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尻を向けられる

作者: ロゼッタ

18禁ではありません。

タイトルから連想されるのは変態の話?だろう。実は、実家で飼っていた犬の話である。名をモン太と言う。柴犬と秋田犬の混合種、つまり雑種だ。我が家は人間関係が複雑で姉弟仲良くと言うのは父が早くに死んでから記憶にない。なので姉が犬を飼いだした事などは同じ家に住みながら知らなかった。ある日、姉の部屋から犬がいる気配を感じた。それがモン太だ。子犬なので部屋に入れてたらしい。触らせてと言っても意に介さず、だ。なら別にいいやと数年がたった頃、お前らにやると姉からモン太が差し出された。子犬でなくなっていたそれは、愛情を全く感じられない。姉が上京するのでとの措置だが、当時は釈然としなかったものだ。それから母兄自分で散歩なりをしていたが、如何せん躾が全然なってない。芸の一つもできないのだ。やがて兄も上京。世話役は母と自分になった。で、いつの頃からか、モン太は触ろうとすると、自分に尻を向けるようになった。当時はネットのない時代。犬の仕草から感情など知るよしもない。なめてんのか?だ。ボールを投げると拾ってはくる。だが離さない。口から取ろうものならすぐに尻を向け、触ろうとすれば尻を向け、兎に角、尻を向けられた。呆れ、その頃には馬鹿モン太、馬鹿モンと呼んでいたものだ。


馬鹿モンには困った事がある。雷がなると泣くのだ。雷が発生する前から泣く。これは100%の確率。あまりにも五月蝿いので家に入れると泣き止むのだが、ここからがホントに困った事。お漏らし100%。いや、家に入れたじゃん、は通じない。その尿を掃除するのは、自分だ。水を撒いてブラシでこすってと。臭いのと屈辱で軽く殺意すら芽生えたものだ。


そんなモン太も老いてゆき、自分も上京後は帰省時に会うのみとなった。年に1回だ。散歩に連れていくと倒れるようになり、散歩は止め、庭で過ごすようになった。帰省するたび、モン太に触る、「お座り」を・・そう、この「お座り」がまた・・これは、自分が上京する前の話。芸が全くできないのは先に述べた。で、暇潰しにお手を覚えさせてみるかと考えたが、まずは「お座り」しないと。「お座り」を覚えさせてみる。かっぱえびせんを餌に「お座り」させようとするのだが、尻を向けられる。兎に角、前を向かない。尻をバシバシ叩くが、激しく尾をふるのみだ。しょうがないので首輪についている鎖の先端を持って強引に前を向けさせる。で、鎖を持ちながらモン太の腰を押す。「お座り」と言って何度も押す。かっぱえびせんも与え、奮闘すること1週間ほど。ついに「お座り」を覚えた。が、ここからである。鎖を離し、「お座り」と言っても尻を向けてくるのだ。失敗か?と思い鎖を持つと「お座り」する。鎖を持たないと尻を向ける・・これは・・まさか・・そう、馬鹿モンは鎖を持たないと「お座り」をしないのだ。なんて馬鹿。エヴァンゲリオンのアスカなら「あんた馬鹿ぁ?ホントに馬鹿ね。」と言うだろう。唯一覚えたのが、この「お座り?」だ。因みにこの「お座り?」、自分以外には全く効果がない。世界に一つのって奴かな?


そんなモン太だが、老いには勝てず、旅立った。17年ほどの生涯だ。馬鹿だけど近所の人々には妙な人気があった不思議な存在。雷が鳴ると狂ったように泣くクセに、滅多に鳴かない、番犬としては、100%役立たず。ワンと鳴かず、ファンと鳴く。死に顔は写真で見たが、何とも穏やかな表情だった。


死後、かなりが経過した令和5年。散歩中の犬の尻を見て、ふとモン太を思い出した。『あいつ、尻ばっかり向けやがってたなぁ』、と。今はネットの時代。検索すれば、犬の行動から感情を調べる事など造作もなし。「犬に尻を向けられる」で検索すると、出た結果に驚いた。愛情表現の一つだと言うのだ。要するに無防備な尻をさらけ出す事で信頼の意思を示す的な。馬鹿だけど自分に対し、あいつなりに精一杯愛嬌を振る舞ってたんだなと思うと感慨深いものが込み上げてきた。あっ、泣きはしませんよ。愛情表現は分かったけど、尻を向けられるのは・・あまり嬉しくはないかな?肛門丸見えだしね。


頭を撫でた記憶が・・えっ!ない?尻はあるけどね(⌒-⌒; )


END

超、久しぶりの投稿です( ´∀`)因みに私は、猫派です。モン太がミーコに鼻パンチを食らった時は爆笑しましたね。

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