スタッドレスタイヤのインチアップ
先日ネットをつらつらと眺めていたら、「スタッドレスタイヤはインチアップした方が良い」って記事があって、目が点になった。「スタッドレスタイヤはショルダー部が柔らかいので、インチアップして扁平率を下げた方がドライ路面での操縦性が良くなる」、とのことだ。自動車評論家(武闘派らしい)の個人ブログがネタ元だけど、他媒体にも同様の記事が幾つもあって、自動車業界では広く言われていることなのだろうか。
当地、北海道では真逆で、同サイズかインチダウンが基本になる。
スタッドレスタイヤは接地面に夏タイヤよりも柔らかいゴムを使用し、路面に密着させつつ水を抜き、沢山のサイプのエッジ効果でグリップを得る仕組みになっている。雪道は平らに見えてもアスファルト路面に比べて凸凹しているため、インチダウン(夏タイヤのホイールが17インチだったらスタッドレスは16インチとか)するとタイヤの厚み(=扁平率)が上がるので、タイヤ自体のクッション性が上がる。一方ではタイヤ幅が狭くなるので路面との接触面積が小さくなり、アイスバーンでのブレーキ性能は落ちる可能性がある(面圧が上がってより効く、という意見もある)。
仮にインチアップした場合、タイヤ自体のクッション性が損なわれて車体が大きく揺らされることになるし、タイヤ幅が広くなるので走行抵抗やロードノイズは上がる。何よりもタイヤの値段が高くなる。
インチアップしてもダウンしても元ホイールが流用できなくなるが、冬タイヤは組み換えせずにホイールごとの交換が基本なので、その点は同サイズでも変わらない。
私自身の肌感覚としては、タイヤ全体の柔らかさを活かした方が雪道の運転は楽に感じる。それに雪道は夏と同じ速度では走れない、元から10キロ20キロは落とすしブレーキのタイミングもかなり早目に変える。雪が降る前のドライ路面であっても、路面温度もタイヤの挙動も違うのだから頭を切り替えて運転する。
スタッドレスタイヤのインチアップは東京基準、ドライ路面では正しいのかもしれないけど、それならオールシーズンタイヤとかスタッドレスでも国産よりミシュランやピレリの方が(高速道路での性能が高いと言われているので)良いんじゃないかなあ。せいぜい1週間か2週間、アイスバーンにならないベチャベチャの雪道を走るのならば。
インチアップしたらタイヤチェーンが使えなくなる危険性が上がるから、北陸〜東北ではチェーン規制に引っかかるかもね。