表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/19

4話改 美嘉襲来

4話改(ほとんど変わっていない)

 廃車を上から落とすという攻撃手段を手にしたので、早速下の階層に行ってみる。

 

 下の階層は、やはり真っ直ぐな一本道になっていた。その一本道を鉄パイプを構えて進んでいく。やがて見えてきたシルエットは、今度はゴブリンより少し小さい。


 このダンジョンは下に行くほど簡単になるのか?いや、小さくなったからといって危なくないというわけじゃないし、気を抜かずに行こう。


 シルエットの主は、ある程度の距離に近づくとこちらに気づいたのか、猛スピードで突っ込んでくる。


 あまりのスピードに廃車も使えない……死にたくない。死にたくない!


 俺は突っ込んでくる影に思いっきり目をつぶってつっこむ。




「うわぁあああぁ」




 そして衝突。重たい衝撃があって思わず死を覚悟したが、その瞬間はいつまで経ってもやってこない。

 

 思わず目を開けると犬のようなナニカが目の前で倒れていた。


 俺はそいつを思いっきり鉄パイプで何度も何度も殴りつける。


 光の粒子が見えても、何度も、何度も。











「ふぅ」




 命の危機にあったからか、犬を倒しても……いや、殺しても振り下ろす鉄パイプが止まらなかった。


 犬と衝突したあたりの服を見てみると、破れて下の皮膚にすり傷ができて、血が滲んでいた。


 改めて、命のやりとりをしているんだと感じた。


 そうだ。お互い殺すか殺されるかなんだ。ビビってたら死ぬ。


 改めて、これからは未知の敵はしっかり実力を測ってから必ず最強の攻撃を叩き込もうと思った。ビビってたら死ぬ。ノータイムで行動しないと。


 そしてドロップ品を探す。死骸が消えた後も何度も鉄パイプで殴りつけたというのに、魔石は綺麗な形のまま地面に落ちていた。


 ゴブリンの魔石より少し大きい。ゴブリンのが小指の爪くらいの大きさなのに対して、これは、親指の爪くらいの大きさはあった。


 そういえば魔石を鑑定したことはなかったな。あとで確認しておこうとリュックの中にしまう……これも異空間でいいのでは?


 疑問が尽きない。 











 攻撃方法を廃車投下に変えたことで、コボルトに遅れをとることは無くなった。というかまともに戦ったら速すぎて詰む。


 速さでついていけるようになるまでこの階層でレベリングだな。











 ダンジョンから帰って寝て起きたらまた12時間くらい経って、今度は朝の8時だった。

 

 そして今日は日曜日。あいつがくる日だ。


 俺は押入れを閉める。そして冷蔵庫の中身を確認する。お菓子は切らしていない。


 今日はとりあえず、押入れを覗かれないことを第1目標で行こう。


 そうだ。リュックはどこに隠そう。しばらく迷って俺はベットの下の空洞に隠す。余談だが、異空間作成の中に隠せばよかったと後から後悔した。


 しばらくするとドアチャイムがあいつの到来を教えてくれた。


 しっかり菓子を持ってからドアを開ける。




「せんぱーい、子供作りましょう!」




 俺は黙ってドアを閉める。ドンドンとドアを叩く音が響く。コンコンじゃなくてドンドンである……仕方ない。もう一度ドアを開ける。


 


「せんぱい、恥ずかしがり屋ですね。もうあんなにいっぱいしたのに」


「まだ何もやってないだろうが」


「うわぁ、認知してくれないんですか?」




 誤解のないように言うが、俺はこいつとは何もしていない。ただの腐れ縁の友人(?)だ。友人であろうと、玄関先で有る事無い事口走るやつはあまり家に入れたくない……が、そんなことしたらこいつが何を口走るか。ご近所様からの評判は落ちに落ちるだろう。




「わかったわかった。とりあえず入れ。菓子も買っておいたぞ」


「そうやって安心させて部屋に入れてめちゃくちゃにするんですね。わかります」




 この時点で俺は恐ろしいことに気がついた。この2日ほど、ダンジョンに夢中になって、その……致していないのだ。この状態でこいつの挑発をくらったら、間違いなくヤバい。


 とりあえずなんとか部屋に入ってお菓子を出しておく。オッケー落ち着け。俺はこいつとは何にもない。ないんだ!


 そして恐怖のお茶会は始まった。




「最近どうだ?美嘉」




 俺はまず当たり障りのない質問をする。気分は黒ひげ危機一髪。どうにかこいつが下ネタに繋げられないような質問をするしかない。




「いつも通りですよ。上司はウザいし部下は働かないし」




 見た目から小学生に間違われたりするが、こいつは歴とした社会人である。ニートの俺とは違いそこそこいい感じで出世もしているようで、今は部長だったかな、課長だったかな?


 とりあえずセーフ……と思った俺が甘かった。


 


「ちゅぽっ、れろっ、そう、桜ちゃんはまだOJTの途中だからいいんですけど、ちゅぱっ、男子陣がねぇ……」




 あああああ、う○い棒を買ってきた俺の馬鹿ああああああぁああああ!そんなことしたらこいつが何をするかはわかってただろうが!


 俺は腹に力を入れて必死に耐える。耐えろ、今日1日耐えろっ!




「……唾液が染み込んで不味いです」


「……そうか」




 これを耐えられた自分は聖人君子だと思う。そして、美嘉が買っておいたお菓子の箱を開けている最中に次の話題を必死に考える。




「今日は……」


「きゃっ」




 俺の話は美嘉の声に遮られた。美嘉の方を見ると、シュークリームのクリームが飛び出していた。あぁ、よくやるんだよね。あれ……なんて思たのはそこまでだった。




「手がベトベトです」




 手についたクリームを舐めとる美嘉。クソ、狙ってやがった。


 俺はまた耐久モードに入る。が、ここで追い討ちがかかる。




「今日がどうしたんですか、先輩。今日は、黒ですよ?」




 上目遣いの美嘉に完全に想像してしまった。


 ヤバい!何がとは言わないけどヤバい!


 


「ちょっとトイレ!!」




 戦略的撤退だ。というかマジでヤバかった。

テコ入れ?知らない子ですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ビビってるのに突っ込みはしないと思う。 がむしゃらに突っ込んだ的な感じがいいと思いました
[気になる点] 犬と衝突したあたりの服を見てみると、破れて下の皮膚にすり傷ができていたが、それ以外何ともなかった。  改めて、命のやりとりをしているんだと感じた。 大した怪我してないのにこの感想…
[一言] 「そうだ。リュックはどこに隠そう。しばらく迷って俺はベットの下の空洞に隠す。」 異空間があるんだから、そこにしまえば良いと思うけど、何を迷うの?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ