2話改 変わっていく日本
2話です!改とか言いながらこのへんはそんなに変わってないです
「報告を頼む」
内閣総理大臣である山瀬太郎は重々しく口を開いた。世界に出現したダンジョンはいかほどのものなのか。そして世界はどのように変わって行くのか。心配事は尽きなかった。
「はっ、まずダンジョンについてですが、国内に1395箇所を発見しました。またそのうち853箇所に民間人が侵入していました」
やはりか。山瀬は肩を落とす。我が国の国民性を考えればダンジョンに入りたい人間は多いと思ったが、これほどとは。野党やマスコミからなんと言われることか。
山瀬は痛みだした胃を押さえる。
「それで人的被害のほどは?」
「はっ。多く見積もって500人ほどです。ダンジョン内の危険な生命体に殺害されたと思われますが、遺体は見当たりませんでした」
500人、飛行機事故並みだ。これでは本当に何を言われてもおかしくない。予想されたことではあったが、山瀬の胃はさらに痛みを増す。
しかし、過ぎたことを気にしてもどうしようもない。次のことを考えなければ。
「それで、生還者はどれくらいいるのか?」
秘書官は即座に答える。
「発見されている限りでは約700人ほどです。ダンジョンで一度戦ってすぐに撤退した者が大多数のようです」
「例のモンスターを倒せたのか?」
「はい。全国のダンジョンのうち約50%は民間人でも対処可能なようです。あくまでも現時点の話に過ぎませんが」
山瀬は頭を回転させる。自衛隊を派遣するとして死者は出るだろう。だが500人もいれば少し増えたところでどうせ政治への影響は変わらないだろう。
そして山瀬は指示を出す。
「内閣で、ダンジョンのうち民間人が生還したものから自衛隊を派遣することの決議を取ろうと思う。各大臣に通達してくれ」
山瀬の胃は相当な痛みを訴えていたが、ダンジョンについてはこれで一旦終わりかと胸を撫で下ろす。そこに爆弾が投げ込まれた。
「かしこまりました。続いての報告ですが、ダンジョンの内部で戦闘に勝利した際、敵の死体は消え、代わりにドロップ品があったということです」
その時、山瀬の胃に電流走る!!
山瀬は激痛を耐えながらも必要な質問を行う。
「それで、ドロップ品はどのようなものだ?」
「小指の先ほどの石がほとんどで、次に多いのは木の棍棒です。珍しいところだと、非常に臭い布なんてものもありましたね」
小さな石か。山瀬は胸を撫で下ろす……が、爆弾投下は終わらない。
「その小さな石ですが、材質等は分かっておらず、水に漬けたところ、継続的に、1つあたり約1kJ /hの熱を放出しました。10時間たった今も放出は続いています」
10MJの熱があれば1kWh発電できる。つまり、一般家庭で必要な電力量を石2つで賄える。これをエネルギー革命と言わずしてなんと言おう。
山瀬はついにあまりの胃の痛みから意識を手放すのであった。