4人になったので目まぐるしく感じるが帰ってきたとこんなとこで実感する。
そういえば今日忙しい日じゃん…
なんて考えながらも日常に戻ってきたことを嫌なほど思い返していた。
日常に戻って行く。
牛角屋はこの日で長期休暇の張り紙を貼ることにした。
残念だがオーナーがいなくなった今経営するのは難しいからだ。
あと魔術はまだ使用できるようだ。
とはいえ極大魔術なんか使うとこないのでちょっと火をつけるときに使う程度にしか使えない。
ビビはアヤの妹として原口家に入った。
同じ家族だと結婚できないかららしい。
アヤのお母さんはビビを見るなり可愛い可愛いと撫でまくりで可愛がっているらしい。血は争えないよな。
そんなこんなで2週間経ち、生活も前の通りとなり、落ち着いてきたので久々にタケルの家で集まることにした。
「いらっしゃい!」アヤとビビが到着する。
「なんか毎日顔合わせてたから不思議な感じね」
「タケル。ビビは可愛い?」
「んっ?可愛いぞ!なんでだ?」
「アヤママから好きな男を落としたかったら可愛い子が好きだから可愛いアピールしろって言われたの」
「なんだよそれ!」そうして笑っているとカナも到着した。
「久々ね!いやー看護学校の問題難しいわ…早くも心折れそう…」
「頑張れよ、カナなら大丈夫だよ!」
「もしもんときはヒール掛けちゃえば解決するしね!
ちなみにごんぞうは?」
「まだきてないな。まぁそろそろ来るだろ?」
「そういやずっと思ってたんだけど、アヤ転移魔術は使えないのか?」
「やったことないわ。ごんぞう来るまで暇だからからやってみる?」
「やってみてくれ!」
そう言うと詠唱を開始する。
するとワープホールが開き始める。
「開いちゃったわね」
「そうだな、向こう行ったら巨人とか生まれないよな?」
「あれは召喚、これは転移、生まれないでしょ」
「まぁ行かないわな〜」
「会いたい子とかはいると言えばいるけど、行かないわよね」
「とりあえず飲み物でも取ってくるわ」
扉を開けると突然目の前にごんぞうがいた。
「おわっ…たっ…あぶっと…」
ごんぞうのでかい体に跳ねられ、そのまま開きっぱなしのワープホールへ吸い込まれる…
あっ、あああああああーーーーっ
落ちてからどのくらいだろう…
1日くらい経ってるんじゃないかな…
ワープホールにいると出口が見えてきた。
落ちるとやたら暗めの部屋に到着した。
なんか猫くさいな…
「にゃんにゃ??何が起きたんにゃ?」
まだまだ俺らの冒険は終わりそうにないな・・・




