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とある警察署内シリーズ

左手首美人

作者: 千子

女性が左手首だけ切断され殺される事件が多発していた。

被害者に接点はなく、犯人は猟奇的殺人者か快楽殺人者かと思われていたが、のんびりと報告書を見ていた川口があることに気が付いた。

「あれ?」

「どうした、川口」

先輩刑事、山崎に訊ねられてもマイペースに地図を用意する。

「ちょっと待ってくださいよ」

と、言いながら報告書を見ながら被害者宅を丸で囲んでいく。

「おいおい、これは……」

「文字だけだと町内も違っていて気が付かなかったんですけど、被害者宅は半径三百メートル範囲にあったんですよー。驚きですね」

にへらと笑う川口に、しゃんとしろと怒鳴りながらもすぐさま捜査員に情報を共有する。

「こういう犯人って、円の中心が活動拠点だったりすることが多いんですよねぇ」

またも川口がそう言うので難航していた捜査は円の中心点である◯◯高校を中心に不審者の洗い流しが行われ、功労者の川口と山崎は◯◯高校を調べることになった。


件の高校に着くと川口は校長室に案内され捜査の許諾を得ると学内を調べ始めた。

すると川口がふらりと美術室に入っていった。

「二時間サスペンスなんかじゃ美術教師が犯人で切り取った左手の石膏像を作っていたりするんですよねぇ」

「まったく、何事かと思えば。現実とドラマを一緒にするな」

などと問答をしながら川口がなおも物色をやめないのでそろそろ止めようと声を掛けようとしたら川口が振り返って石膏像を差し出してきた。

「見てくださいよ、山崎先輩。綺麗な左手首です」

左手首の石膏像を手にしげしげと見ている。

「ああ、石膏だから偽物ってわかるが、色が付いたらまるで本物みたいな出来だな」

「先輩、この石膏像、指輪の跡があります」

「それがどうした?」

山崎には川口の疑問がさっぱり分からなかった。

「確か四人目の被害者は既婚女性ですよねぇ」

「おいおい……まさか……」

山崎も真剣に石膏像を検分する。

確かに指輪をしていたかのような小さな圧迫されたへこみがある。

四人目の被害者は少々ふくよかだったため指輪によって指が圧迫されていても不思議ではない。

それにその指輪は独特なデザインなため所持していた資料と比べてみるとへこみ具合が合致するかのように見えた。

「……美術教師、犯人かもなぁ」

「そうですねぇ…どうします?」

川口が山崎に訊ねると、他にも左手首の石膏像があるか探索が始められたが、他の石膏像は見つからなかった。

「こりゃ美術教師か校長に持ち帰って検査をしていいか訊ねてみるか」

そして再度校長室へ戻り、美術教師は非常勤で本日休みのため石膏像の検査に許諾を得た。


「と、いうわけでそれがこの石膏像です」

山崎が課長に一連の報告をする。

「確かにこの独特なデザインのへこみは第四の被害者の指輪に似ているな。その美術教師ってのはどんな奴なんだ?」

「本日は休みのため出勤しておらず確認は取れておりません。自宅は教えていただいてあるので踏み込んでみますか?」

「この石膏像だけでは弱いが他の石膏像は自宅に保管してある可能性があるな…。動かぬ物証か……よし、ガサ入れしてみよう」

「はい!」

課長の判断により美術教師宅の家宅捜索が決定した。


結果、美術教師宅の一室にて殺された女性の左手首であろう石膏像が残りの数本見つかり、そのため美術教師を署内に事情聴取として呼んで招いた。

すると、大して聞かないうちに一点の曇りもない目で自供を開始した。

「はい。私が左手首を収集しました。だって、綺麗だったんです。だから、その美しさを永遠のものにしようと思って石膏像にしたんです」

やばい奴のパターンだな、と山崎は思った。

「それじゃあ、四人目の被害者はなんで自宅で保存せずに美術室に置いておいたんだ?」

「だって、綺麗じゃなかったんです」

「綺麗じゃない?」

山崎が訊ねる。

「指輪の跡が着いちゃたんですよ。他の子はアクセサリーとか外して居たのにその子だけうっかり外し忘れちゃって。コレクションに並べるのも嫌だったから生徒の手本になるよう美術室に置いておいたんです」

その言葉に山崎が片手で顔を覆う。

「自分が殺した女の左手首を授業の模写です使おうとするなよ。トラウマもんだろ」

「そうですよ!気持ち悪くて人の左手が見れなくなっちゃいますよ!」

「川口はしばらく黙っとけ」

山崎が川口を睨みながら言いつつけると川口は軽く返事をした。

「はーい」

「だから!伸ばすな!」

今日も今日とて警察署にて山崎の怒声が響いた。

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