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異世界はバーゲンブルグから・・・  作者: J.Plum
第四章
110/113

98階層

 遅れること3時間程だろうか、

 皆74階層入り口に集まることが出来た。


「居たわ!タケルよ!」

 ビビが走って飛びつく。


「良かった。心配してたんだ…」

「傷はない?ヒール必要な人いる?」「大丈夫だ!」「問題ないわ」


 聞くとやはり通路では鳥型に襲われることばかりであったが、アヤの遠距離攻撃とごんぞうの盾でなんとか乗り切ってきたようだ。


「ああ、ついに75階層か…」

「だな。なんか長いんだが短いんだかって感じだな!」


「相手はヒュドラだっけか」

「おそらくな、どんなもんか当たってみてからだな。

 休むか?」

「いやいい、そんなに消耗もしてないから」


 そうして75階層への階段を下る。


 階下には大きな扉があり中に入るのを拒んでいるように感じた。

 皆配置につくと扉を開け放つ。

 すると開けた早々一撃が俺らを襲う。


 ズガァァァン!!!


 音と共に盾を構えていたごんぞうが飛ばされる。


 ヒール

 ガードアップ


 カナのバフが掛かりダメージは通らない。


 ボスの姿は蛇のような首が9つある姿をしており、体躯からするも化け物だ。


「毒があるぞ、警戒しろ!」


 そう皆に伝えるとタケルは化け物周囲を走りつつヒットエンドランを繰り返す。


 作戦としては周囲を警戒しつつ剣で攻撃、すぐ逃げる。

 首根っこを切断、アヤが傷口を焼き再生させないようにする。この繰り返しだ。


「まず一本目!」


 ズバッと刀を入れるとあっさりと切れてしまう。

 熟練度上昇の恩恵だ。


「インフェルノ!」


 すぐ様アヤが火魔術を繰り出し傷口に当てていく。

 傷口を確認すると回復しないのを確認した。


「よし、作成通りだ!このまま行くぞ!」


 そこからはタケル達の思惑通りに進む。

 2本、3本と続くにつれ攻撃の回数は減り9本目が終わった時戦闘は終わった。


「終わったのか?」「マジ?終わり?」ヒュドラは動くこともない。

 待つ、動かない。

 そうして戦闘が終わった。


「俺怪我一つしてないんだが…いいのかな?」

「いいんじゃね?圧勝だぜ!」


 タケルは感じていた。

 俺たちはこの世界にとっては異物以外の何物でもない。

 この戦闘してわかった。

 もうこの世界には俺らは必要ないと…


 魔石は特大の大きさであり、ビビのポーチに入れると76階層の階段を下る。


 76階層からは水のフロア、82階層からは溶岩と様々なフロアが続くがでるモンスターは大したことはなく、強いモンスターが出るわけではなかった。


「なんか、下の階の方が厄介だったと感じるのは俺だけか?」

「私もそう思うわ。順調すぎて驚くほどよ」


「タケル!このままだと今日にはクリア出来ちゃうんじゃねーか?」

「いいや、このまま行ったとしても98階層では休みを入れるつもりだ」


「そうなのか?」

「ああ、99階層はおそらく今までにないほどの強いモンスターが出ると思われる。

 なんていうか、死ぬ可能性が高いんだ。そんな中疲れ切ってる状態で向かうのは…と思うんだ」


「なるほどな、俺はいいぜ!」「あたしもいいわ!」「わかったです」「なら98階層まで向かうぞ!」と皆の意識を合わせ戦い続ける。


 7時間後、満身創痍ではあるものの98階層に到着することとなった。


「よし、到着だ。ここまで長かったな…」

「そうね、長すぎるけどね!」


 ついにボス挑戦権を得ることとなる。

 それだけで誇らしくも感じ、少し寂しい気持ちにもなった。この気持ちはどう表せばいいんだろうか…そんなことを思いながらその日は食事をし就寝することとなった。


 夜起きると人影があった。

 よく見るとブライアンだ。


「ブライアン、眠れないんですか?」

 そう聞くとこちらを見る。

「ああ、タケルか…お疲れ」


「何となく目が覚めてしまって、何見てたんですか?」

「いや…別に…」そんな話をしてるとブライアンが話をし出す。


「なぁタケル、あちらの世界に未練ってあるか?」

「未練?親とか学校とかですかね?まぁ親には会いたいですかね。全然会ってないし」


「そうか…

 俺には、ないんだよ。


 親なんか音楽に生きると言った時から勘当されてるしよ。

 彼女もいねーし、バイトも掛け持ち。フリーターとして毎日生きる日々だ。


 言うことも適当でよ。ノリで生きてりゃなんとかなるかとかずっと思ってたしよ。


 こっちの世界は残酷だよな。

 名前一つ違うだけで能力は低いわ、弱いと発言権ないわと最悪だ。


 でも動けば数字で見えてくる。頑張ったら頑張っただけ能力が上がるからわかりやすい。

 倒せば発言権を得、負ければクソみてーな扱いだ。


 でも、それが良いんだな。俺はこの世界が好きだ。ずっと考えていたんだ。俺はどうすべきかと…


 俺はこの世界に残るよ。お前らとは帰らない。

 未練もない。もちろん、最後の戦いには参加する。戦う。

 でもそこからは俺らは違う道を進もう」


 ブライアンの意思を初めて感じた。


 話をすれば適当でだらしなくてどうしようもないと思っていた男だが意思は固いんだろうなというのは言葉に詰まっていた。


 俺はわかったと伝えその場を離れる。


 99階層、ここが彼とのターニングポイントなんだなと感じ、その後は眠ることができなかった。


 そんな夜だった。


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