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夢が醒めないように  作者: むぎ
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歯車

如月優斗はその次の日に学校に来ていたので顔は覚えているがしっかりと見たのは今日が初めてだ。元々顔が整っているなとは思っていたが、じっくり見ると肌は白く、目は二重で鼻筋も通っていて、誰が見ても美男子だと称される顔面である。

その上どこかミステリアスな雰囲気を纏っており、今まであまり見たことのない部類の人だなと思っていると、



「写真撮るの好きなの?」

「へ?」

「今さっき、教室では見せてくれない満面の笑みでシャッターをきっていたから好きなのかなって思って」



そう言われて桜庭は動揺した。確かに教室で心の底から笑ったことはない。

しかし、クラスの子とは話すようになり、上手く笑えていると思っていた。そしてクラスの子もその笑顔が貼り付けられたものだということを気付いていないと思っていた。それは学校だけとは限らず、仕事の関係者やマネージャーにも言えることだ。数年前から楽しいという感情が分からなくなり、本当の笑顔を見失ってしまった私に対して撮影の度に表面上の笑顔を褒めてくる。


長年一緒にいた関係者やマネージャーでさえ気付かなかったことを、どうして数日しか会ったことのない如月が気付いてしまったのだろう。



「写真撮るのは好きなの、撮られるよりも。今だけかもしれないけど」

「見せてよ」

「え、別にいいけどあまり上手くないよ?」

「いいよ、上手い下手じゃないでしょ。桜庭さんが楽しそうに撮っていた写真が見たい」



初めてそう言われた桜庭は、胸の高鳴りからなのか緊張からなのか顔を少し赤らめながら今さっき撮った写真を如月に見せると、


「わー!桜庭さんめちゃくちゃ綺麗に撮れてるよ!」

そう言って如月は真っ直ぐ桜庭を見つめた。


この瞬間からだろう、お互いの歯車が動き出したのは。

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