71階層
現在は70階層の休憩スペースにいる。
ここまで約2日、曖昧なのは悪魔族との夜通しの戦いにより52階層で泥のように眠ってからの進行となった関係で時間の組み方がおかしくなっていた。
途中、ブライアンの負傷やアヤへのバックアタックなどモンスターからの襲撃に対応が遅れる場合もあったものの、いづれもカナが治してくれているため、負傷者は出ていない状況となっていた。
ただ、潜り始めてから1週間程度は常に動き続けている関係で精神的にも疲労していると考えた俺たちはこの少し広めのスペースで丸一日過ごし身体を休めようとなっていた。
「とりあえずテントは張ったから好きな時に寝てもいいから」
「でも時間がわからないわよね」
「あーちょっといいか?言い忘れてたけど俺時計付けてるわ…」
「ブライアン先に言ってくださいよ!じゃそれを基準に休もう」
「私お風呂に入りたいのだけど無理かしら?」
「風呂か…どうだろうな…」
「魔術があればなんでも出来るんじゃないか?例えばアースウォールで湯船を使ってウォーターボールで水入れてファイヤーボールで温めるとか」
「なんかそれ出来そうだな…ブライアン、土魔術で作った壁は水は通すのか?」
「やったことねーからわかんねー」「そらそうか」
「魔力問題なければやってみよう。俺も入りたいし」
「しゃーねーな!アースウォール!…ウォール…ウォール…ウォール!どうだ?」
「上等だ!次ごんぞう!」
「おうよ。ウォーターボール!…ボール…………ボール。悪い限界だ…」
「半分より少し上までは貯まったか…次は俺だな、ファイヤーボール…ボール…ボール………どうだ?」
「温かくなってるわ!いけるよこれ!」
「よし、じゃアヤも手伝ってくれ!」
そうして俺らはお風呂に入るよう作業し完成に至ることが出来た。
「じゃ女の子からだよね?」
「そうだな、先入っていいぞ!」
「見ないでよね!」
「見ねぇし。まったく、信用ないな。見ねぇよなぁ?」
と見ると2人はガン見している。
うわめっちゃ見てんだけど…
「お、おい…」
「せっかくだから女子高生のストリップを堪能しようぜ〜
さてさて脱ぐぞ!」
アースウォール!!!!
とアヤが唱えると間に壁が引かれて見えなくなる。
「かぁーーーーーっ!なんでだよ!」
「当たり前でしょこのクズ!最低!」
「かぁー残念だ…まぁ仕方ねーか…」
「なぁ、やっと70階層だな」
「ああ、あと29階層降りれば元に戻れるんだよな」
「その前に75階層ボスを倒さないといけないですがね」
「ヒュドラだろ?おそらく。首跳ねたら付け根を焼くやつ」
「そうですよね、俺も思ってました。焼いたら生えてこない」
「だったら余裕じゃねーか…といっても俺は槌だから首を刎ねることは出来ねーからな…お前らに任すよ」
「そうすると完全に照準が99階だな」
「油断してはいけないですがまぁそうですね」
「元の世界かぁ…」
そうして話すブライアンは空のない天井を見つめ遠くを見ているように見えた。
女性陣が風呂を出たので今度は男性陣だが男の風呂を語っても仕方ないので書かないが一言だけ。
ごんぞうの筋肉談義が怠かったとだけ言っておこう。
さっぱりした状態で店長のご飯を食べ今日は早めの就寝とした。疲れた時は早く寝るに限ると思うとすぐに眠りにつき身体を休めるのだった。
翌朝、完全ではないものの皆力に満ち溢れ元気な顔を見ることができた。
「今日から再開、あと29階層だ。気合い入れて頑張るぞ!」
おう!と気合を入れ直し階下に向かう。
71階層への階段を降りる。
「タケル?」カナが話掛けてくる。
「あたしの支援でアタックアップのことだけど…」と階段を降りた途端転移魔術陣が発動、俺とカナが飛ばされた。
しまった、油断した…
あいつらは?と周りを見るもカナしかいなかった。
「ごめん、あたし…」
「いやカナが悪いわけじゃない。転移魔術が発動しただけだ。
周りにモンスターはいないか?」
と周りを見渡すもそれっぽいのは見当たらなかった。
まずはここがどこか調べるとこからだな…と周囲を確認しつつ歩き始める。
幸い周囲にモンスターなどはおらず中央付近に到着すると吹き抜けのようになっているのが確認できた。
「カナ、ここは73階層だ」
「何でわかるの?」
「上を見ろ…」「上って…」
吹き抜けになっている上空を見ると階層ごとに分かれているのがわかる。ここは71階層から74階層までぶち抜きのフロアだ。
「そう、俺たちは下に転移している。
つまり上から来る階段前にいればいつかは合流できるかもしれない。
ただ可能性はあいつらが74階層に転移している場合だ。
そうなればいくら待っても来ることはない。
ここで出来るのは俺たちだけで74階層へ降り、ボス部屋前で待機が最善だ」
「でも2人でなんて向かえるの?」
「大丈夫とは言えないがカナは俺が守るから大丈夫だよ」
「あ、ありがと…」
そう思ったその時天から何かが落ちてくる。
なんだと見上げると段々と大きくなる。
「警戒!上だ!」上からモンスターが現れた。
「カナ、下がってろ!周囲を警戒、注意を払え!」
「わかった!」
「よし、かかってこい!」
すると近くの木に留まりこちらを監視し始めた。
「な、なんだ?襲ってこないんじゃないか…よくわかんないな…」
「うん、どうなんだろうね…」
おかしい、何故襲ってこないんだ…この行動はいったい。
すると翼をはためかせ上空へと飛んで行くのを確認した。
「何だったんだあれは…」
「よくわかんないから行こう…」そう言い歩き出す。
入り口と出口の間には渓谷が走っており、やや中央寄りに通路が出来ていた。通路には細かい石あったり濡れていたりとしその上柵もない、安全の保証されていない道であった。
他に向こう岸へ渡る術がなかったのもあり、警戒しつつ気持ち早足で歩き続ける。
あともう少しで渡り切る、その時だった。
先ほどの鳥型モンスターが襲撃した。
「カナ!走れ!」
黙って走り始めるのを見ると鳥型と相対する。
「この野郎、この時待ってやがったな!」
鉤爪が襲いかかるのを剣で応戦する。
ガキンガキンと音を鳴り響かせ剣を振る。
上からの攻撃には慣れてなく戸惑うも何とか受け流す。
アタックアップ
エナジードレイン
支援魔術によりバフがかかる。一段階上がった切り払いに対し鳥型は空に逃げ更なる攻撃をしてくる。
足場が悪い。切り払い空は逃げた一瞬を利用し陸地側へ走る。鳥型が追ってくるのを確認、振り向きざまに剣を払うと鳥型の首に剣がかかり両断した。鳥型が力を無くして落ちていく。1匹とは限らないと走って陸地に向かう。
到着し安堵し座り込むこととなった。
「タケル大丈夫?」
「ああ、足場悪いと集中出来ないな。危なかった…」そう言うと周りを確認、そうして戦闘は終わった。
「まさかこれ上からずっとそうなら心配だな…」
「そうね、でもあいつらなら大丈夫!信じましょ!」
「そうだな」そう言うと立ち上がり歩き出す。
「あとは崖などはないが注意して進もう」そう伝えると前を歩き続けたのであった。




