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WITH LOVE  作者: けだま
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愛を込めて

2021年5月19日


ずっと一緒に…


と書かれたチョコレートのプレートに

小さなケーキ


はっと顔をあげて

彼の顔を見ると

彼はポケットから小さな箱を取り出して


結婚してください。


と照れくさそうな顔で

それでも、真剣に

私の瞳をまっすぐに見つめながら

そう言った


涙が溢れそうになるのを堪えて


はい。よろしくお願いします。


私ははっきり返事をした。


それから何度も

指輪をキラキラさせながら

嬉しさで爆発しそうな心を抑えつつ

彼と手を繋いで帰路についた。


それから約1年後


私たち家族の元に

可愛らしい産声とともに

小さな女の子が誕生した。


美しい心を持った女性になりますように

という想いを込めて

娘の名は


さくら


と名付けた。


新生児期は

あっという間に過ぎ


生後5ヶ月ころには

あうあう えー

と声を出すようになった


視力もついてきたようで

私のいる方を

じーっと見つめることができるようになった。


私が近付くと

嬉しそうに、きゃっきゃと笑う。

彼によく似た可愛らしい女の子だ。


さくらが寝静まったあと

彼は、温めたコーヒーを飲みながら


今日はよく寝返りをしていたなぁ。

戻れなくて泣いていたけど。


なんて言いながら、さくらの成長に

時折涙を浮かべながら呟いた。


そうだね、成長はあっという間だね。

さくらの成長、見逃したくないな

でも今から泣いてたら

そんなんだと、保育園の入園や

幼稚園、中学校…

イベントも多いし涙が足りなくなるよ


彼はこくりとうなづいて

残ったコーヒーを飲み終えた


そして私に近付いて

さくらの顔は、君にそっくりだ

本当に愛おしいよ

と私の頭を優しく撫でた。


私は少し照れくさくて

それを誤魔化すかのように


私はもう少し起きてるよ

あなたはしっかり休んでね


と声をかけて

彼が寝室へ行くのを見送った。


薄暗い部屋でひとり

ぼーっとしながら

これまで時間を振り返る


夫と出会った日のこと

さくらが生まれた日のこと

今日までのこと


毎日が愛おしくてたまらない


夫とさくらが眠る寝室を覗くと

夫の瞼から

涙が一滴、静かに流れた


さくらが生まれてから

随分と涙もろくなったね


静かに彼に近付くと

私の存在に気付いたようだ


眠たそうな顔で

私を見つめて優しく微笑み

また眠りに落ちていった



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